【一人親方必見】建設キャリアアップシステムの登録方法を解説
近年、建設業における技能者の高齢化が進行しており、将来の担い手不足が懸念されています。
若手人材の確保や既存人材の定着化を図るためには、技能者の能力や経験に応じた適切な処遇を受けられる環境の整備が求められます。
そこで、2021年度から運用が開始されたのが、“建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System:CCUS)”です。一人親方として建設業を営んでいる方は、建設キャリアアップシステムに登録することで、処遇の改善、現場管理の効率化などが期待できます。
しかし、「建設キャリアアップシステムについて詳しく知らない」「登録方法が分からない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、建設キャリアアップシステムの仕組みのほか、一人親方で登録する際の方法について解説します。
(出典:国土交通省『建設キャリアアップシステムの状況について』)
建設キャリアアップシステムとは
建設キャリアアップシステムとは、技能者の資格や就業履歴等を登録・蓄積して、客観的な人材評価を行う仕組みです。
一般社団法人 日本建設業連合会・一般社団法人 全日本建設技術協会・一般社団法人 建設産業専門団体連合会・全国建設労働組合総連合などの業界団体と行政機関が連携して官民一体で普及を推進しています。
画像引用元:国土交通省『建設キャリアアップシステムの取組みの現状について』
建設キャリアアップシステムを活用することで、技能者が能力・経験に応じた適切な評価が受けられる環境を整備して、処遇の改善を図る目的があります。また、働き続けられる環境づくり(働き方改革)によって、技能者の雇用や若い世代の担い手の確保・育成の促進も期待されています。
2021年10月時点での建設キャリアアップシステムの登録数は約14万事業者となっており、そのうち一人親方は約4万事業者です。技能者の登録数は右肩上がりとなっており、今後も建設業界での横断的な活用が期待されます。
(出典:国土交通省『建設キャリアアップシステムの状況について』『建設キャリアアップシステムの取組みの現状について』)
建設キャリアアップシステムの仕組み
建設キャリアアップシステムは、主に3つのプロセスで構成されています。
①技能者情報の登録
- 事業者情報(商号・所在地・建設業許可情報等)
- 現場情報(現場名、工事内容、施工体制等)
- 技能者情報(本人情報、保有資格、社会保険加入等)
②技能者の能力評価
- 就業日数・保有資格・マネジメント能力に応じて、職種ごとの評価基準に沿って能力を4段階で評価する
- 建設事業者が技能者の技術・経歴を客観的に把握する
③カードの交付・就業履歴の蓄積
- 登録した技能者にカードが交付される
- 工事現場の入場時に読み取り、就業履歴を蓄積する
建設キャリアアップシステムに登録することで、自身の技能や働いた実績を見える化して客観的に証明できるようになります。
(出典:国土交通省『建設キャリアアップシステムの状況について』『建設キャリアアップシステムの取組みの現状について』『建設キャリアアップシステムの概要』『CCUS登録技能者の声』)
2023年度から活用が原則化
建設キャリアアップシステムは、2020年度から運用通知や要領の改正などが行われ、2021年度から本格運用がスタートしました。
2023年度からは、あらゆる工事で建設キャリアアップシステムの完全実施を図るために、公共・民間工事ともに建設キャリアアップシステムの活用が原則化される予定です。
また、建設業退職金共済制度(建退共)においても、2023年度から建設キャリアアップシステムへ完全移行する予定です。これにより、確実な掛金充当と透明性の向上が期待できます。
(出典:国土交通省『建設キャリアアップシステムの取組みの現状について』『建設キャリアアップシステム普及・活用に向けた官民施策パッケージ』)
建設キャリアアップシステムの登録方法
建設キャリアアップシステムには、技能者登録と事業者登録の2つがあります。一人親方の場合は、技術者登録が必要です。事業者登録については、仕事の依頼を受ける立場かどうかで変わります。
申請方法は、インターネット申請と認定登録機関(窓口申請)の2通りあります。ここでは、インターネットでの申請方法を紹介します。
技能者登録
一人親方の場合、技能者登録は必須です。技能者登録は、簡略型と詳細型の2段階の登録方法があり、いずれかを選択して登録します。
▼2段階登録申請の概要と登録料
簡略型 |
登録情報 |
本人情報等の基本的な情報のみ |
登録料 |
2,500円 |
|
詳細型 |
登録情報 |
|
登録料 |
4,900円 |
簡略型と詳細型では、登録に必要な書類や料金が異なるため、あらかじめ確認しておきます。
▼技能者登録の手順
1.建設キャリアアップシステムホームページの技能者登録画面を開く 2.ホームページ記載の手順に沿って必要事項を入力して、簡略型・詳細型のいずれかを選択して登録申請を行う 3.技能者登録料を支払う 4.技能者情報登録の完了後、建設キャリアアップカード・技能者ID通知を受領する |
▼必要書類
簡略型 |
|
簡略型 |
※簡略型の書類に加えて、以下が必要
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(出典:建設キャリアアップシステム『登録する』『No375 一人親方の場合は、事業者登録と技能者登録、両方が必要となるのか』『2段階登録申請について』『建設キャリアアップシステム「技能者情報登録申請書」の手引 第4.1版』)
事業者登録
一人親方の場合、請負契約を結んで施工体制に事業者として登録されるケースにおいては、事業者登録が必要です。
一方、特定の事業所に所属せずに、技能労働者として専属的に雇用される立場であれば、事業者登録は不要なため、技能者登録のみ行います。
▼事業者登録の手順
1.建設キャリアアップシステムホームページの事業者登録画面を開く 2.ホームページ記載の手順に沿って必要事項を入力して、登録申請を行う 3.後日送付される請求書で、事業者登録料を支払う 4.事業者登録の完了後、事業者ID・管理者ID通知を受領する |
▼必要書類
事業者確認書類 |
建設業許可あり |
以下のうちいずれか1点
|
建設業許可なし |
以下のうちいずれか1点
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資本金確認証明書類 |
建設業許可がある法人事業者、または個人事業主の場合に必要 |
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加入社会保険等証明書類 |
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▼申請費用(一人親方)
事業者登録料 |
0円(無料) |
管理者ID利用料 |
2,400円 ※毎年支払いが必要 |
(出典:建設キャリアアップシステム『登録する』『No375 一人親方の場合は、事業者登録と技能者登録、両方が必要となるのか』『建設キャリアアップシステム「事業者情報登録申請書」の手引 第4.1版』)
まとめ
この記事では、建設キャリアアップシステムについて、以下の内容を解説しました。
- 建設キャリアアップシステムの概要
- 建設キャリアアップシステムの仕組み
- 2023年度からの原則化について
- 建設キャリアアップシステムの登録方法
建設キャリアアップシステムは、建設技能者の資格や技術などを登録・蓄積して、処遇改善、担い手確保につなげるための仕組みです。登録することで、資格や技能レベルを見える化して客観的に証明できます。
2023年度からは、あらゆる工事での建設キャリアアップシステムの活用が原則化されるほか、建設業退職金共済制度からの完全移行が予定されています。一人親方で建設キャリアアップシステムへの未登録の方は、登録準備を進めてみてはいかがでしょうか。
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