仕事に最適化する住宅へ、テレワークで変化する住宅選び
新型コロナウイルスによるテレワーク推奨もあって、ここ最近テレワークという言葉を耳にする人は多いでしょう。自宅にいながら仕事ができるテレワークの広がりによって、住宅業界にも変化が起ころうとしています。
その理由は、“職場への通勤という概念がなくなること”、そして“自宅が職場になること”の2つです。これらによって、今後の住宅選びの基準も変わっていきます。
今回の記事では、テレワークが普及しつつある現状と、テレワーカーに向けた住宅づくりのポイントについてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.テレワークの現状
- 1.1.普及するテレワーク
- 1.2.テレワークが時間を生み出す
- 2.テレワークによる住宅の変化
- 3.テレワーカーに求められる住まいとは?
- 3.1.1.仕事ができるスペースをつくる
- 3.2.2.余白を残す収納スペース
- 3.3.3.集中力を高めるための遮音環境
- 4.まとめ
テレワークの現状
普及するテレワーク
インターネットの発達によって、事務作業などの業務を自宅にいながら行うテレワークの普及が進んでいます。総務省が2019年に発表した情報通信白書によると、2018年にテレワークを導入していた企業は19.1%と、5年前から約10%増加しているとあります。
(参考:総務省 2019年「 テレワークの導入やその効果に関する調査結果」)
また、企業の規模別の導入率を見てみると、2,000人以上の従業員がいる大企業の約半数がテレワークを導入しており、今後も大企業を中心にテレワークの普及が進んでいくでしょう。
テレワークが時間を生み出す
テレワークのメリットの一つが、通勤時間を節約できることです。総務省が2019年に発表した通信利用動向調査によると、テレワークの導入理由として「勤務者の移動時間の短縮」を挙げる企業が全体の約半数を占めています。
また、26%の企業が「通勤困難者への対応」と回答しました。
(参考:総務省 2019年「平成 30 年通信利用動向調査の結果」)
通勤に使っていた時間を有効活用できることはもちろん、通勤によってかかるストレスや体力消耗を防ぐことで生産性の向上が期待できます。自宅で仕事ができるので親族の介護や子育てをしている従業員も働きやすくなるでしょう。
テレワークによる住宅の変化
テレワークの普及は、住宅選びの基準を変化させます。職場の近くに住む必要がなくなり、電車に乗る機会も減るため、駅へのアクセスを気にしなくなる人もいるでしょう。テレワークによって通勤を基準にした住宅選びは減少していくことが考えられます。
しかし、今まで注目されていなかった住宅が注目される可能性もあります。
例えば、近くに駅やバス停がなく、通勤するには不便で人気のなかった住宅もテレワークをする人にとっては“静かで仕事に集中できる場所"になるのです。
お客さまの趣味嗜好の変化は住宅業界にとってはチャンスです。いち早く参入することで先行者利益を獲得することができます。
ここからはテレワーカーが求める住まいについて考えてみましょう。住宅づくりのヒントになるはずです。
テレワーカーに求められる住まいとは?
ここでは、テレワーカー向けの住宅をつくる際のポイントを3つ紹介します。
1.仕事ができるスペースをつくる
まず、仕事をするスペースを確保する必要があります。落ち着いて集中できる環境が住宅内にあったほうがいいでしょう。
例えば、リビングに可動式の仕切りをつくることで仕事用のスペースをつくり出します。仕事をするときは仕事部屋として、それ以外の時間はリビングとして、1つのスペースに2つの役割を与える方法です。
また、仕事部屋をつくるため、部屋数の多い住宅に引越しをすることも考えられます。
テレワークを実施すると、仕事とプライベートの切り替えが難しくなります。そこで仕事部屋を作ることで、プライベートの空間と仕事の空間を完全に分断し、部屋に入るだけで気持ちの切り替えができるようになるのです。
仕事部屋を作るため、部屋数が多い住宅を希望する人の増加が予想されます。新築住宅では部屋数が多いこと、もしくは空間を比較的自由に分断できるような工夫が求められるでしょう。
2.余白を残す収納スペース
自宅で仕事をするにあたり、職場に置いてあった仕事道具を自宅で保管しなければいけなくなります。そのため、自宅には今まで以上の収納が必要となるでしょう。
例えば、資料やパソコン、送られてきたデータを紙媒体として印刷するためのプリンターなど、職種によって差はありますが、仕事をする際に使う道具はたくさんあります。
収納が不足していて仕事をするスペースが散らかってしまっては、生産性の向上を目的としたテレワークの効果は十分に発揮されないでしょう。自宅で仕事に集中するために、収納は欠かせません。
収納は使い勝手が重要なので、お客さまによって“理想の収納”の形は異なるでしょう。収納についてはヒアリングを重点的に行いましょう。
また、お客さまが後から家具を購入して配置できるように余白をつくっておくことも重要です。使ってみて「やっぱり使いにくいな」と思っても、収納を減らすことは簡単ではありません。
余白を残しておくことで、長期的に見てお客さまの“理想の収納"を実現できるのです。
3.集中力を高めるための遮音環境
仕事に集中する際、ヘッドフォンなどで音を遮断することはありませんか?集中する環境をつくるにあたり、周辺の音を気にする人は多いです。
住宅づくりの際には、仕事をするスペースをできるだけリビングから離したり、音を伝えにくい工法で壁をつくったりするといいでしょう。特に小さい子どものいる家庭の場合、子どもが遊んでいる音が隣の部屋から聞こえてくると、集中を欠く原因になります。
まとめ
生産性の向上、通勤時間の削減など、さまざまな理由でテレワークの普及はどんどん進んでいくでしょう。この変化に合わせて、住宅づくりも変化しなければいけません。
変化はチャンスです。変化に対応するのが早ければ、市場でお客さまの獲得につなげることができるでしょう。テレワークがもたらしたこのチャンスを逃さないようにしましょう。