工務店・ビルダーの業務で生かせる資格とは? 資格取得のメリットを解説
工務店・ビルダーの業務形態は、施工に特化した会社や設計から施工まで行う会社、営業から施工まで行う会社などさまざまです。
工務店・ビルダーの強みとして、設計の自由度が高く、顧客の要望に合わせた住宅づくりができることが挙げられます。現在、工務店・ビルダーで働いている人のなかには、「もっと顧客の希望に応えられる提案がしたい」「業務の幅を広げたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。
働きながら、業務に関連した資格取得でキャリアアップを目指すことも解決策の一つです。この記事では、工務店・ビルダーの業務で生かせる資格や資格取得のメリットについて解説します。
目次[非表示]
- 1.工務店・ビルダーの業務で生かせる資格
- 1.1.①建築士
- 1.2.②建築施工管理技士
- 1.3.③電気工事士
- 1.4.④ファイナンシャルプランナー
- 1.5.⑤インテリアコーディネーター
- 2.資格取得のメリット
- 3.まとめ
工務店・ビルダーの業務で生かせる資格
工務店・ビルダーの業務で役立つ資格は、国家資格をはじめ、民間の企業・団体が認定している資格など幅広くあります。
ここでは、工務店・ビルダーの営業活動や施工業務で生かせる資格を5つ紹介します。
①建築士
建築士とは、顧客の希望や予算を踏まえつつ、建物の設計・工事監理を行える国家資格です。
建築士の資格は、1級・2級・木造建築士の3つに分けられており、それぞれで業務を行える建物の規模や用途が異なります。
▼建築士の業務内容
種類 |
免許交付 |
設計・工事監理を行う建築物(例) |
1級建築士 |
国土交通大臣 |
|
2級建築士 |
都道府県知事 |
鉄筋コンクリート造・鉄骨造等で、延べ面積が30m2を超え、300m2以内のもの ※1級建築士も設計・工事監理が行える |
木造建築士 |
都道府県知事 |
2階建までの木造建築物で、延べ面積が100m2を超え、300m2以内のもの |
たとえば、1級建築士や2級建築士の資格があれば、公共施設や商業施設の設計・工事監理を行ったり、営業の際に住宅の間取りや構造に関して専門知識を生かした提案を行ったり、業務に役立てられます
(出典:国土交通省 中部地方整備局『建築士制度』)
②建築施工管理技士
建築施工管理技士とは、建設現場で現場監督として工程管理や品質管理、安全管理などの施工管理を行える国家資格です。
建築施工管理技士の資格は1級と2級に分けられており、それぞれ第一次・第二次検定で行われます。1級建築士試験に合格している場合、一定条件を満たしていれば、1級建築施工管理技士検定の第一次検定が免除されます。
▼建築施工管理技士の業務内容
種類 |
免許交付 |
管理できる現場の規模 |
1級建築施工管理技士 |
国土交通省 |
一般建設業・特定建設業 (大規模な工事) |
2級建築施工管理技士 |
国土交通省 |
一般建設業 |
建設工事の現場では、一次下請けへの発注総額が一定額以上となる大規模な工事を請け負う場合は、監理技術者を設置して特定建設業の許可を受ける必要があります。
1級建築施工管理技士の資格を取得すると、監理技術者として業務を行うことが可能です。なお、2級建築施工管理技士であれば、一般建設業を行う際に設置する主任技術者として業務を行えます。
国土交通省は、監理技術者と主任技術者について、次のように示しています。
-----------------------------------------下記引用------------------------------------------
建設業者は、工事現場における施工の技術上の管理をつかさどる者として主任技術者を設置しなければならない。なお、元請は、下請契約の請負金額の合計が一定以上の場合は、主任技術者ではなく監理技術者を設置しなければならない。
----------------------------------------------------------------------------------------------
引用元:国土交通省『専任技術者』
(出典:国土交通省『建設工事の適正な施工を確保するための建設業法』『専任技術者』/一般財団法人 建設業振興基金『施工管理技術認定』)
③電気工事士
電気工事士とは、電気設備の工事が行える資格です。電気工事に携わる方にとって代表的な資格の一つで、『電気工事士法』によって国家資格に定められています。
電気工事士の資格は、第一種・第二種の2つに分けられており、それぞれ従事できる工事の範囲が異なります。
▼電気工事士の業務内容
種類 |
免許交付 |
従事可能な電気工事 |
第一種電気工事士 |
都道府県知事 |
第二種の工事に加えて、自家用電気工作物に従事可能(工場やビルなどの500kW未満の電気工事) |
第二種電気工事士 |
都道府県知事 |
一般用電気工作物(一般住宅や小規模な店舗の電気工事) |
