ABC分析とは? 工務店・ビルダーの成約率を高める分析方法やメリット
工務店・ビルダーの営業活動で売り上げを確保していくには、ターゲットの見込み度合いに応じた営業戦略を立てることが重要です。
ABC分析を活用すれば、成約に至る可能性が高い顧客・可能性が低い顧客などをランク分けして、有効なアプローチやマーケティング手法を検討できます。
本記事では、ABC分析の基礎知識と活用法、そのメリットなどを解説します。
目次[非表示]
- 1.ABC分析とは
- 2.ABC分析で顧客分析を行う方法
- 2.1.①見込み顧客のデータを集計する
- 2.2.②集計データをグラフ化する
- 2.3.③ABCに3分類する
- 3.工務店・ビルダー営業でABC分析を活用するメリット
- 3.1.①成約の可能性を高められる
- 3.2.②リソースを有効活用できる
- 3.3.③合理的な営業体制を構築できる
- 4.まとめ
ABC分析とは
ABC分析とは、売り上げやコストなど、さまざまな指標から物事をランク分けし、優先順位を決める分析手法です。重点分析とも呼ばれ、顧客分析や顧客管理などに活用されています。
工務店・ビルダーにおいては、有望な見込み顧客に対して優先的にアプローチし、顧客化に向けた戦略を立てるために有効な手法です。
ABC分析によって、以下のようなランク分けが可能です。
▼工務店・ビルダーにおけるABC分析の例
- Aランク(上位):優先的なアプローチが必要な見込み顧客
- Bランク(中位):有望顧客の発掘・育成が必要な見込み顧客
- Cランク(下位):未対応またはアプローチの機会創出を狙う見込み顧客
顧客の見込み度合いに応じて3つのランクに分け、優先順位や対応方法を策定することで、見込み度の高い顧客を逃してしまうのを防ぎます。
ABC分析で顧客分析を行う方法
ABC分析によってどのように顧客分析を実施するのか、具体的な方法を3つのステップで解説します。
①見込み顧客のデータを集計する
ABC分析を実施するには、ランク分けのためのデータが必要です。見込み顧客のデータ数が多いほどABC分析の有効性が向上します。
工務店・ビルダーで見込み顧客のデータを集計する際は、以下のような入手経路があります。
▼見込み顧客データの入手経路
- 自社Webサイトへのアクセス
- 問合せや資料請求
- 展示会や店舗への来店
- Web広告のクリック・閲覧
この場合、オンライン・オフラインの両方で見込み顧客のデータを取得するのがポイントです。
適切に顧客情報の蓄積・管理を行うために、見込み顧客の行動データを蓄積できるシステムやツールを活用するのもよいでしょう。
②集計データをグラフ化する
見込み顧客のデータを収集した後はグラフにして可視化します。数値だけでは優先順位を把握しづらいですが、グラフ化することで見込み度合いを認識しやすくなります。
工務店・ビルダー営業の場合には、顧客の購買意欲やニーズ、将来性などを基に見込み度を数値化するのがポイントです。
③ABCに3分類する
最後に、見込み顧客の重要度に応じてABCに分類します。成約の可能性が高い見込み顧客をAランク、可能性が下がるに連れてBランク、Cランクと分類します。
ABCの分類においては、すべての見込み顧客のなかからどのような割合で3分類すればよいのか悩むことがあります。
この3分類の割合を考える際に活用できるのが、“パレート(2:8)の法則”という手法です。この2:8とは、「売り上げの80%は上位20%の顧客が占める」という意味です。
パレートの法則を活用する場合は、以下の割合で3分類します。
▼パレートの法則を用いた分類
Aランク:上位20%
Bランク:中位30%
Cランク:下位50%
上位20%を優先かつ重要なアプローチ対象として営業リソースを割くことで、成約に至る可能性が高くなります。
また、中位・下位の80%に対して必要以上の営業リソースを割くのを避けることで、営業効率を高めることが可能です。
このように、優先する部分を選択して注力し、それ以外のプロセスを削減して無駄を省くこともABC分析の考え方です。
工務店・ビルダー営業でABC分析を活用するメリット
工務店・ビルダー営業でABC分析を取り入れるメリットは、主に3つあります。
①成約の可能性を高められる
ABC分析によって見込み顧客の優先順位を把握することで、的確な営業活動が可能になります。たとえば、以下のような対応が可能です。
▼ABC分析による営業活動の例
Aランク(優先順位:高) |
アポイントメント獲得や商談、訪問などの 重点的なアプローチを実施する |
---|---|
Bランク(優先順位:中) |
メルマガ配信やWeb広告など、
継続的な育成アプローチを実施する
|
Cランク(優先順位:低) |
ターゲットの除外や予算・リソースに応じたアプローチ手法を
検討する
|
見込み度の高い顧客に重点的にアプローチすることで、成約率の向上が期待できます。
②リソースを有効活用できる
アプローチの優先順位に応じて人材を割り振ったり、コストを配分したりすることが可能です。
アプローチの優先順位を見極められれば、「アポイントメントを獲得したのに購入意思がなかった」といったリソースの無駄を削減できます。人材やコストなどのリソースを有効活用できるため、業務効率化や生産性の向上にもつながります。
③合理的な営業体制を構築できる
定期的にABC分析を実施することで、成約につながりやすい営業体制を構築できます。
アプローチの効果を分析してABCにおける3分類の割合を調節したり、各ランクのアプローチや育成手法を検討したりといった対応も可能です。
合理的な営業体制が整うことにより、営業プロセスの最適化や組織改善にもつながります。
まとめ
さまざまな指標から優先順位をランク分けできるABC分析は、工務店・ビルダーの顧客分析にも活用できます。
見込み度合いに応じて顧客をABCの3つに分類することで、成約に近い見込み顧客に優先的にアプローチすることが可能です。
各ランクに応じた営業戦略の策定が可能になり、リソースの有効活用や営業体制の強化、組織改善などが期待できます。
ただし、ABC分析を実施する際は、見込み顧客のデータを蓄積・管理できる体制が必要です。
ABCに分類した顧客の情報や行動などのデータを管理できるシステムやツールの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。