工務店・ビルダーがYouTubeを活用するには
ポストコロナにおける住宅購入検討者の行動の変化の一つが、WEBで事前に情報を吟味してから展示場・見学会等に訪れるようになったことです。
WEB媒体の中でも、少ない時間で多くの情報を伝えられるのが動画です。コロナ禍でWEB動画の視聴時間が増えているというような統計データもあり、これからの広告宣伝・ブランディング戦略において動画の注目度は高まっています。
この記事では工務店・ビルダーがYouTubeを活用するために知っておくべきことを紹介します。
YouTubeに対する3つの誤解
一部の工務店・ビルダーでは、コロナの感染が拡大し始めた2020年頃からYouTubeの公式チャンネルを本格稼働してホームページへの流入を増やし、来場予約、商談、受注へと結び付けています。
すでに累計再生回数が100万回、登録者数が1万人を超え、ハウスメーカーを凌ぐ視聴者を獲得しているチャンネルも少なくありません。
比較的新しい媒体であるYouTubeに対し、本格的にリソースを割いて活用することに踏み切れないという工務店・ビルダーも多いと思いますが、そこにはYouTubeに対する、以下のような誤解があることが推測されます。
1. YouTubeは若い人だけが見ているメディアであるという誤解
総務省の調査によると、10代・20代のYouTube利用率は9割を超えており、若い年代からの人気は高いです。ただし、50代でも75.2%と4人に3人、60代でも44.8%とほぼ2人に1人がYouTubeを利用していることもわかります。YouTubeは当たり前に幅広い世代から視聴されていると考えるべきです。
2. YouTubeはスマホで個人が見ているという誤解
Google社の発表によると、YouTubeをテレビ画面で見る人は1,500万人以上、そのうちリビングのテレビでの視聴が65%以上、家族や友人と一緒に見る人が50%を占めるということです。
YouTubeはスマホで個人が楽しむだけでなく、テレビで家族で視聴するメディアとしての役割が濃くなってきているということです。
3. YouTubeの動画はYouTuberが投稿しているという誤解
若者を中心に登録者数・再生回数を増やし、収益の額も大きいYouTuberはテレビ等でも取り上げられることが多くなりました。
しかしながら、専業のYouTuber以外でも誰もが自由に動画を投稿できるのが、YouTubeというプラットフォームです。
例えば、オンライン動画と教育というコンテンツの相性は良く、英会話や料理、美容等のハウツー動画で多くの再生回数や登録者数を獲得しているチャンネルも少なくありません。
地方自治体や一般企業等も、YouTubeに公式チャンネルを設けて情報発信を行うようになってきています。
工務店・ビルダーがYouTubeを活用するメリット
他の媒体と比較して、工務店・ビルダーがYouTubeを活用することのメリットが多くあります。
他の広告媒体の多くは消費型であるのに対し、YouTubeは資産型の媒体と言われます。
一度投稿した動画は公開を停止したり削除しない限りはアーカイブとして蓄積され、おすすめ動画や関連動画として繰り返し表示されるからです。
1本の動画に興味を持った視聴者が他の動画も遡って視聴してくれる可能性があり、数年前に投稿した動画の再生回数が急に伸びてくるということもあります。
YouTubeはGoogleアナリティクスと同様に、解析の機能が充実していることも挙げられます。
視聴者維持率や流入経路、アクセス時間帯等のデータを、動画ごとに詳細に分析できるため、視聴者の離脱が増えた箇所を分析して撮影や編集の方法を改善したり、動画を投稿する時間をアクセスが多い時間に合わせるといったPDCAを回しやすいのです。
他のメディアと決定的に異なるのは、広告媒体でありながら収益を得られるということです。YouTubeの動画制作や運用はそれなりにコストがかかるものですが、YouTubeを運用すること自体が、そのコストを稼ぎ出す収益事業にもなり得ます。
YouTubeは再生回数を増やす工夫も重要
YouTubeに良い動画コンテンツを投稿しても、多くの人に見てもらえないと、その先のホームページへの流入、来場、成約にはつながりません。YouTube活用においては、再生回数を増やす工夫もコンテンツづくりと同等に重要です。
YouTubeの動画への流入には、大きく分けて2つの経路があります。
一つは自社のホームページやSNSからのリンク、検索エンジン等の、YouTubeの外部からの流入です。もう一つはYouTube内からの流入があります。
YouTube内のキーワード検索、視聴者の閲覧履歴やトレンドに基づいてトップページに表示される「おすすめ動画」、ある動画を視聴しているときに関連性の高い動画として表示される「関連動画」です。
自社のことを元々知っている人であれば、ホームページ・SNSからのリンクや、社名検索から動画に辿り着いて視聴してくれますが、新規流入によって再生回数を増やすためには、おすすめ動画や関連動画に表示されることが必要です。そのためには、YouTubeから「この動画は価値がある」と認識される必要があります。
YouTubeからの評価を高めるには、まず一定の頻度を保ち多くの動画を投稿することです。
ある程度まとまった本数の動画が蓄積されれば、YouTubeのアルゴリズムに推されやすくなります。最後まで見てもらえずに途中で離脱されることが多い動画は、YouTube側から「価値が低い」と認識されるため、視聴者維持率を高めることも重要です。
ルームツアーでは、冒頭の数秒にその動画のダイジェストや予告を入れたり、家づくりの知識動画ではクイズ形式やランキング形式にして、見どころを最後まで引っ張る等の工夫が考えられます。
投稿する動画には、検索や関連動画のキーワードとなるタグを埋め込むことができます。
動画の内容に関連するキーワードを埋め込むことはもちろんですが、同ジャンルの他の人気動画と同じタグを加えると、その動画の関連動画として表示されやすくなります。
また、YouTubeの動画投稿において最も重要と言われるのが、タイトルの付け方やサムネイルのデザインです。
内容が端的に分かるようにするというのは基本ですが、人気のある動画を参考にして、はやりのキーワード等を取り入れることをおすすめします。