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若年層の住宅購入のリアル! コストパフォーマンスを重視する理由とは

近年、20代~30代の若年層は、購買行動においてコストパフォーマンスを重視する傾向があります。こだわりたい部分には惜しまずお金をかけ、こだわりのない部分は必要最低限のスペックで抑えているのが特徴です。

では、若年層が住宅に対してこだわりたい部分、価値を感じている部分とはどこでしょうか。

今回は、コストパフォーマンスを重視するようになった背景と若年層が住宅に求める価値に触れます。若年層が考える住宅に対してのニーズを理解することで、新たな営業戦略、商品戦略に役立ててみてください。

目次[非表示]

  1. 1.若年層の収入減少傾向
    1. 1.1.若年層が抱える不安
    2. 1.2.若年層が考える住宅への役割
  2. 2.住宅に求められる様々な価値
    1. 2.1.仲間意識
  3. 3.オリジナリティ志向
    1. 3.1.リフォームという選択肢
  4. 4.不安を解消することが大切
  5. 5.まとめ

若年層の収入減少傾向

国税庁が実施している民間給与実態統計調査の平均給与によると、2012年に343万円だった20代の平均年収は、2017年では311万円となっており、収入の減少傾向が見られます。

つまり、現代の若年層は収入の減少によって、コストパフォーマンスを求める消費活動を意識しているといえるでしょう。

(出典:国税庁「平成29年分 民間給与実態統計調査」


若年層が抱える不安

内閣府が2018年に実施した国民生活に関する世論調査によると、日常生活において「悩みや不安を感じている」と回答した20~30代の若年層は約5割強おり、「悩みや不安を感じていない」を上回る結果となっています。

(出典:内閣府「国民生活に関する世論調査」

また、特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が2017年に発表した、「働く若者のくらしとお金に関する調査2017」では、 “将来のくらし”に対して「不安がある」「どちらかと言えば不安がある」と回答した若年層が、就業形態に関わらず6割以上いることがわかりました。

収入の減少を背景に、現代の若年層に日常生活にも将来にも不安を感じており、住宅を売ることは難しいように見えます。


若年層が考える住宅への役割

しかし、2018年の国土交通省による「土地問題に関する国民の意識調査」では、「土地・建物については、 両方とも所有したい」または「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない」と回答した20代は合わせて約7割、30代にも同様の傾向がみられます。

(出典:平成 30 年度「土地問題に関する国民の意識調査」の概要について

これらのことから若年層は、持ち家願望を持ってはいるが、将来に対する不安から、持ち家のメリットである資産価値を重視していると考えられるでしょう。

若年層は住宅に将来の経済的な不安を取り除く役割を期待しているようです。

住宅に求められる様々な価値

若年層は価格を抑えることを第一に考えます。

カタログの中から決められた間取りや内装を選ぶ規格住宅は、注文住宅より自由度は落ちるものの安い価格で購入することができます。

コンパクトハウスにすることで建築費用を安くすることはもちろん、エアコンなどの家電が自然と小さくなるので光熱費を削減することも可能です。


仲間意識

価格面以外にも住宅に求められる価値はあります。近年大きな価値となっているのは仲間意識です。

地元意識の強い若年層が多く、就職や結婚をしても地元を大きく離れない傾向にあります。

地元での友人関係を重視し、地元の友人と会うために交通費や長い移動時間といったコストをかけないようにしているようです。

またシェアハウスも流行中で、住宅に仲間との交流の場としての価値が生まれています。
同じような価値観を持った友人たちと生活を共にすることでコミュニケーションを楽しむ若年層が増えているようです。

シェアハウスでなくても仲間との交流が大きな価値になることが多く、リビングなど共用スペースが広い住宅のニーズがますます上がっていくでしょう。

オリジナリティ志向

若年層の住宅購入では中古住宅が注目を集めています。

中古住宅のメリットはなんといっても安い価格です。新築と比べて2割~5割ぐらいの差があり、価格を大きく抑えることができます。自分の目で確認できることも大きなメリットです。

一から作る注文住宅と違ってすでにある住宅に住むことになるので、住んだ時のイメージがしやすいです。

リフォームという選択肢

また、若年層の間では中古住宅をリフォームすることがトレンドです。
その理由は、オリジナリティが大きな価値となっているからです。SNSで情報発信が簡単にできるようになったため、持つ物すべてが自己表現となります。

住宅においては、自分のこだわりを詰め込んだ内装や家具などのオリジナリティが大きな価値となっているのです。そのため建物自体はシンプルで、後から自由にカスタマイズしやすい安価な中古住宅が好まれる傾向にあります。

不安を解消することが大切

住宅購入は多くの若年層にとって、最も大きな買い物といえるでしょう。簡単に買換えできないという不安があるのが自然です。

その不安を和らげるのが住宅の品質や資産価値です。資産価値を長い期間維持できる住宅であれば、「万が一状況が変わったら売ればいい」と安心感を得ることができます。

これらの面で安心感を与えるには、長期優良住宅の基準をクリアできる住宅の提案が有効です。

まとめ

若年層が住宅に求めているものについて紹介をしましたが、いかがだったでしょうか。

どの年代であっても、住宅に対しての不安や疑問は持っているものです。その不安や疑問を取り除く役割が、住宅メーカーの営業担当者やマーケティング担当者の役割のひとつであることを今一度認識しましょう。

そして、住宅へこだわりがない人にはコンパクト住宅、こだわりがある人には中古住宅のリフォームを好む傾向があるといった若年層の背景を理解することで、今後の若年層に対しての営業活動や商品戦略への参考にしてみてください。


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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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