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知識を深めよう!住宅借入金等特別控除の制度について

住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に活用できる“住宅借入金等特別控除”制度について案内できますか?

いざ、お客さまに質問された際に控除を利用できる条件や、いくら軽減されるのかなどの案内ができると、よりお客さまの信頼を得ることが期待できます。

家の構造や設備についての知識も大切ですが、活用できる制度についての知識も持つようにしましょう。今回は住宅借入金等特別控除の制度(2020年2月10日時点)について紹介していきます。

目次[非表示]

  1. 1.住宅借入金等特別控除について
  2. 2.住宅借入金等特別控除が適用される条件とは?
    1. 2.1.新築の場合
    2. 2.2.中古住宅の場合
  3. 3.住宅借入金等特別控除額の算出方法
  4. 4.住宅借入金等特別控除の手続き方法
    1. 4.1.確定申告の日程
    2. 4.2.用意する書類
    3. 4.3.手続きする場所
  5. 5.住宅借入金等特別控除を活用しよう!

住宅借入金等特別控除について

そもそも住宅借入金等特別控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入、または住宅の増改築を行った際に所得税を控除できる制度を指します。一般的に“住宅ローン控除”や“住宅ローン減税”と呼ばれる制度で、確定申告をして控除を受けます。

住宅取得者がローンを返済する際の金利負担の軽減を目的としている制度で、条件を満たしている場合に控除が適用されます。適用されると最長10年間、ローン残高の1%が所得税から控除されるようになります。

1年間の控除額上限は40万円、認定長期優良住宅などは上限50万円と設定されており、総額にすると大きな控除額になります。

どのくらい税金が安くなるかは、計算式を用いれば減税額を具体的に割り出すことができるので、住宅の購入を検討しているなかでも、ローンの返済に不安を感じているお客さまに後押しができ、案内が可能な制度でしょう。

住宅借入金等特別控除は期限のある制度で、現在の制度の場合、令和3年12月末までに居住を開始した人が対象となります。期限が終わると制度の見直しがされ、新しい制度ができたり、延長になったりするので、今回紹介する住宅借入金等特別控除の制度の内容には期限があるということも知っておきましょう。

住宅借入金等特別控除が適用される条件とは?

住宅を購入・増改築する人全員が控除の対象になるわけではありません。ここでは住宅借入金等特別控除が適用される条件について新築・中古別に紹介していきます。

新築の場合

  • 住宅が新築、または取得日から半年以内に入居している
  • 住宅ローンを組んでいる人の合計所得額が3,000万円以下である
  • 床面積が50m2以上である
  • 10年以上の住宅ローン返済期間がある
  • 床面積の半分以上が住宅取得者の居住するためのスペースである
  • 対象となるローンである

住宅借入金等特別控除を受けられるのは居住のための住宅に限り受けられる制度です。住宅として取得する際でも、なかには店舗や事務所、賃貸を兼ねて購入する人もいます。

そのような場合でも床面積を基準として半分以上が自らの住居スペースであれば、住宅借入金等特別控除が適用されます。住宅に居住しているかどうかは住民票で確認するため、セカンドハウスや別荘・賃貸用では適用外となります。

3,000万円を超える所得がある人や、控除を受けていても所得が3,000万円を超える年があった場合には、その年の控除が受けられなくなります。

借り入れるローンにも条件があり、民間の金融機関・財形住宅融資・自治体の融資・長期固定金利住宅ローンなどが対象となります。親族などから借り入れたお金や、住宅の所有者から引き継いだローンは対象外です。


中古住宅の場合

  • 木造など耐火建築物以外の住宅の場合、築年数が20年以内である
  • 鉄筋コンクリートなど耐火建築物の場合、築年数が25年以内である
  • 築年数を超えてしまっても、耐震基準の証明書の取得や既存住宅売買瑕疵保険に加入していること
  • 親族による購入や贈与された家ではないこと
  • 新築住宅の適用条件をすべて満たしていること

新築の場合には耐震基準を満たして建築されていますが、中古住宅の場合、耐震基準に満たない住宅があります。そのため、中古住宅の場合には築年数や耐震基準の証明書の有無により、条件がクリアできるかを判断します。

住宅借入金等特別控除額の算出方法

住宅借入金等特別控除は確定申告での申告によって控除されるので、年末の時点でのローン残高1%が控除となります。しかし所得による納税額は人によって違うので、全員が1%控除できるわけではありません。控除額を算出する計算式を用いて仮定の数字で紹介します。

計算式:ローン残高×控除1%

ローン残高が3,000万円の場合、1%の控除なので、30万円と算出できます。最大控除額が40万円だったとしても、最大控除額とローン残高の1%を比較し、小さいほうの額が適用されるため30万円が限度額となります。

年収400万円で所得税10万円、住民税14万円だと仮定すると、所得税では控除しきれない金額となります。所得税で控除しきれなかった分は住民税(上限13万6,500円)から引かれます。

所得税10万円+住民税13万6,500円=23万6,500円と算出でき、総額の控除額は23万6,500万円ということになります。

このように控除額は納税した金額以上は控除されません。控除額の上限設定である40万円や50万円のすべての額が控除されるとは限らないので、お客さまに誤解を与えないよう案内することが大切です。

住宅借入金等特別控除の手続き方法

住宅借入金等特別控除の手続きは確定申告なので、確定申告の期間中に手続きをしましょう。申請書の用意や申告は早めに行うことがおすすめです。


確定申告の日程

例年2月ごろから1ヶ月間が確定申告の期間です。2020年の場合、2月17日から3月16日までが確定申告の期間となっています。還付の申告は1月から行えるので早めに行動しましょう。


用意する書類

  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • 本人確認書類
  • マイナンバーカード
  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
  • 住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」

必要に応じて耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写しや認定優良住宅などの認定通知書の写しも用意しましょう。

税務署で用意のある書類は国税庁のサイトからも入手できます。残高証明書については住宅ローンの借入先である金融機関から送付されるので、入手が困難な書類はないですが、漏れのないように準備しましょう。

手続きする場所

各地域にある税務署で手続きができますが、混雑するので時間に余裕のある日に行くことをおすすめします。郵送やインターネットでも手続きが可能となっています。不明点は税務署へ足を運ぶ以外にも電話で問合せすることもできます。

住宅借入金等特別控除を活用しよう!

控除を10年間適用できれば総額にすると大きな金額が控除されることになります。快適な暮らしとともに節税にもなるため、住宅の購入はお得な面もあります。

お客さまの質問に答えられることも大切ですが、このような制度を知らないお客さまもいるので、住宅購入を検討している人の背中をプッシュするためにも最新情報の制度を見逃さずにチェックしていきましょう。
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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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