新築住宅の施工トラブルはなぜ起こる? 工務店が徹底するべき対策とは
新築住宅の施工をめぐり、工務店とお客さまの間でトラブルが発生することがあります。
新築住宅は、多くのお客さまにとって一生に一度の大きな買い物です。お客さまに気持ちよく新生活を始めていただくためにも、トラブルが起きないよう、慎重を期すことが必要です。
そのためには、施工前の打ち合わせをはじめとした事前の対策が重要です。本記事では、新築住宅施工時に起こりやすいトラブルと対策法について解説します。
目次[非表示]
- 1.新築施工で起こりやすい3つのトラブル
- 1.1.1.工期の遅延
- 1.2.2.工事内容とイメージの相違
- 1.3.3.「言った・言わない」によるトラブル
- 2.工務店が徹底するべきトラブル対策法とは?
- 2.1.適切な工期の設定・契約書への明記
- 2.2.お客さまの住宅イメージ・ご要望を具体化する
- 2.3.リアルタイムでの情報共有
- 3.徹底した顧客管理でトラブルを未然に防ぐ!
- 3.1.部門の垣根を越えて情報共有!
- 3.2.お客さまとのコミュニケーションを円滑化!
- 4.まとめ
新築施工で起こりやすい3つのトラブル
新築住宅の施工にあたり、工務店とお客さまの間で起こりやすいトラブルは、以下の3つが挙げられます。
- 工期の遅延
- 工事内容とイメージの相違
- 「言った・言わない」によるトラブル
それぞれを詳しく見てみましょう。
1.工期の遅延
工事が予定どおりに進まず、契約時に定めた期間内に工事が終わらないケースです。お客さまは竣工に合わせて引越しのスケジュールを組む必要があるため、工期の遅延が金銭面のトラブルに発展しやすいといえます。
工期の遅延の要因は、施工ミスをはじめお客さまからの変更指示、災害や悪天候などさまざま。施工ミスは当然ながら、お客さまの指示によって設計変更や追加工事が発生した場合も、責任の所在をめぐり大きなトラブルに発展することもあります。
2.工事内容とイメージの相違
お客さまとのイメージのすり合わせが不十分な場合もトラブルに発展しやすいです。住宅の外観や設備、間取りなどがお客さまの意向と違う場合、工事のやり直しを求められることもあります。
とくに図面だけでは把握が困難な窓の位置・天井の高さ・生活動線などは、イメージしにくいことが考えられるため要注意。工事のやり直しが発生すれば多額のコストが必要になるばかりか、工期遅延の原因になります。
3.「言った・言わない」によるトラブル
お客さまとのトラブルを招く最も大きな要因は伝達ミスです。例えば、お客さまの窓口がご夫婦の場合、打ち合わせにご主人と奥さまのどちらかのみが参加することが多いと打ち合わせの内容を詳しく把握してもらうことが難しくなります。
「言った・言わない」というトラブルに発展しお客さまとの関係が悪化するケースもあるでしょう。
また、社内で適切な情報共有ができていないケースもあります。打ち合わせで決定した内容が現場監督や作業員まで伝達できていなければ、お客さまの意向と違う工事が行われてしまうでしょう。
言った・言わないのトラブルは、工事のやり直しのリスクが高まるばかりか企業への不信感を生む可能性もあります。
工務店が徹底するべきトラブル対策法とは?
お客さまとのトラブルを防ぐためには、どのような対応が必要なのでしょうか。ここでは、工務店が徹底する必要がある基本的な対策法を紹介します。
適切な工期の設定・契約書への明記
工期の遅延によるトラブルを防ぐ前提条件として、施工内容に応じた適切な工期設定が必要です。そして、遅延が発生した場合はどのような対応を行うのか、あらかじめ契約書や約款に明確に定めておきましょう。
工務店の責任による遅延はもちろん、お客さまからの指示があった場合や災害や悪天候などの不可抗力な要因による遅延についても明記し、お客さまの理解を求めましょう。
また、着工前に工務店とお客さまで十分に話し合い、施工内容や工程表を作成することが重要です。工程表は事前に共有して、工事変更の指示があった場合や災害や悪天候で工期に影響が出る場合は、遅延が起きる可能性があることをしっかり伝えておくことが重要です。
お客さまの住宅イメージ・ご要望を具体化する
イメージの相違によるトラブルは、お客さまのこだわりや意向がきちんと工務店側に伝わっていないことが原因です。平面図や仕様書だけでは完成後の住宅を想像しにくいため、実際には正しく共有できていない可能性があります。
認識の相違を防ぐには、お客さまが完成形をイメージしやすいように、写真や3Dパースで具体的に説明するのも効果的です。
また、使用する建材や製品、ブランドなどの細かな情報についても確認しましょう。仕様書を提示するだけでなく、実際のサンプルを使って質感や色などを提示し、イメージと相違がないか分かりやすい方法で見てもらうことが重要です。
リアルタイムでの情報共有
「言った・言わない」のトラブルを避けるためには、リアルタイムでの情報共有が必要です。細かく意思確認を行うだけでなく、打ち合わせや電話などでのやり取りを記録して共有しましょう。
また、着工後も確認を怠るのは要注意。工事の進捗状況や施工内容について、随時お客さまへ確認を取りリアルタイムな情報共有を行いましょう。
情報共有は、お客さまだけでなく社内でも徹底することが大切です。「変更依頼が作業員に伝わっていなかった」「作業内容の変更を確認せず、工事を進めてしまった」といった事態にならないよう、社内で迅速なコミュニケーションがとれる態勢を整えましょう。
徹底した顧客管理でトラブルを未然に防ぐ!