電気工事は、欠陥や工事ミスなどが発生すると、感電・火災などの事故につながりかねません。こうした事故を防止するために、電気工事士の資格が設けられています。
住宅建築やリフォームなど、工事の規模にかかわらず、有資格者でなければ電気工事の業務に従事することはできません。
(出典:e-GOV 法令検索『電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)』/経済産業省『電気工事の安全』『電気工事士』)
④ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー(以下、FP)とは、住宅ローン・保険・年金などお金に関する悩みを一緒に考えて、解決に向けた資金計画をアドバイスする専門家のことです。
FPの資格を取得することで、住宅購入やローン返済に関して、顧客により的確な資金計画のアドバイスがしやすくなります。
一般的なFPの資格には、以下の3種類があります。
▼FPの資格内容
種類 |
資格の種類 |
試験実施機関 |
FP技能検定 |
国家資格 |
|
AFP資格(※1) |
民間資格 |
|
CFP®資格(※2) |
民間資格 |
日本FP協会 |
※1:AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)/※2:CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)
(出典:日本FP協会)
⑤インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターとは、顧客がイメージ・希望する住空間を具現化するために、内装や建具などのアドバイスを行う専門家です。民間資格として公益社団法人インテリア産業協会が認定しています。
工務店・ビルダーにおいては、顧客に住宅設計を提案する際、インテリア計画や家具選択などのアドバイスを行う際に役に立ちます。
年齢や学歴、実務経験など受験に必要な資格は定められていないため、誰でも挑戦しやすい資格です。
▼インテリアコーディネーターの業務内容
業務の流れ |
業務内容 |
①ヒアリング |
家族構成やライフスタイル、予算、顧客のイメージなどをヒアリングする。 |
②プランニング |
|
③商品セレクト |
|
④セッティング |
商品が納品されたら、実際に住宅内に配置していく。 |
住宅のインテリアについて、「どのような家具を選べばよいか」「理想のイメージがあるけれど自信がない」と悩む顧客も少なくありません。
インテリアに関する知識を持ったプロの視点から、ニーズに合った住宅づくりをサポートすることで、サービスの向上、満足度の向上が期待できます。
(出典:公益社団法人インテリア産業協会)
資格取得のメリット
建築業界に関する資格を取得するメリットとして、次の2つが挙げられます。
①キャリアアップ
1つ目は、社内外でキャリアアップを目指せることです。社内であれば昇給や昇格、社外であれば大手企業への転職などが挙げられます。
なかには、資格保有者に対して資格手当の支給を行っている企業もあります。また、有資格者でないとできない業務もあるため、転職にも有利に働くことが考えられます。
それぞれの資格を生かせる転職先には、以下が挙げられます。
▼資格を生かせる主な転職先
資格 |
転職先 |
建築士 |
不動産会社・デベロッパー・住宅メーカー・建設会社・設計事務所・公務員 など |
建築施工管理技士 |
建設会社・不動産会社・デベロッパー・住宅メーカー・プラント会社 など |
電気工事士 |
鉄道会社・セキュリティ会社・ビル管理会社・情報通信会社 など |
FP |
不動産会社・銀行・保険会社・証券会社 など |
インテリアコーディネーター |
不動産会社・住宅メーカー・建築会社・家具メーカー・インテリアショップ など |
②信頼度の向上
2つ目は、顧客からの信頼度を高められることです。
建築士や建築施工管理技士などの資格保有をアピールできることは、住宅建築の技術力や品質の高さを客観的に判断してもらえる材料となります。
担当者としても、専門的な知識・技術を持って、顧客へよりよいサービスの提供が可能です。
顧客との信頼関係を構築することで、成約や顧客満足につながることが期待できます。
まとめ
この記事では、工務店・ビルダーに関する資格について、以下の項目で解説しました。
- 工務店・ビルダーの業務で生かせる資格
- 資格取得のメリット
工務店・ビルダーで働きながらスキルアップする方法として、FPやインテリアコーディネーターなどの資格取得が挙げられます。
資格を取得することで、業務の幅が広がるほか、キャリアアップにもつながりやすいといえます。また、有資格者としてアピールすることで、顧客との信頼関係の構築にも役立ちます。
国家資格や民間団体が認定している民間資格など、有効な資格はいくつかあるため、業務の課題・目標に合わせて取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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