未来を変える! 建築・建設営業の課題と今後の営業方法
近年、建築業界の建設投資額は増加傾向にあります。建設投資とは、有形固定資産と呼ばれる土地や建物などに対して投資を行うことで、その投資額が増加していることを表しています。
建設投資額が増加するにつれて、新設される建物や改良、建て替えなどが増えるため、それらに関わる建設技能労働者数も確保する必要があります。
しかし、建築業界の労働者数の確保はそう簡単な問題ではありません。高齢の建設技能労働者の大量離職を目前に控えていることや、若手従業員の高い離職率などを理由に人手不足が深刻化しています。
さらに、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で営業活動が制限され、受注数の減少も課題となっています。
こうした状況下で顧客を獲得していくには、営業部門の業務効率化が重要です。限られた人材で効率よく営業を行うためには営業課題の見直しから始めましょう。
今回は、建築業界における営業課題と課題解消を狙った営業力アップのコツについて解説します。
(出典:国土交通省『建設業界の現状とこれまでの取組』『建設産業の現状と課題』『建設投資推計』
目次[非表示]
- 1.建築業界を取り巻く現状
- 2.建築業界における営業方法の課題
- 2.1.1.顧客情報の管理に課題
- 2.2.2.社内共有に課題
- 2.3.3.スキルやノウハウの蓄積に課題
- 3.建築業の営業課題を解決! 営業力をアップする方法
- 3.1.顧客情報を一元管理
- 3.2.営業支援サービスでフォローを強化
- 3.3.営業活動を仕組みづくり
- 4.まとめ
建築業界を取り巻く現状
日本国内の建設投資額は、1992年の約84兆円をピークに2011年には約40兆円まで減少。その後徐々に増加傾向をたどり、2015年から2019年までは4年連続で増加しています。
(出典:国土交通省『建設業界の現状とこれまでの取組』)
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて建築需要の落ち込みを予測
ところが、2020年から流行した新型コロナウイルス感染症の影響により、建築需要の落ち込みは避けられなくなりました。
国土交通省のデータ『令和2年度(2020年度) 建設投資見通し』によると、2020年度の建設投資が前年度から3.4%減った約63兆円になると予想されています。建設投資額が減少すれば、それらに関わる雇用数の減少も避けられません。
(出典:国土交通省『令和2年度(2020年度) 建設投資見通し』)
建設技能労働者数が増えない課題も
建築業界の大きな課題の一つに「建設技能労働者数が増えない」ことが挙げられます。建設技能労働者数は1997年の約685万人をピークに、2011年には約500万人まで減少しています。しかし、2012年以降は頭打ちの状況です。
これら課題の背景には、働き手の高齢化が潜んでいます。2015年時点で55歳以上の建設技能労働者は全体の約3割を占め、10年後には高齢従業員の大量離職が見込まれます。
加えて、若者の離職率の高さも改善が必要な課題の一つです。離職率の高さの理由には、職場環境や労働時間の長さが関係していると考えられます。実際に、建築業界における年間実労働時間は、全産業平均と比べて年間300時間も多いことが分かっています。
建築業界では、今後業界を支えていく若手従業員の離職防止や定着を目指した施策が必要不可欠です。
(出典:国土交通省『令和2年度(2020年度) 建設投資見通し』『建設業界の現状とこれまでの取組』『建設産業の現状と課題』)
建築業界における営業方法の課題
人手不足が深刻化する建築業界では、顧客情報の管理や社内における情報の共有不足など、効果的な営業の妨げとなるさまざまな課題も抱えています。
1.顧客情報の管理に課題
建築業界に携わる企業のなかには、顧客情報を「蓄積できていない」「管理が行き届いていない」などの課題を抱えている企業もあるのではないでしょうか。
顧客の氏名や連絡先だけでなく、契約内容や設計図などを含めた重要なデータが詰まった情報は企業の資産ともいえます。
