初めの一歩は目標設定! 工務店でブランディングを行う必要性とは
工務店のマーケティング戦略において、“ブランディング”は不可欠です。
住宅市場は、少子高齢化や単身世帯の増加という影響を受けて、将来的に縮小が見込まれており、住宅業界全体で価格競争が拡大するといわれています。
類似した資材や設備を利用する工務店では競合相手との差別化が難しく、価格競争に負けないためには、自社にしかない価値の創造、つまりブランディングが必要になります。
なかでも中小規模の工務店は、大手と比べてブランド戦略に費やせる資産や、専門的な人材を雇用する予算などに限りがあります。大がかりなアプローチは厳しいため、大手とは異なる切り口でブランド価値を高める必要があります。
本記事では、工務店におけるブランディングの必要性や進め方について解説します。
目次[非表示]
- 1.ブランディングとは
- 2.ブランディングの進め方
- 2.1.①目標を明確にする
- 2.2.②自社の強みとターゲットを定める
- 2.3.③独自性があり、伝わる広告を展開する
- 3.ブランディングによって得られるメリット
- 3.1.価格競争に巻き込まれない
- 3.2.ブランドへの信頼を高める
- 4.まとめ
ブランディングとは
ブランディングとは、企業のイメージを強化し、認知を高める経営戦略のことです。企業を認知していない消費者に向けて、どのようなコンセプトの会社なのか、他店にはない魅力は何かを伝え、自社の価値とブランドイメージを構築することが目的です。
競合相手との差別化が難しい工務店において、ブランディングは企業経営のなかで大きな課題といえます。
たとえば、「低価格でリフォームできる」「設備が選択できる」といった強みは、特定の工務店だけではなく、ほかの工務店にも当てはまる可能性があります。そのため、ブランディングにつながるアピールとしては不十分になってしまいます。「ほかの工務店と同じ」だと認識されないためには、自社ならではの価値を見出すことが必要です。
工務店が成長していくためには、大手やほかの工務店とは異なる魅力を持ち、独自の強みを生み出して、消費者からの認知・信頼の獲得に目を向ける必要があります。
ブランディングの進め方
工務店のブランディングを確立させるためには、目標に向けた商品開発やサービスの検討が必要です。
目標が定まらない状態で商品やサービスを売ろうとすると、コンセプトやテーマの軸がぶれやすく、ブランド構築が難しくなります。
一貫性のあるコンセプトで価値を強化するためには、次の手順でブランディングを進めると効果的です。
①目標を明確にする
ブランディングにあたり最初のステップとなるのが、目標設定です。
どのような工務店になりたいのか、お客様とどのような関係でありたいかなど、自社の理念やコンセプトを明確にすることから始めましょう。
目標が定まらないと、将来的に目指しているブランドとはかけ離れてしまう可能性があります。消費者から共感や信頼を得るために、まずは企業の土台となる理念やコンセプトを明確に掲げることが大切です。
目標設定に向けて、従業員全員で企業の目標について話し合う場を設けたり、上司や部下が意見を出しやすい職場環境に整えたりしていきましょう。
②自社の強みとターゲットを定める
目指す方向性を明確にしたあとは、その目標に向けてどのような商品やサービスを提案するか、誰にアプローチをするかを定めます。
まずは、自社の理念やコンセプトと整合性のある強みを考えてみましょう。
たとえば、コストパフォーマンスの高い家づくりを目標としている工務店の場合、以下のような点が強みとして挙げられます。
- 資材や設備の選択肢が多くカスタマイズしやすいため、大手よりも細かな価格交渉がしやすい
- 建設にかかる費用以外の間接コストが少ない分、低価格で良質な家づくりが可能
強みが明確になると、ターゲット像も見えてきます。
上の例の場合、ターゲットとなる人は、家づくりの設備にこだわりを強く持っている人や、低予算でも細かな価格調整に対応してほしい人などが挙げられます。
さらに、どのような人に家を建ててほしいのか、家族構成や趣味などを想定し、ターゲット像を細かく定めていきましょう。
③独自性があり、伝わる広告を展開する
自社のコンセプトや強み、ターゲットを明確にできたら、次は具体的なアプローチ方法を考えましょう。
ここで重要なのは、“ターゲットに響く伝え方”をすることです。
ホームページや広告の制作において、自社の強みを表現したデザイン制作や、ユーザーの興味を引くコンテンツなどは重要な要素となります。キャッチコピーやロゴにも工夫を凝らしましょう。
ブランディングのためには、ほかにはない“自社らしさ”を伝える必要があります。既存のデザインやアイデアを取り入れるだけでは、競合相手と差別化を図ることは難しいでしょう。人々の目に留まる工務店を目指すためには、自社の世界観や本質的な価値をターゲットに理解してもらい、共有することが大切です。
ブランディングによって得られるメリット
ブランディングを確立させることにより、次のようなメリットが得られます。
価格競争に巻き込まれない
自社にしかない独自の価値を確立することで、「○○といえばこの会社」「この会社のデザインはいつも趣味が合う」というように、ブランドへの共感性が高い商品やサービスを予測して展開できるため、ブランドの信頼構築につながります。
消費者から特別な存在として評価されることによって、価格競争に巻き込まれるリスクを軽減できます。
ブランドへの信頼を高める
ブランディングが定着することによって、消費者の持つ自社へのイメージやターゲット層が絞られるため、一貫性のある経営ができます。
また、ブランドへの信頼性を高めることで、競合相手が同じサービスや商品に参入してきた際に、優位な地位を確立しやすくなるというメリットもあります。
まとめ
注文住宅やリフォームなどを検討している消費者は、さまざまな工務店やハウスメーカーを比較しながら、自分に合った会社を選択します。そのため、競合相手との差別化は企業戦略において欠かせません。
ブランディングは、こうした差別化やブランドのイメージを構築するうえで有益となります。
自社でどのような家づくりをしていきたいか、強みをどう活かしていきたいかなどをあらためて考えてみてはいかがでしょうか。