ペットとの暮らしに適した住宅とは?
以前の日本では、ペットは外で飼うことが一般的でしたが、現代ではペットを人と同じ空間である室内で飼う人も多いでしょう。
犬や猫などのペットを一家族として迎え入れ、ともに暮らしていく場合の住宅づくりにはペットにやさしい住宅であることが求められます。ペットと過ごしやすい住宅を提案できるよう、ペットとの暮らしに適した住宅について知識を持っておきましょう。
目次[非表示]
- 1.知っておくべきペット事情
- 1.1.譲渡という保護犬を迎え入れるケースが増加
- 1.2.ペットの長寿命化が進んでいる
- 1.3.ペットのみでお留守番をするケースが増加
- 2.ペットの安全を考えた工夫
- 3.ペットの習性や習慣のための工夫
- 4.飼い主にとっての工夫
- 5.まとめ
知っておくべきペット事情
ペットを家族として迎え入れる方法や、ペットの事情が時代に伴って変化しています。ペットと住む家を考慮するポイントともなるので、把握しておきましょう。
譲渡という保護犬を迎え入れるケースが増加
犬や猫を新しく家族として迎え入れる数は以前と変わらず、安定した推移を見せています。
しかし、以前はペットショップで仔犬を購入することが一般的だった迎え入れ方法に対し、現代では殺処分を無くすため、保護団体などから譲り受ける譲渡で、新しくペットを迎え入れるケースが増えています。
そのため仔犬の時期からではなく、成犬やシニア犬なども迎え入れる家庭が多くなっている点が特徴です。
ペットの長寿命化が進んでいる
人間も長寿命化が進んでいますが、ともに暮らすペットの平均寿命も年々上昇傾向にあります。
要因としては、室内飼いによって交通事故が減っていること、野良犬や野良猫の減少によって感染症対策が進んでいること、ペットの食事内容など飼育状況の質が向上していること、動物分野でも医療が発達していることが挙げられます。
ペットがシニアでも過ごしやすく、長い年月一緒に暮らすことを想定した住宅づくりが求められます。
ペットのみでお留守番をするケースが増加
現代のペット事情として、共働き世帯が増えたことや、一人暮らしでのペット飼育の増加により、室内でペットのみの留守番をさせる家庭が多くなっていることが挙げられます。
ペットの安全を考えた工夫
ペットの身を守るために取り入れたい工夫を見ていきましょう。
キッチン
日々食事の準備を行うキッチンは、火気を扱い、割れ物も多くあるため、ペットにとって危険な場所となってしまう可能性があります。
キッチンには入ってくることを防止するペットゲートを設置できるような間取りや、ライトスルースクリーンを天井から吊り下げるなど、ペットの立ち入りを防止するような間取りがよいでしょう。
バルコニー
洗濯物を干すためや、バーベキューやガーデニングなどのアウトドアを楽しむバルコニーでは、隙間のある柵の場合は落下してしまう危険性があります。バルコニーの柵には隙間がない、少し背の高めの壁を用いると安心です。
フローリング
つるつるとして滑りのよいフローリングは、ペットの足や腰に大きな負担をかけてしまう原因になります。
フローリングを歩くだけでも負担となるうえに、ソファから降りる際には大きな衝撃がかかります。滑りづらいコルク材やクッションフロア、カーペットなどがペットにとってやさしい床材です。
階段
フローリングと同じように足腰に負担がかかってしまう設備の一つに階段が挙げられます。階段にもフローリングと同じように滑り止め効果のある床材を使用し、階段を緩やかな構造にすることが望ましいです。
このような階段はスペースを要するというデメリットもありますが、高齢者や妊婦、小さな子どもの使用時も安心なので、お互いの身体にとって快適な住宅になるといえます。
空調管理
飼い主とペットが常に室内でともに過ごし、飼い主が快適な空間を調節できる場合には問題ではありませんが、ペットが留守番をする場合には、留守の間でも空調管理がしやすい住宅づくりを目指すことが大切です。
室内の空調管理に役立つ構造が断熱です。断熱化された住宅は最小限の冷暖房で室内を快適な温度に保ち、室内の急激な温度の変化が生まれません。気密性を高め、換気システムも効果的に働かせることで、室内を新鮮な空気にすることができるため、ペットにも快適な空間となります。
ペットの習性や習慣のための工夫
ペットにはそれぞれ習性や習慣があります。習性や習慣から見た工夫について見ていきましょう。
プライバシーの確保
家族と一緒に過ごすことが大好きなペットにも、排泄時や食事のとき、眠るときなど距離を置いて過ごしたいタイミングがあります。
ペットのプライベートも大切にできるよう、トイレやベッドなどは動線に設置せず、ペット用の居場所として寛げる空間を設け、その場所に設置するようにすると、ストレスがかかりにくくなります。
また、猫の場合には、爪とぎスペースや日向ぼっこのためのスペース、外を観察できる窓際スペースなど、室内で快適に過ごせるような工夫があるとよいでしょう。
運動
人もペットも健康のためには運動が欠かせません。犬は毎日散歩が必要ですが、室内飼いをすると散歩の後には足を洗う必要があり、飼い主にとってもペットにとっても負担に感じてしまう部分です。
帰宅時にスムーズに足をきれいにできる洗い場の設置や、お散歩グッズを収納する間取りがあれば、毎日の散歩の負担を減らすことが期待できます。
猫の場合には交通事故防止や感染症予防の観点から現在室内飼いが推奨されているので、室内のみで運動ができるようキャットタワーやキャットウォーク、猫用のドアを壁やドアに設置し、室内を回遊できるようにしてあげると身体を動かせる間取りとなります。
飼い主にとっての工夫
ペットと一緒に過ごすには、飼い主目線の工夫が大切です。ペットとともに快適に過ごせる工夫を確認しましょう。
フローリング
フローリングには飼い主側の負担も考慮して、ペットが床でおしっこをしてしまった場合にも水分を吸収しにくい床材など、メンテナンスが簡単で耐久性のあるものを提案するとよいでしょう。
壁
猫は爪とぎをすることで縄張りをアピールする習性があります。壁で爪とぎをしてしまうことが、多くの猫の飼い主にとって頭を悩ませている点です。傷がつきにくい壁紙材を提案しましょう。
さらに、ペットの鳴き声が近所に漏れないよう防音材を入れて防音効果のある壁を提案することも必要です。
まとめ
家族としてペットを迎え入れた飼い主にとって、ペットが快適だと感じる住宅は、飼い主にとってもうれしい住宅です。
室内飼いならではの悩みを軽減できるよう、お客さまからの意見も聞き、ペットにも人にもやさしい住宅を提案していきましょう。