住宅営業ノウハウ

新人が早期に結果を出せて戦力化できる営業手法

注文住宅営業の特に中級以上の住宅の購入層(以降、中級層以上)の対応において、新人を早期に戦力化することは最初から諦めているというのが実態だと思います。

従来は先輩の営業に付いて歩いて覚えろとか、1人前になるのには10年掛かるとか言われ続けてきました。これを令和の時代も続けていると、住宅業界は優秀な若い人材を得られなくなってしまいますし、いつまで経っても「半人前扱い」では新人でなくても離職を考えたくなります。

人手不足が加速する現状では新人の確保と早期の戦力化が大きな課題です。新人に早期に成果を上げさせてあげることができれば本人のモチベーションも上がりますし、会社としても人材採用という投資の結果をすぐに得ることができます。具体策について考えてみましょう。

目次[非表示]

  1. 1.分業という営業のチームプレー方式の導入
  2. 2.営業がチームプレーで受注を上げるための条件
  3. 3.新人教育は動画と画像で理解させ、ロープレ訓練で体を動かす教育
  4. 4.「受注」という「結果評価」から「2ステージクリア」という「受注プロセス評価」も導入
  5. 5.新人が入ったら「気づき共感営業」手法の導入では手遅れ
  6. 6.まとめ

分業という営業のチームプレー方式の導入

新人の早期戦力化の「早期」とは具体的にどのくらいの期間を指しているのかというと「1ヶ月間」です。新卒新人なら5月のゴールデンウィークには「戦力」としてデビューということになります。

もちろん中級層以上の注文住宅を狙う住宅営業では、初回面談から契約までを一人の新人営業がこなすというのはさすがに無理があります。そこで「分業方式を導入」します。

多様化したお客様の「心豊かな暮らし」を実現する営業手法は、前回のコラムで記しましたように「気づき共感営業」手法が最適です。「気づき共感営業」手法の営業プロセスは7ステージに分かれていますので、この最初の2ステージを新人にも対応できるように1ヶ月間で教育訓練します。

ただし、初回面談は「受注要因の80%以上」を占める重要な部分ですので100点満点を取るような対応を過度に新人に期待することはできません。

また、「気づき共感営業」手法も新人にはやや難しすぎるので、姉妹編で新人用簡略版の「いい暮らし実現営業」手法を用いて60~70点くらいの「初回面談時に受注につながる次アポ獲得が出来た」というレベルにたどり着くことができるようにします。

この手法は「気づき共感営業」手法と同じ思想で構築されていますので新人がその後、実力をアップしてくれば、本格的な「気づき共感営業」手法へ移行することも容易です。

新人が取得した次アポ以降を先輩がバトンを引継ぎ受注へと営業推進します。その際に新人を同行させて初回面談以降の5ステージを体感体験させて、育成することも可能です。

営業がチームプレーで受注を上げるための条件

「気づき共感営業」手法と簡略版の「いい暮らし実現営業」手法の導入で新人からベテランまでの営業チーム全員がベースとしての営業手法を「チーム全体で共有化し、運用している」ことがチームプレーで受注を上げるための条件です。

注文住宅営業をマニュアル化することは出来ませんが「営業セオリー」はあります。この「注文住宅営業セオリー」という「営業の考え方の基準軸」を共有化していることで、共通の考え方で営業を進めることが可能になり「営業ミーティングがはじめて成立」します。

例えば7段階の受注ステージの「このお客様はどの段階のステージなのか」の基準は共通ですから「次のステージに上げるためには『何をどうやってこのステージのハードルをクリア』するのか」と共通の尺度で考えることができます。

「共有している注文住宅営業セオリー」という「考え方の基準軸」が無いと仮に営業のリーダーが「こうしろ、ああしろ」と言っても、周りで聞いている人たちは口には出さなくても、「それはあなたのやり方でしょ」となって「俺は俺のやり方」で進めるということになり、「どうやって受注するのか」という「営業ミーティングの本来の論議」にはならず「各自が追いかけているお客様の状況報告会」にとどまってしまいます。このような環境では新人は育ちませんし、受注も安定しません。

