安心を届けられる住宅づくり!住宅完成保証制度とは
あなたが勤務する住宅メーカーは、住宅完成保証制度に登録していますか?登録は義務ではないため、制度未加入の建築会社も多く存在します。
しかし、安心して住宅づくりを進めていきたいと考えるお客さまのなかには、住宅メーカーを選ぶ際に、住宅完成保証制度に登録されているかをポイントに置く人もいるでしょう。
住宅完成保証制度について正しい知識を持ち、お客さまに案内ができるようにしましょう。今回は、住宅完成保証制度(2020年5月9日時点)の保証内容や登録方法など基本的な内容をご紹介いたします。
目次[非表示]
- 1.住宅完成保証制度とは
- 2.住宅完成保証制度が必要になる場面とは
- 3.住宅完成保証制度の内容
- 3.1.保証対象の建物
- 3.2.建築会社を斡旋してくれる
- 3.3.2つの保証タイプがある
- 4.住宅完成保証に登録できる条件と登録方法
- 5.住宅完成保証制度の仕組みを知っておこう
住宅完成保証制度とは
住宅完成保証制度とは、着工が始まってから建築会社がもしも倒産などで建築工事ができなくなった場合に、施工主が最小限の経済負担で住宅が完成できるよう保証する制度です。
住宅完成保証制度は、株式会社住宅あんしん保証が運営する制度であり、住宅あんしん保証が優良な建築会社だと認めない限り住宅完成保証制度に登録することはできません。
住宅完成保証制度に登録していることは、住宅メーカーにとってお客さまに信頼度を高めてもらえる制度であり、良質な住宅の提供と健全な経営状況であることをアピールできます。
住宅完成保証制度が必要になる場面とは
住宅完成保証制度がどのようなときに役立つ制度になるのか確認していきましょう。
着手金や中間金の支払い後でも倒産があり得る
住宅の建築は、1日や2日で完成するものではありません。完成までに何ヶ月と時間を要するものです。大手の建築会社でも、どのような会社でも倒産のリスクはあり、建築工事の段階でも倒産してしまう危険性はあります。
倒産すると支払われたお金は返金できない
一般的に住宅を建設する際に施工主が支払うお金は、初めに着手金、基本構造である骨組みが完成した段階の中間金、完成時に最終金と分けられています。
着手金や中間金を払う時点では住宅は未完成の状態ですが、もしも建築途中で倒産した場合、支払われたお金を施工主へ返すことはできません。
建築工事しているときの建物の所有権は建築会社にあり、倒産時の建設会社には複数の債権者が多くいます。施工主は建築会社にとっての一債権者という関係のため、すぐに返金して解決できる状況ではありません。
工事の進捗状況により、施工主から多くの金額を受け取っていても返金が一切できないというのが、住宅完成保証がない場合の対応となります。
工事途中の引き継ぎは労力と追加費用が発生する
建築工事の途中で継続不可能な状態になってしまった場合、施工主にはほかの建築会社へ引き継ぎをする方法があります。
しかし、建築会社によって建築工事の方法は異なり、状況の把握や引き継ぎにかなりの労力を要するため、ほかの建築会社は工事途中の建築を引き受けたがらないという現状があります。
もし建築を引き受けてくれる建築会社があっても、新たに足場を組んだり、一から配線工事のチェックが必要であったりと追加費用が発生してしまうことが住宅完成保証がない場合のデメリットとして挙げられます。
住宅完成保証制度の内容
建築会社に住宅工事の継続ができなくなってしまった場合、住宅完成保証制度はどのような保証をしてくれるのか、保証内容を確認していきましょう。
保証対象の建物
住宅であることが前提であり、請負金額が3,600万円までの一戸建て低層注文住宅か、木造や鉄骨造りの集合住宅、住宅が半分以上の床面積のある店舗併用住宅が対象です。
建築会社を斡旋してくれる
施工主から希望があった場合には、建築工事を引き継ぐ建築会社を斡旋してくれます。保証会社が素早く引き継ぎができるように体制を整えている点も住宅完成保証制度のメリットです。
2つの保証タイプがある
施工主は住宅完成保証制度を利用する際、2つのタイプから選びます。2つの保証タイプは以下のとおりです。
・保険タイプ
保険タイプの保証内容は、工事を引き継いだ際に発生する追加費用を補填するという保証です。ただし、補填する額には限度額があり、工事請負額の20%までと上限が設けられているので、追加費用の全額を補填できるわけではないことに注意しましょう。
たとえば、2,000万円の工事費用に対し、ほかの建築会社へ工事を引き継いだことによって300万円の追加費用が発生した場合、限度額は400万円なので、追加費用300万円の全額を補填してくれます。しかし、追加費用が500万円の場合、100万円分は補填の対象となりません。
また、保険タイプには、過払いによる損害を補填してくれる保証もあります。
・エスクロータイプ
エスクロータイプは、建設会社が倒産しても工事を継続できるように、あらかじめ建築資金を保証会社が預かるという保証内容です。引き継ぎによる追加費用が発生しにくいので、損害を最小限に抑えられる保証内容となっています。
住宅完成保証に登録できる条件と登録方法
住宅完成保証制度は建築会社事業主すべてが登録できるものではありません。申請資格や審査内容についてご紹介します。
申請資格
資本金3億円以下で従業員が300人以下の法人、もしくは個人である中小企業の事業主が申請できます。
登録条件
審査基準を満たし、登録承諾後には住宅完成保証制度の参加金を住宅保証機構に預託することが求められます。参加金は保証限度額によって異なります。
登録の審査内容
行為能力、法令に基づく処分歴、工事履行の技術的能力、保証事故が発生する可能性を過去3年間の決算報告書などから厳しく審査されます。
登録の有効期限
住宅完成保証制度に制度参加金を入金すると登録となります。登録から1年間、住宅完成保証制度が有効であり、2年目以降も継続するのであれば、毎年決算報告書の提出をして経営状態を審査してもらうことが必要です。
住宅完成保証制度の仕組みを知っておこう
お客さまは、住宅が完成する前に多額の支払いをすることへ不安を抱えています。住宅メーカーにとって住宅完成保証制度への登録は、手間や預金の支払いなどが発生しますが、お客さまの不安な気持ちを少しでも解消できる制度です。
住宅づくりのもしものときに役立つ住宅完成保証制度は、住宅づくりをするうえでお客さまが知るべき情報のため、お客さまの質問にしっかりと回答ができるように知識を持っておきましょう。