工務店・ビルダーで期待されるDXとは? 背景や具体的な取り組みを解説
社会情勢が不透明な現代において、企業が時代の変化に適応していくために国を挙げたDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。
さまざまな業界・分野でDXへの動きが強まるなか、工務店・ビルダーの経営にも変革をもたらす動きとして期待されています。
本記事では、工務店・ビルダーのDXが必要とされる背景や効果、具体的な施策について解説します。
目次[非表示]
- 1.DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
- 2.工務店・ビルダーにDXが求められる背景
- 2.1.①コロナによる営業活動の制限
- 2.2.②購買行動の多様化
- 2.3.③営業担当者の人手不足・属人化
- 3.工務店・ビルダーにおけるDXの取り組み
- 3.1.①オンライン商談の導入
- 3.2.②バーチャル展示場の実施
- 3.3.③インサイドセールスの導入
- 3.4.④分析ツール導入によるデータ活用
- 3.5.⑤システム活用による営業の効率化
- 4.まとめ
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXとは、ビジネス環境が激しく変化するなかで、企業が競争優位性を確立するためにデジタル技術を駆使し、企業や社会をよりよい方向に変革する取り組みです。
市場環境が目まぐるしく変わる現在では、顧客ニーズをつねに把握し、時代の一歩先を行く提案が必要です。また、深刻化する人手不足に対応するためには、デジタル技術を活用した業務の効率化、生産性の向上も求められます。
工務店・ビルダーにおいては、このような変わりゆく顧客・市場ニーズに対応し、生産性を向上させるためにDXが期待されています。
工務店・ビルダーにDXが求められる背景
工務店・ビルダーにDXが必要とされる背景には、主に以下3点が挙げられます。
①コロナによる営業活動の制限
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大により、展示会の実施や対面営業など、あらゆる営業活動が制限されました。
また、ビジネスのオンライン化の急速な推進に伴い、ビジネスモデルの変化も急務となっています。これは工務店・ビルダーでも同様で、業界で生き残るためにはデジタル技術を取り入れ、集客や営業活動の場をオンラインへとシフトすることが求められます。
②購買行動の多様化
近年、インターネットやSNSの普及により、消費者の購買行動、企業とのコミュニケーション手段が多様化しています。
SNSの利用率も増加しており、ネットショップで商品を購入したり、SNSのインフルエンサーから情報を収集したりするユーザーが増えています。このような顧客の購買行動の変化に対応するために、顧客ニーズに即した営業手法・マーケティングを行うためのDXによる環境整備が必要です。
出典:消費者庁『消費者行動・意識と消費者問題の現状』/総務省『平成29年版 情報通信白書のポイント』
③営業担当者の人手不足・属人化
少子高齢化や採用母数の減少、労働力の需要が増加しているのに対して労働人口が減少して、需要と供給のバランスが取れていないことによる影響で、人手不足になっている工務店・ビルダーは少なくありません。
また、顧客対応や案件管理が属人化している場合は、営業成果・スキルが人によって異なるといった課題もあります。こうした課題を解決するには、DXによる業務効率化、社内スキルの標準化が必要です。
工務店・ビルダーにおけるDXの取り組み
工務店・ビルダーがDXを進めるにあたり、どのような取り組みがあるのでしょうか。ここでは、営業やマーケティング活動に有効な5つの取り組みを紹介します。
①オンライン商談の導入
Web会議システムやビデオ通話ツールなどを用いてオンライン商談を行う方法があります。
インターネットを利用したオンライン商談は場所を選ばないため、移動時間やコストを削減でき、営業の効率化につながります。
対面営業が懸念されるコロナ禍においても、顧客獲得のための営業活動を継続することが可能です。
②バーチャル展示場の実施
パソコンやスマートフォンからリアルなモデルハウスを閲覧できる“バーチャル展示場”のサービスを利用する方法もあります。
3DデザインソフトやVR制作ソフトなどを活用し、3D映像・360度で見渡せる設計にすることで、自宅にいながら実物のように住宅を見学してもらえます。
コロナ禍で展示会・イベントでの集客が見込めない工務店・ビルダーに有効な取り組みです。
③インサイドセールスの導入
効率的な営業活動に向けて、インサイドセールスを導入するのも一つの方法です。
リード獲得から見込み顧客の育成までを電話・メール・SNSなどで実施することで、初回訪問にかかる時間や移動費を削減できます。
なお、インサイドセールスの導入には、顧客情報や進捗状況を管理できるツールが役立ちます。商談やクロージングまで非対面で完結できるツールもあるため、営業体制・リソースなどを考慮して検討するとよいでしょう。
④分析ツール導入によるデータ活用
DXを進めるために、営業活動で発生するデータを蓄積・分析できるツールの活用が有効です。
インターネットやSNS上のユーザーデータを管理することで、一人ひとりのニーズ、関心度合いに応じたアプローチを実施できます。
消費者行動や企業との接点が多様化する現代において、有効なマーケティング施策を講ずるために重要な取り組みといえます。
⑤システム活用による営業の効率化
顧客管理やメール配信、スケジュール管理などの営業活動にシステムを取り入れることで営業の効率化を図れます。活用できるツール・システムには、営業支援ツールのSFA、マーケティング業務の一部を自動化できるMAなどが挙げられます。
システム活用によって営業フローを効率化することで、組織全体において生産性の向上が可能です。
また、営業プロセスや対応内容を可視化できるため、社内での情報共有が手軽に行えるようになり、属人化の解消にもつながります。
まとめ
社会情勢や消費者行動が変化する現代において、工務店・ビルダーが競合他社に負けないようにするためには、時代のニーズに柔軟に対応できる体制づくりが求められます。
工務店・ビルダーのDXの実現により、コロナ禍における営業活動の継続や営業活動の効率化、生産性の向上が可能です。
なお、DXの取り組みには、営業支援システムや分析ツール、オンライン会議システムといったデジタルツールの活用が欠かせません。
自社の課題に応じてデジタルツールを取り入れながら、組織体制の再構築を図ってみてはいかがでしょうか。