マーケティング

住宅購入検討者が住宅会社に求めていること

「そろそろマイホームかな」と考え始めると、ほとんどの方はインターネットで住宅会社のホームページをちらちらと眺め始めます。“ぶらっ”と住宅展示場に行くケースもありますし、候補となる会社を2~3社に絞り、アポイントを取って展示場に出かけるケースも急増しました。

このように顧客の行動パターンはさまざまですが、こうした方々が住宅会社に対して何を求めているのかを、皆さんは考えたことがあるでしょうか。

会社の信頼性に始まり、耐震性や耐火性などのハード面に対する信頼はもちろんのこと、高いデザイン性を求めるのも当然のことといえます。

しかし、もう一つ重要な柱があります。

担当営業のレベルです。

私はハウスメーカーで住宅営業していたので熟知していますが、お客さんが住宅会社を選定した決定要因の上位事項には、必ず【営業担当者への信頼】がランクインしています。

目次[非表示]

  1. 1.信頼を勝ち得る営業担当者のポイントは〇〇にあり
    1. 1.1.H君は〇〇で信頼を失いました(実話ですよ)
    2. 1.2.400万円の値引きは嘘
  2. 2.顧客の目に留まる営業担当者のヒアリング術とは?
    1. 2.1.ある顧客への取材をご紹介します
  3. 3.まとめ

信頼を勝ち得る営業担当者のポイントは〇〇にあり

H君は〇〇で信頼を失いました(実話ですよ)

信頼を勝ち得る営業担当者の話をしたいのですが、その逆に信頼を得ることができなかった営業担当者の話をしましょうか。

私は23年間にわたって、契約をできた顧客はもちろんのこと、契約をできずに失注したお客さんの取材も続けてきました。実際に私が取材した失注事例をお話ししましょう。

大手ハウスメーカーA社が同じく大手ハウスメーカーのB社に破れた一件です。私は A 社の研修を請け負っていたのですが、研修の題材にしようとA社とB社で競合した際に、B社を選んだ顧客に、担当営業を通じてアポを取りビデオ取材しました。

A社の営業H君は私に対し「B社が直前になって400万円の値引きを提示したらしいのですよ。さすがにお客さんも“ごめんね”ということになってB社に決まりました」

私が事前にA社の営業H君からヒアリングした内容はこうだったのですが、実際に顧客に取材にいくと話は全く違っていたのです。

400万円の値引きは嘘

  「営業担当者のH君はB社さんが400万円値引きしたと話していましたが本当の話ですか?」

奥さん「そうですね(笑)、本当のこと言っていいですか?正直言うとH君は生理的に受け付けませんでした(笑)」

  「H君が何かやらかしたのですか?」

奥さん「展示場でお会いした時は問題なかったのですが、その次に自宅に来てもらってプラン提案を受けたのですよね。その時H君がなんだか臭いのですよ…あっ、このビデオってHさんも見るんですよね、まぁ、本当のことだからしゃべっちゃおうかな」

こんな形で滔々と奥さんが喋りだしたのですが、足が臭ったことに加えて靴下に穴が開いていたことを、奥さんが見てしまったとのこと。しかも、展示場ではあまり感じなかったらしいのですが、話し方も回りくどくて奥さんには合わなかったらしく、とにかくイライラとしていたようです。

しかし、断り文句として「あなたの足が臭かったから」とは言えないので、B 社が400万円も値引きをしたと、とんでもない嘘をついていたのが実情だったのです。 

顧客の目に留まる営業担当者のヒアリング術とは?

ある顧客への取材をご紹介します

ヒアリングとは顧客の家に対するご要望を聞き出すことをさしますが、これに関しては改めてご説明するまでもないでしょう。

しかし、ヒアリングのコツをつかむと、顧客の目に留まり大きな信頼を得ることに成功するのです。今から3年ほど前ですが、一軒家を実際に建てた顧客のお宅に取材でお伺いしました。その時のやりとりの一部に、信頼を得られるヒアリング術の重要ポイントがあったのです。

私  「4社の住宅メーカーを並行してご検討されたとのことですが、最終的にS社に決めた決定要因は何だったのですか?」

奥さん「S社の担当営業さんなのですが、自宅においでいただいた時の会話が非常に印象的でしたね。決めた理由は多々ありますけども、この時の会話が営業さんに信頼を大きく寄せることになったのは間違いありません」

次は奥さんと担当営業の会話です。

営業 「ホットプレートをお持ちですか」

奥さん「持っていますよ」

営業 「置き場に困っていませんか」

奥さん「よくわかりましたね(笑)そのとおりですよ」

答えはここに集約されています。

「ホットプレートの置き場に困っています」と奥さんが言う前に営業担当者が指摘したのです。顧客が困っているであろうことを予測し先回りして指摘したことが、満足度と期待値を大きく引き上げました。

まとめ

今回のテーマの答えは無数にあるでしょう。しかし、あえて2つに絞って書きました。

前半の内容はマナーの一言で片づけられる話ですが、清潔感がない、話のペースが合わない、人の話を聞いていないなど「営業担当者とどうにもこうにも波長が合わない」と感じている方は意外なほど多くいるのが実態です。

競合負けすると「見積もりが高かったからかな」「デザイン性で負けたかも」などいろいろと原因を推測するのですが、実は営業担当の人間性などが大きく影響しているケースが意外なほどに多いとお考え下さい。

後半の事例はまさに営業の感性に当たる部分ですが、新入社員でもこの原理原則を頭に叩き込んでおけば、意外と簡単に実行できます。

とにかく、同じような発想を持って営業現場で試してみてください。うまくはまれば効果てきめんです。


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森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹
森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹
法政大学卒業後、大手ハウスメーカーに入社 し戸建営業畑を歩む。退社後は東京都内の小規模工務店にて新築営業とリフォー ム営業に携わる。その後、住宅コンサルタントとして営業研修、講演活動、執筆 活動に入り今日に至る。とくに新卒~若手営業社員の力を伸ばすプログラムに注力し、WEBカメラなどを駆使して実際の接客シーンを分析する手法などで力を確実に伸ばすことを得意としている。

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