地震対策の基礎知識!耐震・免震・制震の違いとは?
地震対策と聞いて耐震という言葉を思い浮かべる人は多いと思います。しかし、耐震のほかにも免震や制震といった地震対策もあります。住宅メーカーの営業担当者として、これら3つの違いを説明できるでしょうか?
お客さまが住宅購入をする際、気にする点のひとつは住宅の安全性です。そして、よく地震が起こる日本では“どのような地震対策がされているのか”という点も注目されます。
お客さまに地震対策の説明をするためには、住宅の地震対策について理解しておく必要があります。今回は、耐震、免震、制震の違いをはじめとした住宅の地震対策ついて説明します。
目次[非表示]
- 1.地震の衝撃に耐える耐震
- 2.地震の衝撃を逃がす“免震”
- 3.地震のエネルギーを吸収する“制震”
- 4.まとめ
地震の衝撃に耐える耐震
耐震住宅とは文字どおり、地震の揺れによる衝撃に耐えられる住宅のことです。強度の高い壁を使用したり、柱などの骨組みを筋かいによって強度を上げたりすることで、地震の強い衝撃を受けても倒壊しない住宅を実現します。
耐震住宅は、ほかの住宅と比べて倒壊しにくい半面、大きく揺れるので建物へのダメージが大きくなります。「できるだけ長く同じ建物を使っていきたい」という場合であれば、この後に紹介する“免震”や“制震”で地震対策をした方がいいかもしれません。
耐震設計はすべての住宅に施されている
耐震住宅と耳にすることがありますが、耐震住宅とされない住宅が耐震設計になっていないわけではありません。
建物を建設する際のルールを示した建築基準法には、耐震基準が定められています。耐震基準に満たない住宅を建設することはできません。
また品確法によると、耐震性能には1~3の等級があり、数字が大きくなるほど耐震性能が高い住宅であることを示します。そして、等級1の住宅であっても震度6~7程度の地震でも倒壊しないとされています。
つまり、新築ならどの住宅であってもある程度の耐震性能は備わっているのです。もちろん、等級が大きい住宅は被害を小さく抑えることができます。等級2以上の住宅が“耐震住宅”とされることが多いです。
また、等級の表示は任意であるため、等級が表示されていない住宅を見てお客さまが不安になるかもしれません。その場合は等級1と同等以上の耐震性能があることと等級の表示が任意であることを説明しましょう。
地震の衝撃を逃がす“免震”
免震住宅とは、建物と地面の間に免震装置を設置することで地震のエネルギーの一部を外に逃がす住宅のことです。免震装置を設置することで地面と住宅が接しない状態になるため、地震のエネルギーが免震装置を伝わっている間に少しずつ逃げていきます。
よって住宅にかかるエネルギーが小さくなり、ほかの住宅よりも揺れを抑える効果が期待できます。
地震のエネルギーを直接住宅に伝わらないようにするメリットはほかにもあります。
例えば、揺れが小さくなるので家具の転倒を防止できます。
地震が起こった際に建物自体は無事でも、大きな家具が倒れてきて重傷を負ってしまうことも考えられます。揺れを抑える免震住宅にすることで、そのような二次被害が起こる可能性を減らすことができるのです。
免震住宅は効果が大きい半面、デメリットもあります。それは、大きな費用です。免震住宅にするためには一般的に数百万円単位の費用が追加で必要となります。ほかの地震対策よりも高額になることが多いでしょう。
さらに、住宅と地面の間に免震装置を設置するため、地下室を作ることはできません。ほかにも、建物の周りにスペースが必要になるなど、制約がつく場合もあります。
地震のエネルギーを吸収する“制震”
制震住宅とは、住宅の内部に制震装置を設置することによって地震のエネルギーを吸収し、揺れを抑える住宅のことです。
揺れを小さくする点は免震住宅と同じですが、制震住宅は地震のエネルギーをすべて受け、受けたエネルギーを柱や梁に取り付けた制震装置が吸収することで建物の揺れを抑えます。
地震のエネルギーの一部を逃がして揺れを小さくする免震住宅とは、揺れを抑える仕組みが大きく違うのです。
また、制震装置は比較的安価に設置することができます。
「地震対策はしたいけど、免震住宅は費用が高い」と感じるお客さまには、耐震設計の住宅に制震装置の設置をオススメするといいかもしれません。免震住宅よりも安い価格で地震対策をすることができるでしょう。
まとめ
地震に耐える“耐震”、揺れを受け流す“免震”、揺れを吸収する“制震”など、さまざまな地震対策の方法についてご紹介しました。
住宅の安全性についてお客さまにわかりやすく説明することができれば、お客さまの不安要素を取り除き安心して住宅を購入していただけるでしょう。
また、お客さまのなかには「自分が地震の被害に遭うことはない」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
お客さまに地震対策を強制することはできませんが、命にはかえられない大事な地震対策の重要性は、十分にお伝えするようにしましょう。