住宅トレンド

【エリア別】コロナ禍で地価が下落? 市場の影響を解説

コロナ禍によって生活様式や社会情勢は大きく変化し、地価の下落などにも影響を及ぼしています。

これに伴い、工務店・ビルダーは地価の動向や現状を把握したうえで、今後のプロジェクトを検討していくことが重要です。

そこで今回は、地価下落の動向をはじめ、それに伴う不動産業界への影響について、土地のエリア別に解説します。

目次[非表示]

  1. 1.【2021年】コロナ禍による地価への影響
  2. 2.商業地の地価動向
    1. 2.1.三大都市圏における商業地
    2. 2.2.地方観光地における商業地
  3. 3.オフィス街の地価動向
  4. 4.住宅街の地価動向
  5. 5.災害地域の地価動向
  6. 6.まとめ

【2021年】コロナ禍による地価への影響

コロナ禍が続く2021年、全国の地価に大きな変動がありました。

2021年における全国平均の地価公示(全用途平均)(※)は、2015年以来、6年ぶりに下落。大阪・東京・名古屋の三大都市圏、地方圏の両方で下落に転じている状況です。

▼地価下落で考えられる要因

  • 新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大で先行きの不透明感が強まったことによる土地需要の減少
  • 世界的なコロナの感染拡大による国内外の来訪客の減少に伴い、店舗やホテル・飲食店の需要が減少

なお、地価下落の程度については土地の用途や地域によって異なります。

次項では、商業地・オフィス街・住宅街・災害地域における4つのエリアの地価動向について詳しく開設説明します。

※地価公示:国土交通省が地価公示法に基づいて、毎年1月1日時点で判定される1平方メートル当たりの土地の正常価格のこと。住宅の開発や建築を行ううえでの土地取引の指標となる。

出典:国土交通省『令和3年地価公示の概要

商業地の地価動向

飲食店や百貨店などの商業施設が集結する商業地では、公示地価が-0.8%と2014年以来7年ぶりに下落しています。これは、コロナによるインバウンド需要の大幅な減退が原因だと考えられます。

日本政府観光局(JNTO)では、2020年における訪日外国人客数の目標を年間4,000万人としていました。しかし、コロナの影響によって412万人にとどまる結果となっています。


三大都市圏における商業地

商業地の地価下落で最も影響が大きかったのが、東京・大阪・名古屋の三大都市圏です。公示地価は昨年より-1.3%下落しており、2013年以来8年ぶりに下落に転じています。

▼三大都市圏(商業地)の地価公示

地域
地価公示

東京圏

-1.0%

大阪圏

-1.8%

名古屋圏
-1.7%


全国における商業地の公示地価が-0.8%の下落に対して、上記の三大都市圏では下落幅が大きくなっています。

外国人観光客でにぎわっていた主要都市や飲食店・店舗などが集結する地域については、インバウンド需要の減退による影響が大きいことが分かります。

出典:国土交通省『令和3年地価公示の概要』/『国土交通省地価公示・都道府県地価調査


地方観光地における商業地

三大都市圏の商業地では、いずれも地価が大幅に下落していますが、地方の観光地においては下落幅が小さくなっています。

地方の人気観光スポットのなかには、コロナ禍を見据えたリゾート開発によって地価を維持している地域もある状況です。

沖縄県宮古島市の商業地では、リゾート開発が活発に行われたことにより、公示地価は+2.1%を維持しています。沖縄県内の商業地については、コロナ禍で観光需要が減退したため、+0.2%上昇とほぼ横ばいという結果となっています。

また、北海道ニセコの上昇率は昨年に続き、全国トップである+44%へ上昇。コロナ収束後を見据えた開発投資により、地価を下支えしています。ただし、札幌市ではホテル・飲食店の需要減少により、繁華街すすきのなどで地価が7%下落するという結果になっています。

オフィス街の地価動向

丸の内や大手町などのオフィス街の地価に関しては、大きな変化はありません。

東京23区内の新築マンション価格は2年連続で上昇しており、1990年以来の6,000万円超えを達成しています。

また、2020年の年平均分譲価格は7,712万円まで上昇しました。このように、コロナによる地価下落の影響が少ない状況です。この要因の一つは、賃貸借契約の形態にあります。

オフィスビルのようなテナントは3~5年の長期契約を締結することが一般的です。途中解約すると違約金が発生するため、コロナ禍でビジネスや働き方が変わっても、すぐに退去・移転するのが難しいと考えられます。

オフィス街の地価については、コロナによる大きな影響は考えにくいといえます。

住宅街の地価動向

住宅地の公示地価については、商業地よりも下落幅が小さい傾向があります。2021年の住宅地における全国平均の公示地価は-0.4%となっており、2016年以来5年ぶりに下落しました。

▼三大都市圏(住宅地)の地価公示

地域
地価公示

東京圏

-0.5%

大阪圏

-0.5%

名古屋圏
-1.0%


地価下落の要因には、コロナによる土地取引の減少や雇用・賃金情勢の弱まりによる土地需要の減少が考えられます。

一方、地方圏では、公示地価が上昇している地域もあります。札幌市、仙台市、広島市および福岡市の地方四市では公示地価が2.7%上昇する結果となりました。

2020年度の上昇率5.9%と比べると伸び率が少ないものの、コロナによる地価変動の影響は都市圏よりも小さいことが分かります。

そのほか、地方圏の主要都市では公示地価の上昇が見られている状況です。

出典:国土交通省『令和3年地価公示の概要

災害地域の地価動向

土砂災害区域や実際に被害を受けた地域については、地価の下落幅が大きくなっています。

2019年、台風19号で浸水被害を受けた長野市の地点では、昨年からの地価変動率が-13.1%に下落しています。

また、東日本大震災の影響があった福島県郡山市の地点でも、地価変動率が-12.6%と大きく下落しました。自然災害による住民の流出によって、災害地域の地価下落が生じていると考えられます。

まとめ

2021年の地価公示は、全国平均で6年ぶりに下落しました。コロナによる観光客減少の影響により、住宅地よりも商業地の下落幅が大きくなっています。

▼2021年 エリア別の地価公示

地域
住宅地
地価公示

三大都市圏

▲0.6

▲1.3

東京圏

▲0.5

▲1.0

大阪圏

▲0.5

▲1.8

名古屋圏

▲1.0

▲1.7

地方圏

▲0.3

▲0.5

地方四市

2.7

3.1

その他
▲0.6
▲0.9


一方で、三大都市圏の中心部から離れた商業地・地方圏では、一部地価公示の上昇が見られており、コロナによる影響は少ないと考えられます。

工務店・ビルダーの営業担当者さまは、今回ご紹介したような各エリアの地価への影響を考慮したうえで、土地開発や建築事業などの計画を立てることが重要です。

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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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