制限あり!叶えられる住宅の高さは?
お客さまは新居での理想の生活を想像しながら住宅の購入を検討しているでしょう。しかし、お客さまの理想をすべて叶えることは難しいです。なぜなら、建築基準法をはじめとしたルールがあるからです。
建築基準法で定められているルールの1つに高さ制限があります。地域によっては住宅の高さに上限が設けられているのです。
住宅設計のルールについてはお客さまに説明する必要があります。知識を整理して、いつでもお客さまに説明できるようにしておきましょう。
今回は、建築基準法に定められている高さ制限について解説します。
目次[非表示]
- 1.用途地域について確認しよう
- 1.1.高さ制限は景観をつくる
- 1.2.一戸建て住宅に高さ制限がある地域
- 2.絶対高さ制限
- 3.道路斜線制限
- 3.1.道路斜線を書いてみよう
- 3.2.適用距離
- 4.北側斜線制限
- 4.1.北側斜線の引き方
- 5.まとめ
用途地域について確認しよう
高さ制限の条件は用途地域によって異なります。用途地域とは、建築できる建物の役割が行政によって決められている地域のことです。それでは、まず用途地域について確認しておきましょう。
高さ制限は景観をつくる
街の外観には、一戸建て住宅しかない静かな街、高層ビルが立ち並ぶオフィス街など、それぞれ特色があるエリアが多くあります。これは地域ごとに建物の使用用途が制限されることによって、その地域には似たような建物が建つようになっているからです。
そのため、住宅街やオフィス街のような特色のある景観が生まれます。
制限がなく自由に建物を建ててしまうと、景観に影響が出てきます。高層ビルと木造一戸建て、さらには商業施設が同じ地域にあると見栄えの悪い街になってしまうのです。
一戸建て住宅に高さ制限がある地域
用途地域は13の種類があり、その種類によって制限が変わってきます。ここでは一戸建て住宅の高さ制限に関係する2つの用途地域、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域について紹介します。
第一種低層住居専用地域は低層住宅で住む人が暮らすための地域です。小規模な住宅に加え、学校や診療所などを建てることができます。街並みが整っている半面、コンビニや飲食店を建てることができないので、生活が不便と感じる人もいるかもしれません。
第二種低層住居専用地域も同様に低層住宅で住む人が暮らすための地域で、第一種低層住居専用地域の建物に加え、150m2以内であればコンビニや飲食店の建設が可能です。
絶対高さ制限
ここからは高さ制限について説明していきます。絶対高さ制限は10メートル、もしくは12メートル以内という制限のことで、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域ともに適用されます。
絶対高さ制限が10メートルか12メートルかどうかは地域によって異なるので、住宅を建てる地域が決まった際に調べておきましょう。
10~12メートルというのは木造住宅では3階建て、コンクリート造の住宅なら4階建てぐらいの高さに相当します。ロフトを設置するなどの理由で天井を高めに設計することを想定していると、2階建ての住宅でも制限に引っかかってしまうかもしれません。お客さまが天井の高い住宅を希望された場合には注意しましょう。
道路斜線制限
ルールなしに大きな建物を建ててしまうと、日の光が当たらない場所ができたり、風の通りが悪くなったりなど、人々の生活に支障が出てしまいます。それを防ぐルールの1つが道路斜線制限です。
道路斜線を書いてみよう
重要なのは上限となる高さの求め方です。前面道路の住宅に面していない側に基準点を置き、そこから土地に向かって一定の角度で斜線を引きます(道路斜線)。この斜線を超えた建物を建てることは禁止されています。
つまり、前面道路側を手前とすると、奥の方が高さの上限は高いのです。斜線の角度は用途地域によって異なります。
適用距離
道路斜線制限には適用距離というルールがあります。これは、基準点から土地までの距離が用途地域によって定められた距離(20~35メートル)を超えた場合、適用距離より奥には道路斜線制限がかからないというものです。
つまり、奥行きのある住宅の奥側は道路斜線を超えても問題ありません。ただし、絶対高さ制限を超えてはいけないので注意しましょう。
北側斜線制限
北側斜線制限とは、北側に隣接している建物に日の光が当たるようにするために、建物の高さを制限することです。太陽の性質上、北側は日の光が当たりにくいので、このような高さ制限が必要になってきます。
北側斜線の引き方
基本的には道路斜線と同様、基準点を決め、そこから一定の角度で斜線を引くです。気をつけるべきは基準点の決め方です。
まず、真北にある隣の敷地との境界線に基準点を置きます。そして、そこから一定の高さ(5メートルあるいは10メートル)を取った後に道路斜線と同様に斜線を引きます。
一定の高さを取ってから斜線を引くため、道路斜線よりも制限は緩くなります。しかし、道路斜線制限と同様に絶対高さ制限を超えてはいけません。
まとめ
今回は住宅の高さ制限について説明しました。高さ制限は地域による差が大きいので、お客さまの新居の場所が決まったらその都度調べるようにしましょう。
高さ制限は必ず守らなくてはいけないルールです。営業担当者がルールを理解しておくことで、お客さまの理想がどこまで叶えられるのかを事前に把握することができます。
また、お客さまにとっても何がNGで何がOKなのかを知ることで、より具体的な住宅づくりを考えることができるようになるでしょう。
今回紹介した高さ制限をはじめ、法律については十分に理解しておきましょう。