全員が注文住宅営業セオリーという営業の考え方の軸で案件別の受注検討を進めることで「チームの知恵」が活かされます。

その輪の中に入っている新人も何を論議しているのかを共有している注文住宅営業セオリーに照らして考えることができて、早期に成長することが可能になります。

新人教育は動画と画像で理解させ、ロープレ訓練で体を動かす教育

新卒新人はもちろん、若手の方々はデジタルネイティブ世代であることは言うに及ばず、さらにInstagram、YouTube、TikTokが日常の世代ですから「テキストと口頭での講義」では営業手法のポイントが伝わらない世代です。

「いい暮らし実現営業」も、「気づき共感営業」も「動画」で何をすればよいのかが伝わるようにしていますから、まず「真似してやってみる」というロープレ訓練で短期間に具体的に何をすればよいのかの「目的が伝わる」研修と訓練を可能にしています。

真似するところから入りますが、なぜそうしているのかという「目的」を理解していただき「自分で考える」ことを要求する「実戦型のロープレ訓練」で教育を行います。

動画と画像というビジュアルな教材で、実際に体を動かしてやってみることをしながら、実戦的にロープレ訓練時に実戦応用的に揺さぶられても「目的で考えて対処する」という訓練をすることでこのお客様に対して営業各ステージで何をすべきなのかという応用力を吸収できます。

従来の一人前になるのに10年は掛かる放し飼いか、徒弟制度のような教育からこのように短期間で結果を出せる手法で新人営業を育成します。

「受注」という「結果評価」から「2ステージクリア」という「受注プロセス評価」も導入

プロセス評価の導入は受注プロセス(7段階)のどのステージまで単独でクリアできたのかという客観的な育成プロセスで、会社も自己も評価ができるようになり、より上を目指すモチベーションに繋がります。

「受注になったこのお客様の最も難しい最初の2ステージは君がクリアしてくれたおかげ」という「成果」は若い人材には大きな自信になります。

また、最初の2ステージクリアが確実にできるようになると「いい暮らし実現営業」から「気づき共感営業」へ「昇格」して行くなど、より高いやりがいや、チャレンジという向上心にもつながります。

新人の定着を図りながら高い能力を発揮できる人材を育成します。これによってベテランも刺激を受けるという好循環を営業チームにもたらします。

新人が入ったら「気づき共感営業」手法の導入では手遅れ

多くの会社で「新人が入ったらそういう手法を導入してみたい」という話をよくお聴きしますがそれでは手遅れで新人は育ちません。

遅くとも新人が入社する半年前までには「気づき共感営業」手法の導入を終えて、既存のチームが実戦運用ができるようになり、定着段階になっていることが求められます。

従って来年の新卒新人の受容れのために「気づき共感営業」「いい暮らし実現営業」の導入を今から進めてください。

まとめ

中級層以上の住宅市場で注文住宅事業を展開する住宅会社/工務店にとって、新人の育成というのは長年の課題でした。

経験というブラックボックスを中心とした個人の営業ノウハウはあくまでも個人単独のものでしかなく、共有化することは難しい状態だったと思います。

これを注文住宅営業セオリーという考え方の軸をチームで共有化することで、チーム共通の考え方に則って知恵を出し合うことが可能になり、チーム力としての営業力も高まり、新人が育つ土壌ができてきます。

会社にとって、また営業個人にとっても大きなメリットがありますので、この機会に是非「いい暮らし実現営業」手法と「気づき共感営業」手法の導入をしてみてはいかがでしょうか。


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株式会社ハウジングラボ 松尾俊朗
株式会社ハウジングラボ 松尾俊朗
松下電工勤務で木造軸組改良工法(木と鉄の混構造/テクノストラクチャー工法)をはじめ様々な注文住宅事業形成手法を開発。ハウジングラボ設立後、様々な形態の161社の注文住宅事業サポートを実施。幅広い視点で各社の強みを活かした各社独自の注文住宅事業へナビゲート。

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