住宅営業ノウハウ

新入社員が陥りがちな間取り提案失敗例

5月になり、早いところでは新入社員が現場に配属されるところもあるのではないでしょうか?

期待に胸を膨らませる新入社員に大事な商談を任せるのはなかなか難しいですが、流れによっては新入社員が最初から商談をせざるを得ないシーンもあるのではないかと思います。

そこで商談がうまく進めばよいのですが、気が付かないうちに「昨年も誰かがやってしまった初歩的な失敗」で大事な商談を潰してしまったり、新入社員にさせなくてもよい失敗をさせてしまったりしていませんか?

目次[非表示]

  1. 1.ヒアリングの失敗
  2. 2.設計の失敗
  3. 3.ディテールの失敗
  4. 4.まとめ

ヒアリングの失敗

よくあるのは顧客に好かれたいがために、まずはなんでも聞いてしまう「検討してみます」というヒアリングの失敗。これは新入社員だけでなく、2〜3年目の社員でもいるのではないでしょうか?

敷地に収まりきらないぐらいの夢いっぱいのお客様の希望を聞くだけ聞いて「…そうしましたら設計と相談して次回ご要望に沿うプランを提出します」と、無理な要望のプラン作成を請けてしまうタイプの社員。

でも物理的に敷地に入らない要望はどんなに考えても、どんなに設計にアドバイスを求めてもプランとしてまとめることはできません。なんとか顧客に気に入られるものができないか…と夜な夜な残業をする若い社員も多いのではないでしょうか?

上記の図は以前、私の部下だった入社3年目の営業社員が夜な夜な考えていたというプランです。

ツッコミどころが満載で、どうしてこんなプランになったのか聞いてみたら「お客様の要望を聞いていたらどうしてもこうなってしまうんです…」と、自分でもおかしいことに気付いているのです。

そもそもこの大きさの敷地にカーポート付きの4LDKを作ろうというのがムリな話です。
注文住宅の場合、顧客の要望に対して予算的・物理的に見合う提案ができるか初回面談ですり合わせることが大切です。そこですり合わせができなければ、なかなか契約までには至りません。

初回面談とヒアリングが大事ということですね。契約できそうにないお客様を無理に追いかけている若い社員…皆さんの会社にはいませんか?

設計の失敗

とりあえず顧客のヒアリングには成功し、形になりそうなプランができそうだ…となっても、若手社員にはまだまだ教えなければいけないことがたくさんあります。

構造的にできないものや脆弱なプランニング、または実際に施工をしようとしたときに極めて施工しにくくて品質的に問題が発生しそうなプランニングをしていることはないでしょうか?

例えば2階外周部にL字型のバルコニーをつけるなどです。鉄骨系プレハブメーカーではできるかもしれませんが、多くの木造軸組工法では梁の構造上、外周部にL字型のバルコニーを作ることには問題があります。(図②)(ご自身の会社の仕様とよく検討してください)

また緩勾配の切妻屋根を棟をずらしてかける場合、狭くて外壁妻壁の細部の施工ができないことがあります。(図③)(大手住宅会社では6尺以上ずらさないと切妻屋根はかけられないと設計ルールを課すところもあるようです)

そして、構造的な理解のされていないプランニング。木造軸組み工法の多くは梁を受ける柱は二間までとするところが多いと思います。

ですが顧客から「柱の無い大空間のリビングが欲しいの!」と言われて、2階の梁をどこで受けるのか検討されていない、思わず目を疑うようなプランになっていませんか?

または柱や壁の直下率が無視されていて、地震が来たらすぐにでも崩れそうな脆弱なプランになっていることはないでしょうか?構造的な問題も基本的な考え方とルールを教えてあげればそう難しくはないので、ぜひマスターさせたいところです。

ディテールの失敗

建物の形がまとまっても、樋やエアコンスリーブといったディテールをおろそかにしてしまうと出来上がってから「こんなはずでは…」という建物になってしまいます。画竜点睛、新人が担当する物件であればなおのこと細かいところまで面倒を見てあげたいものです。

例えば、2階から降りてくるエアコンスリーブはサッシやベントキャップとぶつかってあみだくじのようになっていないでしょうか?雨樋も同じです。キレイに地面に向かっていますか?

サイディングの割り付けだって外装会社任せにしていたら、材料の歩留まりの良いところで切り貼りされて、デザイン無視の縦線が入ることだってあります。いえ、そもそもきちんと線が通った割り付けを意識しているでしょうか?

サッシだって平面図だけをみて位置を決めてしまうと、窓の位置がずれてしまった残念な外観になることがあります。また浴室と洗面所のサッシは洗面所側をh=2000、浴室側をh=1800の上端でつけることが多いですが、もし道路側に水回りを配置せざるを得ない場合、サッシの上端を揃えるなど通行人の見た目を気にした配置にしたいものです。(図④)

こうした細かい外観に対する配慮、建物立面のディテールは立面図を描いてみるとわかります。

しかし経験年数が浅いと、1:100の立面図を見てもなかなかその違和感に気づかないもの。ただ、1:100の図面で「何だか変かな?」と感じたら、完成すると100倍の違和感になって返ってきます。

出来上がった立面図、何か違和感をもちませんか?完成時に100倍の違和感を持ち、「しまった!こんなはずでは!」と思う前に先ほどのポイントをもう一度よく見てみましょう。

まとめ

以上、新入社員が陥りがちな失敗を3つのポイントに絞ってご案内しました。ヒアリング技術だけでなく構造やディテールをきちんと押さえたプラン提案で早々に初契約がとれるといいですね。

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松田健
松田健
株式会社ホームプランニング1000代表取締役。大手住宅会社勤務時代に自ら描き上げた1000件を超える間取りデータベースを基にオリジナルのプラン提案ツールを開発。建築をしらない若い営業でも簡単に間取り提案ができるよう全国で研修・セミナーを行う。

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