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深刻な職人不足。人材育成とオートメーション化が重要なカギ

少子高齢化による労働人口の減少が進むなか、多くの業界が人手不足に悩んでいます。なかでも建設業界では職人不足が顕著で、大工や左官などの伝統的な職種においては高齢化が進み、就業者の減少が続いている状況です。


建設業界における若年層の就業率が低いため、採用難による人手不足は加速しています。そのため、企業は若い世代への技術継承が不可欠となり、早急な人材採用と育成が課題になっています。


本記事では、建設業界における深刻な職人不足の原因と、その対策について考えていきます。

目次[非表示]

  1. 1.職人が減少する理由とは
    1. 1.1.①若者離れ
    2. 1.2.②離職率の上昇
    3. 1.3.③職人の需要が上昇
  2. 2.多能工育成で効率の向上を図りましょう
  3. 3.オートメーション化を考えるのも手です
    1. 3.1.BIMツールの活用
  4. 4.まとめ

職人が減少する理由とは

建設業界における就業者は近年減少傾向にあります。国土交通省の報告では、平成27年末の建設就業者数は約500万人といわれており、ピークであった平成9年からみると約27%減少しています。


さらに、総務省の労働力調査によると、建設業就業者のうち約34%は55歳以上で、29歳以下は約11%と高齢化が進んでおり、若い世代への技術継承が大きな問題となっています。


建設業界の人手不足が拡大している原因には、大きく3つの理由が考えられます。

(出典:国土交通省「建設産業の現状と課題」)


①若者離れ

建設業界の人材不足は、いわゆる若者離れが大きく影響していると考えられています。


若者の就業率が低い理由には、建設業界における労働環境が挙げられます。

建設工事の現場では、約65%の人が4週間に4日以下の休日で働いており、製造業や運輸業などと比べても所定内労働時間が長いことがわかっています。


建設業界は休日が少ないためプライベートを充実しづらく、体への負担も大きいことから、若者が選択しなくなっている業界であると考えられます。


また、若者の仕事に対する意識にも変化が起きています。

内閣府が行った若者の就労への意識調査によると、収入よりもプライベートや家庭を優先したいという意識が強く、仕事にはやりがいや人とのつながりを求める傾向があるとわかっています。仕事を選ぶときに重視するポイントについては、「安定していて長く続けられること」が最も多い結果となりました。


若者離れが進む原因には、このように古くから慣習化された労働環境が残る建設業界は、現在の若者が希望する就業条件と合わないということが考えられます。労働環境をあらためて見直し、休憩時間や休日の確保、若者の意見に耳を傾けるなどの改善が求められます。

(出典:国土交通省「建設産業の現状と課題」/内閣府「特集 就労等に関する若者の意識」)


②離職率の上昇

建設業界は若手の採用が厳しいだけでなく、離職率の高さも懸念されています。

その原因として挙げられるのが、仕事量や負担に対する賃金の安さや労働時間の長さです。年間出勤日数は全産業と比較して26.9日多くなっているのに対して、年収額については全産業のなかでも低くなっています。


休日に関しても、完全週休2日制を導入している企業は全産業において49%であるのに対し、建設業界は27.4%と大きな開きが見られます。こういった労働環境や待遇差が離職を招く大きな原因と考えられています。


厚生労働省による「建設業の離職者が仕事を辞めた理由」についての実態調査では、「休みが取りづらい」「雇用が不安定である」「労働に対しての賃金が低い」という意見が目立っています。


建設業就業者の定着率向上を目指すためには、雇用形態の見直しや社会保険への加入、仕事に見合った賃金の制定などに取り組み、労働時間や休暇について、現職の人たちの要求に耳を傾けることが大切です。


(出典:国土交通省「建設産業の現状と課題」/厚生労働省「建設業における若年労働者確保の課題について」」


③職人の需要が上昇

建設業界における労働者の需要に関しては、震災復興事業やインバウンド需要による整備などにより、年々拡大傾向にあります。


これらの需要に対する担い手を確保するためには、女性技能労働者や外国人労働者を積極的に採用することも検討しなければいけません。


上述した若者離れや離職などを防ぐためにも、現在働いている労働者たちの育成が必要です。技術の向上や多能工を育てる機会を設けるなど、企業として対策を講じることが職人不足解消への有効手段です。

(出典:厚生労働省「建設労働者を取り巻く状況について」)

多能工育成で効率の向上を図りましょう

建設業界での業務効率化やコスト削減に効果のある施策として、“マルチクラフター”と呼ばれる多能工が注目を集めています。


マルチクラフターとは、建設工事においてさまざまな作業や工程に対応できるスキルを有する個人や生産システムのことを指します。


従業員が1人でできる仕事の質を向上することにより、施主や元請からの業務管理が効率化し、品質の安定化につながるというメリットがあります。

さらに、人材を有効活用することで受注できる仕事量も増えるほか、同一人物が作業することによって作業工程の説明の手間なども省けます。


マルチクラフターの育成により、人件費の削減や品質差異の減少にもつながるなどのメリットがあります。


ただし、マルチクラフターを育成するためには、多能工の技術を学ぶための教育費や多能工に対応した発注システムの導入などが求められます。技術を取得した労働者には技術力に応じた給与の改定や評価も求められ、体制が整備されなければ離職率を高めてしまう原因になり得ます。


また、全労働者が多能工になる必要はなく、専門的な分野を絞って知識やスキルを向上させることも大切です。

企業と労働者の双方にとって効率の良い業務を行うため、多能工について学ぶ機会を設けることを検討してみてはいかがでしょうか。

( 出典:国土交通省「マルチクラフター(多能工)を育成しよう!!」 )

オートメーション化を考えるのも手です

待遇の改善や学習機会の確保だけではなく、職人不足に対しては“オートメーション化”も有効な手段として挙げられます。


多くの企業では、すでにICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などを活用した、生産性の向上を目指した取り組みが運用されています。たとえば、ドローンを使用した3Dでの測量や、BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)ツールを利用した業務の効率化などが挙げられます。


なかでもBIMツールは従来まで使用されてきたCADツールとは異なり、より手軽に図面や形状の組み立てが行えるようになりました。


BIMツールの活用

BIMツールは、建物のモデルを3次元で作成でき、情報管理に必要なデータを一括で管理できるシステムです。これまでの2次元で作成してきたモデルではなく、立体的かつ具体的にイメージできる3次元モデルは、施工主へのプレゼンや元請けへの対応に有効です。建物を設計するだけでなく、構造計算や設備、コストの管理なども行えます。


効率の良い施工計画を企画できるため、多くの企業で導入されて普及率も高まっています。

まとめ

建設業界の職人不足は大きな問題です。高齢化が進み若年層の就業率が伸び悩む状況下で求められるのは、各企業が労働環境の改善や見直しを行うことと、オートメーション化や教育機会を設けるなどの施策を視野に入れることです。働きやすい職場づくりによって、若者の採用活動に注力するだけでなく、社内の業務効率化や労務管理を改善することも不可欠といえるでしょう。


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注文住宅 Business 編集部
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注文住宅のプロである工務店・ハウスメーカー様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、最新の時事ネタなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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