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今こそ生まれ変わろう。工務店が生き残るために必要な方法

将来、日本全体の人口減少をはじめ、少子高齢化、単身世帯の増加にともない、住宅需要の減少が懸念されています。


住宅需要が減少すると、工務店同士の価格競争は避けられません。

しかし、価格競争を理由とした資材調達や人件費にかかるコストの削減は、品質の低下や人手不足を招くリスクが考えられるため、根本的な解決策とはならないでしょう。


住宅市場で生き残るためには、自社にしかない価値を生み出すことや、時代のニーズに合わせた多角的なアプローチ、組織内の業務効率化が必要です。


本記事では、住宅業界の現状を踏まえて、今後工務店が住宅業界で生き残るために必要な対応について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.将来的な競争
  2. 2.組織を生まれ変わらせるためには
    1. 2.1.多角的なアプローチ
    2. 2.2.自社にしかないサービスの提案
    3. 2.3.ITツールの活用
  3. 3.地域に目を向けるのも手
  4. 4.まとめ

将来的な競争

工務店の価格競争が起こるであろう背景としては、2つの点が考えられます。


1つ目は、人口減少にともなう世帯数の減少です。

日本の人口は2010年をピークに減少が続いており、2050年頃には約1億人まで減少すると見込まれています。さらに、未婚率の増加や核家族化の影響により単身世帯数も年々増加しており、2040年には全体の約40%にまで達すると予想されています。このような人口減少や単身世帯の増加は、新築住宅の着工数に少なからず影響を与えるといわれています。


2つ目には、消費者ニーズの変化が挙げられます。国土交通省が実施した住宅購入に対する意識調査では、"新築よりも性能や予算を重視した中古住宅”を選ぶ割合が増加しており、住まいに付加価値を求める傾向が強まっています。さらに、震災の影響によって、住宅の"安全性”や"省エネ性能”を重視する人も増加しています。


住まいに対する意識の変化に対応するためには、いかにお客様のライフスタイルやニーズに合わせた提案ができるかという点が重要になるでしょう。

今後増加が見込まれる、単身世帯や高齢者向け住宅設備の強化や中古住宅のリフォーム事業への参入なども検討する必要が出てきそうです。

(出典:経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」)

組織を生まれ変わらせるためには

市場競争でお客様から選ばれる住宅メーカー・工務店になるためには、どのような施策が必要なのでしょうか。


多角的なアプローチ

今後の住宅メーカー・工務店には、競合相手との差別化を図り、時代のニーズに合わせた柔軟なプランを打ち出せる組織づくりが求められるでしょう。

具体的な例としては、これまで新築住宅や注文住宅をメインとしていた企業の場合は、リフォームや住み替えなどの多角的なアプローチを可能にするほか、コストパフォーマンスを重視した設計力やアフターフォローの充実、インテリアの提案など、独自のサービスに力を入れるという方法が考えられます。

そのためには、お客様のライフスタイルや家族構成を考慮し、選択肢を増やすことが必要です。


自社にしかないサービスの提案

競合相手との価格競争に巻き込まれないためには、値引き以外の方法で自社にしかない価値を生み出す必要があります。工務店では、設備や技術による差別化が難しい分、きめ細かいサービスによって強みを活かせるという戦略があります。

具体例としては、使用するキッチンや床材などを自由に選択可能、購入者が自身でDIYできるスペースを残した設計、築年数に合わせたメンテナンスなどがあります。大手よりもコストパフォーマンスが高く、低予算で依頼できるプランを考えるといいでしょう。


また、リフォーム事業に参入する場合は、住宅購入からリフォームまでワンストップ対応できるなどの一連型サービスが挙げられます。

顧客との接点を一度の建設やリフォームで終わらせず、アフターフォローによって継続的に関係性を築くことも、効果的な戦略といえるでしょう。


ITツールの活用

人手不足やコスト削減の対策としては、業務のIT化が挙げられます。

特に住宅業界では、建材費などの原価管理が欠かせないだけでなく、営業担当による顧客管理や、請負、リフォーム業務管理など、さまざまなデータ管理が必要です。コスト削減にあたって、業務効率化による生産性の向上や人件費の最適化は向き合いたい施策のひとつです。


ITツールの活用によって、これまで人の手で行っていたデータ入力やチェック作業を自動化するというのも効果的な方法です。原価管理から顧客管理などのさまざまなフローを効率化し、ミスの少ないスムーズな運営が可能となります。担当部署によって業務内容が異る、手作業での情報入力が非効率、正確な原価管理ができていないなどの悩みを抱えている場合は、ITツールの導入がおすすめです。

地域に目を向けるのも手

工務店が自社のアピールポイントを考える際、地域密着型であることは大きな魅力となります。長年その地域で活動してきた工務店は、地域の人のライフスタイルや生活環境などの特徴をより深く理解しています。そのため、周辺の環境に配慮した家づくりができるという強みがあります。


また、年齢層や家族構成は住む地域によってさまざまです。子どもが多い地域には家族向けの住宅を導入したり、高齢者が多い地域にはデイサービスや老人ホームなどと連携したサポートを行ったり、その地域ならではのニーズを把握することも戦略のひとつです。新築やリフォーム事業だけでなく、家族形態が変わった際の住み替えプランやバリアフリー化など、一生を通して快適で安心な住まいを提案できれば、長く信頼される工務店となるでしょう。

まとめ

今後の住宅業界は、住まいの提供だけでなく、子育てやライフサポートといった暮らしに関するトータル的なサービスも求められるでしょう。


地域ならではの特徴を活かしたサービスを展開するとともに、消費者ニーズを捉えた継続的なアプローチを検討してみてはいかがでしょうか。
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編集部
編集部
工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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