住まいに広がるIoT化。IoT住宅で快適な暮らしづくりを提案
住宅業界では、近年“IoT化”が進んでいます。
IoT(Internet of Things:インターネット オブ シングス)とは、“モノのインターネット”という意味で、(人工知能)を含むIT技術を用いて、モノとインターネットがつながる仕組みのことを指します。
住宅におけるIoT化は、快適かつ安全な暮らしをサポートするサービスとして、世間からのニーズが高まっています。
本記事では、住宅づくりに大きく影響するIoT化について、住宅業界がどのように取組めばよいのかを解説します。
目次[非表示]
- 1.IoT住宅とは?
- 2.スマートハウスとの違い
- 3.住宅のIoT化を加速させる新技術
- 3.1.AI(人工知能)の発展
- 3.2.5Gへの対応
- 4.住宅のIoT化で何ができるのか
- 4.1.①家電や設備をスマートフォンで操作
- 4.2.②住宅エネルギーの最適化
- 4.3.③遠隔地からの見守りサービス
- 5.次世代住宅プロジェクト
- 6.まとめ
IoT住宅とは?
IoT住宅とは、設備にIoT機器・IoT技術を取り入れた住宅のことを指します。
最近では家電自体の自動化だけでなく、インターネットとつながることで音声認識や遠隔操作なども可能になっており、IT技術の進化とともに私たちの生活は日々便利さを増しています。
エアコンや冷蔵庫、洗濯機、インターフォン、掃除機などさまざまな電化製品のIoT化を受けて、今後はますますIoT住宅の需要が高まっていくのではないかとも予想されています。
スマートハウスとの違い
スマートハウスは、IoT住宅より早く2010年頃から普及してきた言葉です。
IoT住宅と間違えられることもありますが、スマートハウスは太陽光発電や蓄電池を備えた住宅です。
HEMS(Home Energy Management System:ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)というシステムによって家庭の電気使用量を見える化して、コントロールすることで住宅の省エネを目指します。
IoT住宅もスマートハウスもIT技術を活用する点は共通していますが、IoT住宅は利便性や快適性を高めて住環境をよりよくすることが目的です。
スマートハウスはエネルギーコントロールで省エネ・節電を重視しているため、この点が大きな違いと言えるでしょう。
住宅のIoT化を加速させる新技術
最先端技術を搭載した家電や設備がつぎつぎと登場している現在、これからも住宅のIoT化が加速していくと考えられています。その主な要因として以下の2つが挙げられます。
AI(人工知能)の発展
スマートフォンの音声アシスタントや掃除ロボットなどは、すでに身近な存在ではないでしょうか。最近ではハンドルを握らずとも運転してくれる自動運転技術や、センサーで商品を識別する技術なども登場しています。
今後AIがどのように発展していくか、どのように活用されていくか、可能性は未知数です。日々研究や開発が進められており、家庭内で多くのIoT機器と共存していく未来も想像できます。
5Gへの対応
2010年代に登場した4G(第4世代移動通信システム)でスマートフォンの通信速度が早くなり、大容量のコンテンツが楽しめるようになりました。
そして2020年代に入って、5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが始まり注目を集めています。
5Gの特徴として以下の3つが挙げられます。
- 高速大容量通信
- 高信頼で低遅延通信
- 多数同時接続
5Gでは、スマートフォン以外の端末も高速通信が可能になり、4K・8Kなどの高画質で動画鑑賞を楽しめます。
低遅延通信では、これまで以上にリアルタイム性が高まり、自動運転や遠隔医療の可能性も広がるでしょう。
また、4Gより約10倍の台数との同時接続が可能で、さらに住宅のIoT化の発展が期待できます。
住宅のIoT化で何ができるのか
住宅業界はニーズが高まるIoT化に向けて、さまざまなサービスや設備の開発に取組んでいます。
