住宅の質を証明する“住宅性能評価書”とは?
住宅性能評価書という言葉を知っていますか?住宅の質を保証してくれる住宅性能評価書ですが、取得しておくとお客さまの住宅選びの参考になるなど、さまざまなメリットがあります。
住宅性能評価書のほかに、住宅性能証明書もありますが、混同せずに説明することができますか?お客さまに正しく説明するためにも、これら2つの違いについても正しく理解しておきましょう。
今回の記事では、住宅性能評価書について、また住宅性能証明書との違い(2020年4月10日時点)についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.住宅性能評価書とは?
- 1.1.住宅性能表示制度について
- 1.2.住宅性能評価書とは?
- 2.住宅性能評価書は2つある
- 3.住宅性能評価で評価される10の項目
- 3.1.1.構造の安全(耐震性)
- 3.2.2.温熱環境
- 3.3.3.劣化の軽減
- 3.4.4.維持管理・更新への配慮
- 3.5.5.光環境
- 3.6.6.空気環境
- 3.7.7.音環境
- 3.8.8.火災対策
- 3.9.9.防犯対策
- 3.10.10.バリアフリー性
- 4.住宅性能評価書を取得するメリットは?
- 4.1.1.第三者から評価される
- 4.2.2.トラブルが起きても対応してくれる
- 5.住宅性能証明書との違いは?
- 5.1.評価項目が限定されている
- 6.まとめ
住宅性能評価書とは?
住宅性能表示制度について
住宅性能評価書を説明する前に、住宅性能表示制度についてご紹介します。
住宅性能表示制度とは、住宅品質確保促進法(品確法)で定められた制度で、住宅を購入するお客さまに、住宅の性能をわかりやすく示すことを目的としています。この表示は任意なので、表示がない住宅の性能が低いということではありません。
第三者機関が全国共通の基準で住宅の性能を判断するので、お客さまが住宅を購入する際の比較検討に役立ちます。
住宅性能評価書とは?
“この住宅は第三者機関によって性能を認められました”という事実を書面にしたものが住宅性能評価書です。
評価書が発行された住宅は、一定の性能が保証されているため、お客さまが安心して購入できる理由のひとつになります。評価書を発行している場合は、セールスポイントにするのもいいでしょう。
住宅性能評価書は2つある
住宅性能評価書には、“設計住宅性能評価書”と“建設住宅性能評価書”の2種類があります。
設計住宅性能評価書は、設計する際の図面の評価を認めるもの。建設住宅性能評価書は、建設段階で原則4回以上行う検査の評価を認めたものです。建設住宅性能評価書の取得には設計住宅性能評価書の取得が必須条件となっています。
住宅性能評価で評価される10の項目
住宅性能評価で評価される10項目を簡単に説明します。なお、1〜4は必須項目、5〜10は任意の項目となります。
1.構造の安全(耐震性)
災害が起きた際の倒壊のリスクや損傷の程度など、災害に対する強さについて評価します。
2.温熱環境
断熱性能について評価します。これは、冷暖房を効率的に稼働できるか判断するためです。
3.劣化の軽減
住宅の柱や壁などに施されている劣化対策について評価します。
4.維持管理・更新への配慮
ガス管や水道管などの点検がしやすいかどうかを評価します。
5.光環境
窓の大きさを含め、東西南北および上方の5方向から住宅内に入ってくる光の総量を評価します。
6.空気環境
接着剤に含まれるホルムアルデヒドという化学物質による空気汚染の問題がないかを評価します。
7.音環境
隣接している部屋に音が漏れていないかなど、防音性能について評価します。
8.火災対策
火災発生時に素早く避難できる住宅であるか、壁や柱などの耐火性能について評価します。
9.防犯対策
ドアや窓に防犯上有効な設備が設置されているかを評価します。
10.バリアフリー性
高齢者から子どもまで、すべての人が暮らしやすい配慮がされているかを評価します。例えば、高齢者が使いやすいように階段の傾きが緩やかだと評価が高いということになります。
住宅性能評価書を取得するメリットは?
ここでは、住宅性能評価書を取得するメリットをご紹介します。
1.第三者から評価される
住宅性能評価は、国土交通省に登録した第三者機関が行います。つまり、住宅の建築に関わっていない第三者から「この住宅の性能は高いですよ」とお墨付きをもらえることになります。
私たちは何か商品を購入する際に、第三者の評価を参考にすることが多くあります。例えば、本屋に行くと「○○さん絶賛!」と書かれた本の帯や、ネット通販のレビューもその商品に対する第三者の評価です。
第三者の評価は、購入を検討しているお客さまを安心させる効果が期待できます。
住宅購入は多くの人にとって大きな買い物となるので、購入前の不安要素はできるだけ取り除いておきたいものです。住宅性能評価書は、お客さまに安心して住宅を購入してもらう要素のひとつになるでしょう。
2.トラブルが起きても対応してくれる
建設住宅性能評価書が交付された住宅は、指定住宅紛争処理機関を利用することができます。指定住宅紛争処理機関とは、住宅購入の取引で起きたトラブルを、裁判を行わず円滑に処理してくれる機関です。
以上、2点が住宅性能評価書のメリットです。
住宅性能証明書との違いは?
住宅性能評価書と似た言葉に、住宅性能証明書というものがあります。これら2つの言葉は意味を間違えて覚えやすいので、注意しましょう。
住宅性能評価書と住宅性能証明書、どちらも“住宅の性能を保証する書面”ですが、何が違うのでしょうか?
評価項目が限定されている
住宅性能証明書は、評価項目が、耐震性、省エネルギー性、バリアフリー性の3つに限定されており、ここまで説明していた住宅性能評価書の縮小版にあたります。
また、証明書は評価項目が少ないため、評価書よりも安く発行することができるので、住宅性能証明書で十分な場合は、住宅性能証明書を発行するように案内するといいでしょう。
例えば、お客さまが住宅を購入する際に、両親や祖父母から資金の援助を受ける場合、金額に応じて贈与税が課せられます。その贈与税を節税できる限度額を引き上げるには、住宅性能評価書が必要となりますが、住宅性能証明書でも十分とされています。
お客さまが何のために評価書を必要としているのか、把握することがここでは特に重要です。
まとめ
今回は住宅性能評価書について説明しました。評価書は住宅の性能を保証してくれるもので、交付されている住宅には多くのメリットがあります。お客さまが住宅を購入する際の安心材料になるでしょう。
ただし、ご紹介したように、税金面でのメリットを受ける場合には住宅性能証明書で十分な場合もあります。お客さまの希望によっては必要のない評価項目もあるでしょう。
お客さまに納得のいく住宅購入をしてもらうために、営業担当者がするべきことは選択肢を提示することです。最後に選択するのはお客さま自身であることを忘れないようにしましょう。