工務店での施工トラブルは、正しく情報が伝わらないことが主な原因です。
お客さまの要望を確認して迅速に共有するには、営業担当が個人で取り組むのではなく、チームで共有・管理できる環境が求められます。
しかし、複数の案件を抱えていたり社内のリソースが不足していたりといった状況では、適切な対応が難しいこともあります。
このような場合は、ツールやサービスを活用するのもひとつの手です。
最近では、社内での情報共有にとどまらず、お客さまとも施工情報を共有できるツールやサービスが提供されています。
では、これらのツールやサービスは、どのような点に留意して選択すればよいのでしょうか。
社内部門との連携とお客さまとのコミュニケーションの2つに分けて、ポイントをチェックしてみましょう。
部門の垣根を越えて情報共有!
多くのステップを部門と連携して管理することが必要な住宅づくりは、顧客情報と案件情報が適切に管理されていることが求められます。
また、部門の垣根を越えて情報共有できる環境も不可欠です。そのためには、以下などの機能が求められます。
- 顧客情報に応対履歴や進行中の案件情報を集約できる
- 工事の進捗をステップごとに管理できる
- 全社の案件の動きを自動生成できる
- 案件の流れや対応履歴を部門間で共有できる
正しく情報を共有するためには、顧客情報の一元化と進捗管理の徹底が重要です。
営業部門だけでなく設計・工事・経理まで、部門の垣根を越えシームレスに連携することでミス・漏れ・遅れを防止します。
工事の遅延ややり直しといったトラブルの未然防止や顧客満足度向上にもつながるでしょう。
お客さまとのコミュニケーションを円滑化!
お客さまとのトラブルを未然に防止するためには、お客さまとのコミュニケーションが重要です。ささいなことでも気軽に確認できる環境を整えることで、情報共有が容易になります。
しかし、お客さまとの情報共有には情報漏えいのリスクもあります。必要な情報だけを共有し、コミュニケーションを円滑化するには、以下などの機能が求められます。
- 建築に関する書類といった住宅の情報をクラウドに一元化できる
- 専用のアプリでスムーズに情報共有できる
- タイムラインで作業の進捗を共有できる
- お客さまと住宅づくりのタスクを共有できる
お客さまとの「言った・言わない」トラブルを避けるためには、しっかりと履歴を残すことが必要です。専用のアプリを活用したコミュニケーションなら、迅速かつ手軽な情報共有が可能になるほか、ほかのお客さまの情報を誤送信するミスなども防止します。
また、クラウドで顧客情報を一元管理して、スマートフォンアプリなどで確認できれば、スピーディな情報共有に役立ち、生産性向上につながるでしょう。
まとめ
新築住宅の施工にあたり、工務店とお客さまとの間でトラブルが起きることがあります。
トラブルを未然に防ぐためには、まずは事前にしっかりと協議し、確認を行うことが重要です。災害や施工内容の変更が発生した場合などの対応について、契約書や約款に責任の所在・賠償等を明記しておきましょう。
また、お客さまの要望やイメージとすれ違いが生じないように、分かりやすい施工提案も必要です。写真や3Dパースを提示して、よりリアルな完成形を把握してもらいましょう。
そして、言った・言わないのトラブルを避けるため、打ち合わせの内容や工事の進捗状況などの情報共有も重要です。こまめにお客さまと意思確認を行うとともに、社内での情報共有を徹底しましょう。
工務店での新築施工トラブルは、正しく情報が伝わらないことが主な原因です。営業担当が個人で取り組むのではなく、社内全体で情報の共有・管理を行う必要があります。
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