最近の住宅購入検討者の動向と、初回面談で押さえるポイント
プロ施主なる言葉をチラホラと耳にするようになりましたが、以前に比べて住宅購入検討者の知識レベルが異様なほどに上がっています。
インターネットの影響が大きいのですが、そこにあふれる住宅の情報を徹底的に調べた上で展示場にやってくるわけです。
住宅営業をしていた頃の私であればとても答えられないようなことを次から次へと質問をしてくるので、営業社員の質を高めないと、初回面談で簡単に断られる事例が多発すると思ってください。
目次[非表示]
まずはネットで情報収集して比較検討
私がご説明するまでもなく、今のお客様は展示場に来る前にインターネットで住宅会社のホームページをチェックします。
これは容易に想像できますが、工務店側の対応がそれに追いついていないのが大きな問題です。私はコンサルティング先や社員研修で自社ホームページの認知度テストを頻繁に行います。
- 資本金
- 社員数
- 創業年度
- アフターサービス
- 構造
- お客様の声
ホームページに書いてあることなら何でもよいのですが、様々な内容をテスト形式にして営業社員に質問します。
すると、その結果は経営者が驚くべきものになることが頻発します。騙されたと思ってテストを行ってもらいたいのですが、もし成績が振るわなければホームページの内容を徹底的に認識させてください。
お客様は一生に一回の大きな買い物ゆえに、工務店のホームページを穴のあくほど読み込んでやってくるのです。営業社員が自社のホームページ内容をよく見ていないことがお客様に露見すれば、その瞬間に信用を失いかねません。
※ウィザースホームのトップページ
最初から展示場に足を運ぶ人もいれば、下調べを済ませてある程度候補を絞ってから来店する人も
この傾向も顕著だと感じています。やはりインターネットの影響が大きいのですが、ホームページなどを調べて訪問する住宅会社を絞ってくる傾向が顕著だといえるでしょう。
九州にある某社の場合ですが、展示場来場者を分析すると 20%程度は下調べをした上で「〇〇ホームさんが良いと思って今日は来ました」と営業社員に話します。ネット社会になる以前にはこのような傾向は皆無でした。
積水ハウスのような大きな会社であっても、友人や知人が積水ハウスで建築していない限り、それはあくまでも会社名が有名でコマーシャルで見たことがあるというだけのことでしょう。下調べしようにも調べようがなかったわけです。この会社では20%程度が下調べをしていると書きましたが、実際の数字はもっと高いと感じています。
「会社をホームページで下調べしてきました」
皆さんがこのように明言するわけではありません。それなりか、もしくはしっかりと調べたかは定かではありませんが、ある程度あたりをつけて来店されるお客様の比率は、50%程度は優にあるのではないでしょうか。
※ロープレ研修で展示場へ出向いた筆者(福岡県)
よくあるお客様からの質問
ある顧客への取材をご紹介します。展示場で接客をするとお客様から様々な質問が飛んできます。たわいもない質問もあれば、極端にマニアックな質問まであるわけですが、代表的な質問事例を箇条書きにしてみましょう。
①「この部屋は何畳ぐらいあるのですか」
定番質問ですが、必ずといっていいほどある質問ですので、自社展示場の部屋の広さは畳数と平米数それぞれを必ず暗記しておきましょう。
②「保証やアフターサービスはどうなっていますか」
この質問に対して大手メーカーやパワービルダーなどは的確に返答しますが、問題は小規模の工務店の皆さんでしょう。人手の制約もありますので、大手メーカーのように明確なアフターサービス体制が整っていない会社が多いのです。
こうなるとお客様への返答も曖昧になり「いつでも言ってくだされば駆けつけますよ」という玉虫色的なものになりがちなのです。
③「会社のアピールポイントは何ですか」
なかなかストレートな質問ですが、会社のアピールポイント、姿勢、取り組み方針などを聞いてくるお客様が存在します。
いきなりこんなことを聞かれると面食らうわけですが、 実際によく出る質問ですので堂々と答えられるようにロールプレイングなどをして鍛えておきましょう。
お客様の心を掴むならここを押さえろ!
展示場における初回面談をうまくこなし、その場で次回のアポイントを取る比率の高い営業社員のデータから論じてみましょう。
私は23年にわたって住宅営業指導に携わっていますが、これまで大きな会社から小さな会社まで様々な優秀営業社員に会って話を聞いてきました。
①自分の話をする
ある種の雑談ともいえますが、初対面で家の話ばかりしていては面白くありません。出身校でもいいですし学生時代に経験したスポーツでも構いませんが、接客のどこかでお客様の共感を得られるような自分の話をすると、次回アポイントが取りやすくなると話す優秀営業社員が極めて多かったとことを伝えします。
② 会社のことを愛している
愛している…ちょっとオーバーかもしれません(笑)。しかし、自分が勤務する会社や商品に対して愛情を持ち、そして会社自体に対しても愛着を持っている人の言葉は信頼感が増しますし、何よりも好感度が爆上がりします。私が積水ハウス1年目のときですが、某カーディーラーへ先輩に連れていかれました。
そこには本体価格が400万円を超すような高級車がすでに用意されていて、担当の若い営業社員が私にガンガンと営業してくるわけです。
「400万円の車なんて冗談じゃないよ」
「そもそも頭金すら持ってないし」
内心このように思いながらのらりくらりとかわしていたのですが、そこに登場したのが敏腕の営業本部長でした。
「森さんね・・・僕がなぜこの会社を選んだかというと、ロータリーエンジンが大好きだったんだよね。これは本当によくできたエンジンで燃費は悪いのだけども僕は大好きなんだよ」
本当にこんな感じでした(笑)。
意表をつかれたアプローチを食らった私は、結局その場で購入の意思決定をしてしまったのです。
エンジンの性能がどうのこうのとか、値引きの話を仕掛けてくるのかと予想していた私に対して、部長は全く違ったアプローチで攻めてきました。
同期社員にその旨を話したら「お前はバカか」と一笑に付されましたが、自社に対する愛情を語る部長にグイグイと引き込まれたことは、今でもはっきり覚えているのです。
まとめ
コラムのまとめは家ではなく車の話になってしまいましたが、家も車も関係ありません。お客様の気持ちを掴むことには変わりないのです。車の経験はすぐに住宅営業に活かしました。
自分が勤める会社は好きだし、その商品も実によくできていて素晴らしいと心の底から思ったので、それを接客時にも心の底からアピールしたのです。
お客様に直接聞いたわけではないですから何とも言えませんが、その想いが間違いなく伝わったおかげで、次回アポイント率が他の営業担当者と比べても極めて高くなったと考えています。
≫ 住宅営業社員育成