少子高齢化や共働き世帯の増加という社会的背景にともない、人々の暮らしにも変化が表れていることから、住宅設備やサービスに関してもニーズに合わせた対応が必要です。
代表的なIoTには、次のような機能が挙げられます。
①家電や設備をスマートフォンで操作
照明や玄関の鍵などにIoTデバイスを導入することにより、電源や鍵に直接触らなくても操作できます。スマートフォンやタブレットに入れたアプリ上で、電気のオンオフや玄関の施錠が可能になる仕組みです。
外出先からスマートフォンひとつで部屋の電気を消灯できたり、玄関の鍵を施錠できたりすることで、住む人の利便性は大きく向上します。
なかには、窓の開閉状況がスマートフォンに通知されたり、異常を検知したときにアラートが出されたりするなど、セキュリティ機能を備えたサービスもあります。
②住宅エネルギーの最適化
電気やガス、水道などの生活にかかわるエネルギーの使用量をデータ化し、ネットワーク経由で管理することにより、光熱費の削減やエネルギーの最適化が図れます。
近年では、家庭内のエネルギー使用量を見える化できるHEMSに関心が寄せられています。そのため、異なるメーカーの製品でもHEMSに対応できるIoT製品やAI設備の開発も期待されている状況です。住宅エネルギーの最適化は家庭内の不要なコストを減らし、生活の質の向上につながります。
③遠隔地からの見守りサービス
遠隔地から見守りができるIoTを住まいに導入することにより、高齢者や子どもに起こりやすい家庭内の事故を防止したり、緊急時はスマートフォンに通知したりといったセキュリティの強化が可能です。
また、遠隔操作によって、掃除や洗濯といった家事を効率化できるなど、住む人の生活スタイルに合わせた便利な設定も可能です。
IoTに対応した住宅は、離れた場所に高齢のご家族がいる場合や、子育てと仕事を両立している世帯において必要性が高いと言えます。
次世代住宅プロジェクト
IoTにおける必要性の高さは理解できるものの、いざ導入するとなると、まだまだハードルが高いというのも事実です。
そのようななか、国土交通省では、住まいのIoT化による住宅市場の価値や生産環境を向上するために、住宅関連事業者に向けた“次世代住宅プロジェクト”という施策を実施しています。
これからIoT技術を活用した住宅を建設する場合や、省エネ性能に取組む場合、一定の要件を満たすことで補助金を受けられるという制度です。
補助費用には、IoT技術の導入費用やマネジメントの整備費用、シミュレーション費用なども含まれます。IoTによる新たなビジネスイノベーションの創出を目指す企業にとって大きな手助けになると言えるでしょう。
補助金を受けるまでのステップとしては、まず対象となる要件を満たしているかを確認し、応募期間内に提案書を郵送します。その後、『サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)評価委員会』による評価結果を踏まえて、国土交通省によって採択されます。
次の募集時期は2020年12月時点ではまだ発表されていませんが、2021年以降も随時チェックしてみてはいかがでしょうか。詳しい応募方法や手順については、国土交通省のホームページでご確認ください。
(出典:国土交通省『「次世代住宅プロジェクト2020」の提案募集を開始~IoT技術等を活用した次世代住宅のリーディングプロジェクトを支援します~』)
まとめ
AIの発展や5Gへの対応によって、さまざまなIoT機器が開発され、IoT住宅の需要はさらに高まっていくことが予想されます。
住宅のIoT化は、家事の効率化や高齢者の見守りをサポートすることで便利になるだけでなく、住生活の質の向上にもつながるでしょう。
工務店・ハウスメーカーとしてどのようにIoT住宅に取組んでいくのか、お客さまのニーズにどう応えていくのか、情報収集を行いながら準備を進めていくことが大切です。
さらに、IoT住宅の導入によって住生活関連の新たなビジネスの成長も期待できるでしょう。
なお、LIFULL HOME'Sは、工務店さま・ハウスメーカーさまに向けた各種サービスの詳しい資料をご用意しています。ご興味がございましたらぜひご参照ください。