それらの顧客情報を適切に管理できていない場合、必要な情報がすぐに取り出せずにアプローチの機会を逃してしまったり、情報共有ミスが起こったりする場合もあります。限られた人材で効率よく営業するには、必要な情報を適切に管理することが重要です。
2.社内共有に課題
工務店・ビルダーの注文営業や建売営業においては、営業担当者が個別に顧客対応や管理を行っている場合もあります。
しかし、顧客対応が属人化している場合「必要な情報を社内で共有できていない」「共有に時間がかかる」といった課題が考えられます。
営業活動の効率化や企業全体での成長を目指すためには、情報管理の属人化を解消し、社内でスムーズな情報共有を行うことが重要です。
3.スキルやノウハウの蓄積に課題
建築業界に携わった経験やスキル、ノウハウなどは個人の財産でもあり、企業の財産でもあります。そういった情報が共有・蓄積されにくい環境においては、個人の成果にばらつきが発生することも考えられます。
組織全体で売り上げの向上を目指すには、企業全体での情報共有やチームで知識や経験を共有できる体制づくりが必要です。一人ひとりの営業力を高めることが組織全体の実績の底上げにつながります。
建築業の営業課題を解決! 営業力をアップする方法
これまで建築業界では人手不足による人員の課題、そして人手不足と平行して顧客の情報管理や社内共有の課題がありました。
それらを解消するためには、一人ひとりの生産性を上げる仕組みづくりや営業活動をフォローするサービス・ツールなどが有効です。
顧客情報を一元管理
顧客情報の煩雑化には「必要な情報の伝達に時間がかかる」「スムーズな社内共有の妨げとなる」といった問題につながります。非効率な営業を解決するためには顧客情報を一元管理することが重要です。
顧客名簿を含む情報を表管理ソフトや紙面で管理している場合、情報を見つけづらくなったり、入力や検索に手間がかかったりといった問題に直面することがあります。
こういった問題には、一元管理できるツールを活用することで情報が可視化され、顧客情報をスムーズに取り出せるようになります。
また、顧客の連絡先だけでなく、これまでの応対記録や現在進行中の計画内容などが一ヶ所に集約されるため、情報管理の属人化を解消、社内での情報共有もスムーズになります。
>>関連記事:『工務店の営業プロセスを見える化! “顧客管理の見直し”で売り上げアップを』
営業支援サービスでフォローを強化
工務店・ビルダーでは、商談数が増えれば増えるほど資料作成などの負担も増え、顧客へのアプローチや追客まで手が回らないこともあります。こういった限られた人材で売り上げにつながる営業活動を行うために、営業支援サービスの活用が有効です。
営業支援サービスのなかには、あらかじめ登録した条件を満たした顧客に対して自動でフォローメールを送る機能や、Web問合せや追客などの対応を代行する機能を備えたツールもあります。
「新規の問合せ対応や追客まで手が回らない」「資料請求の対応が追いつかない」など、人材不足が要因で後回しになりがちな対応も営業支援サービスの活用で自動化・効率化できます。
営業活動を仕組みづくり
効率のよい営業活動には、顧客の興味や関心に合わせたアプローチが必要です。
しかし、顧客ごとに興味や関心度合いを把握するのは簡単なことではありません。
そういった問題を解決するには営業活動を仕組み化できるツールの活用がおすすめです。ツールによって顧客の行動履歴を可視化できるため、アプローチのタイミングを見つけやすくなります。
また、営業活動の履歴が蓄積されるツールを活用すれば、顧客の好みやフェーズに合わせた営業アプローチが可能です。顧客と従業員の営業活動の両方を可視化、仕組み化することにより、営業の平準化にもつながります。
まとめ
今回は建築業界における現状と人手不足の問題、そして営業課題から課題解決方法の情報について紹介しました。
若手従業員の人手不足が進んでいるなか、限られたリソースで受注を確保するためには、営業活動の効率化や情報共有の仕組みづくりが必要です。
顧客情報を一元管理できるシステムのほか、営業活動を支援するサービスやツールを活用することで、社内の業務効率化や情報共有の円滑化を図ることができます。
組織全体の業務効率化や売り上げの向上を目指す担当者さまは、自社の課題に合わせてシステムやサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。