身近になりつつある民泊について知ろう
“民泊”という言葉が一般的に広がるなか、民泊事業にさまざまな企業が参入しています。そして、民泊新法という新たな法律が制定されたこともあり、民泊事業に注目が集まってくることでしょう。
これらの現状を踏まえ、住宅メーカーに関わる方も民泊について学んでおく必要があるでしょう。今回は民泊の現状と民泊新法(2020年3月9日時点)についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.民泊の現状
- 1.1.民泊とは
- 1.2.空き家問題との関係
- 1.3.民泊仲介サービスの誕生
- 2.民泊新法はなぜできたのか
- 2.1.民泊新法の成立
- 2.2.民泊新法の3つの対象
- 2.3.民泊新法成立の背景、ヤミ民泊
- 3.民泊新法の3つの特徴
- 3.1.営業日数の上限は年間180日
- 3.2.ホストがいない場合は、管理会社を配置
- 3.3.都道府県知事に運営状況を報告
- 4.まとめ
民泊の現状
民泊とは
“民泊”とは、住宅の部屋を旅客に貸し出し、宿泊サービスを提供することです。宿主が住んでいる住宅の一部を貸し出すこともあれば、宿主が民泊専用の住宅を購入して旅客に貸し出す場合もあります。
空き家問題との関係
日本で問題とされている空き家率の上昇を食い止める一手として、民泊事業は注目を集めています。総務省が2018年に行った土地統計調査によると、空き家率は1958年の2.0%から2018年には13.6%となっており、上昇し続けています。
(参考:2018年 総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」)
このような空き家問題を解決するための方法のひとつが、空き家を民泊施設として活用することです。空き家を減らしつつ、宿泊施設の増加によって観光客の増加を図ることを目的としています。
民泊仲介サービスの誕生
空き家率の上昇の問題について紹介しましたが、民泊仲介サービスはいつ誕生したのでしょうか。
その始まりは2008年、民泊の宿主(ホスト)と泊まる旅客(ゲスト)とのマッチングサービスであるAirbnb(エアビーアンドビー)の創業です。
インターネットの発展により、遠く離れた人同士をつなげることができるようになり、Airbnbのような民泊仲介サービスが生まれました。
ほかにもさまざまな企業が続々と民泊事業に参入しています。例えば、楽天LIFULL STAY株式会社は、民泊仲介サービスを運営している株式会社スペースエージェントと提携し、民泊の運営を代行するサービスを始めました。
このように、民泊に関するサービスが普及しつつあります。住宅メーカーも例外ではなく、自社が今後民泊事業に参入するかもしれませんし、「新築で住宅購入を検討しているが、将来的に民泊施設として活用してもいいかも」と考えるお客さまとコミュニケーションを取ることになるかもしれません。
民泊新法はなぜできたのか
民泊新法の成立
2017年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が成立しました。この法律は、民泊サービスの健全な発展を目的として定められたルールです。民泊サービスを運営する際にしなければいけない申請や営業可能な日数などが定められています。
民泊新法の3つの対象
民泊新法では、“旅客を泊める宿主(ホスト)”“住宅宿泊管理会社”“住宅宿泊仲介会社”の3つが対象となり、それぞれにルールが課されています。多くの視点から規制をすることで、違法な民泊が営業できない仕組みになっています。
民泊新法成立の背景、ヤミ民泊
民泊新法が制定された背景には、ヤミ民泊といわれる違法の民泊が横行したことにあります。宿泊サービスを運営する際のルールを定めた法律は民泊新法のほかに、旅館業法と国家戦略特別区域法があります。
民泊新法の成立以前、これら2つの法律に違反したヤミ民泊が大きな問題となり、その対策として民泊新法が作られました。
民泊新法の3つの特徴
ここからは民泊新法の具体的な内容を見ていきます。民泊新法の大きな特徴は以下の3つです。
営業日数の上限は年間180日
ホストに対して、年間の営業日数が制限されています。4月1日正午を1年の始まりとして、年間180日のみ営業することができます。
また、注目すべきは“1日”のカウント方法です。例えば、15時から翌日14時までの23時間の間物件を貸し出した場合は1営業日とカウントされます。しかし、15時から翌日の15時、24時間貸し出した場合は2営業日とカウントされます。
さらに、地域別に自治体が条例で営業日数を180日未満に規制している場合があるので注意が必要です。
ホストがいない場合は、管理会社を配置
民泊には大きく分けて、貸し出す住宅にホストが一緒に住むケースと一緒に住まないケースの2種類に分けられます。後者の場合には、管理会社を設置する義務がホストにあります。
管理会社には、ホストの代わりに安全面や衛生面の管理、ゲストに鍵を渡すなどの業務があります。宿泊の契約など、ホストにしかできない業務もあるので、ホストは民泊に関する業務をすべて管理会社に丸投げできるわけではありません。
都道府県知事に運営状況を報告
ホストは2ヶ月に一度、偶数月に前2ヶ月の住宅ごとに宿泊者数や宿泊日数などを都道府県知事に報告するよう義務付けられています。例えば、10月と11月の内容を12月に報告するといった形です。
この定期報告をしない、または虚偽の報告した場合、30万円以下の罰金が処せられる可能性があります。
まとめ
今回は民泊新法についてご紹介しました。法律の話は難しくて敬遠しがちですが、民泊サービスの運営を考えているお客さまとコミュニケーションを取ったり、自社が民泊事業に参入したり、または参入を検討している場合、必要となってくる知識です。
「民泊については関係ない」と決して思わず、新しい知識として民泊について事前に知っておきましょう。