目標達成に導くPDCAサイクルの回し方
企業の営業担当者のなかで「なかなか目標を達成できない」「アポイントにつながらない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。ただ、決められた時間に決められた業務を行うだけでは、目的や改善点が明確にならず、具体的な施策を行えません。
営業活動において、目標を達成するためには数値に基づいてPDCAサイクルを回すことが重要です。PDCAサイクルを繰り返し回すことで、営業活動の問題や課題が改善され、売り上げ向上やスキルアップ、営業目標達成へとつながります。
今回はPDCAの定義から目的、そしてPDCAサイクルの回し方についてご紹介します。営業手法で行き詰まっている方はぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.PDCAとは
- 1.1.各プロセスの行動内容
- 2.PDCAサイクルを回す目的
- 3.PDCAサイクルの回し方
- 3.1.PLAN(計画)
- 3.1.1.PLANで計画する数値例
- 3.1.2.具体的な数値例
- 3.2.Do(実行)
- 3.2.1.実行例
- 3.3.Check(検証)
- 3.3.1.検証例
- 3.4.Action(改善)
- 3.4.1.具体的な改善例
- 4.PDCAサイクルを効率的に回すポイント
- 4.1.本質的な課題を洗い出す
- 4.1.1.課題例
- 4.2.小さな目標を設定する
- 4.2.1.目標例
- 5.まとめ
PDCAとは
PDCAとは、PLAN(計画)・DO(実行)・CHECK(評価)・ACTION(改善)の頭文字を取ったもので、業務改善のためのフレームワークです。
各プロセスの行動内容
Plan:業務の目標設定と行動計画を作成する
Do:計画に沿って業務を実行する
Check:ここまでのステップについて評価・分析をして課題を洗い出す
Action:課題の解決策を考え、業務の改善を図る
1~4のステップは1周して終わりではなく、継続的していくことが大切です。1周するごとにレベルアップを図り、改善や成長し続けることを“PDCAサイクル”と呼びます。
PDCAサイクルを回す目的
PDCAサイクルの目的は、「課題を見つけ、それらを改善し、成長する」ことです。営業プロセスのなかの課題を見つけ、改善していくことで、顧客に対してより効果的なアプローチができます。
そういったアプローチが個人スキル、ひいては企業の財産につながり、人と企業が同時に成長します。分析・評価・改善といったプロセスを繰り返すことでパフォーマンスの向上も期待できます。
PDCAサイクルの回し方
ここでは、工務店・ビルダーに勤めている注文営業や建売営業を例にPDCAサイクルの回し方について解説します。
PLAN(計画)
まずは目標とする具体的な数値を決定します。目標設定が曖昧なままでは、その後の施策や評価などを適切に実行できません。
PLANで計画する数値例
- 売り上げ
- 商談数
- アポ獲得数
ただし、注文営業や建売営業では外的要因によって数値が左右されることがあります。「売り上げ○○円」という大枠の目標ではなく、詳細まで目標を設定することが重要です。
具体的な数値例
- 商談の○○%の成約率
- 1ヶ月単位でのアポ獲得数
- アポ獲得から2回目の商談数
ここで大切なことは、目標を達成するまでの期限を設けておくことです。目標を達成するための具体的なプランを計画しましょう。
Do(実行)
設定した目標と計画に沿って施策を実行します。注文営業や建売営業においては、電話によるアポイントの獲得、商談での成約活動が一つの実行例です。
実行例
- 電話によるアポイント獲得
- メルマガ配信によるリード育成
- オンライン商談での成約活動
- ホームページ運用による顧客育成
それぞれの数値が可視化できるように、ツールを用いてデータを蓄積・管理する必要があります。「どのような方法で実行したか」「得られた情報」「進捗状況」といった対応履歴なども記録しておくことが重要です。
Check(検証)
当初設定した目標と計画が達成できたか検証します。注文営業や建売営業においては、売り上げや成約率といった項目を目標と比較し、達成できているのか確認します。
検証例
- 売り上げ
- 成約率
- 訪問回数
- 見込み顧客の獲得数
- 商談の案件化数
- アポから商談までの期間
これらのデータを用いて検証することで、非効率な営業を行っている、営業プロセスに無駄が発生している箇所などを把握できます。
さらに、施策の結果を把握した後は「目標を達成できた」「できなかった」場合の要因を考えます。当初の計画と現状を見比べながら、何が影響を及ぼしているのか、課題点や改善策を検討しましょう。
Action(改善)
効果検証や分析によって改善点や課題を洗い出した後は、改善に向けた施策を講じます。
具体的な改善例
- 非効率なアポイント業務を改善
- 目標を達成できなかった営業担当を育成
- 日常業務の改善
効果が得られない施策や作業については中止・変更を検討します。目標を達成できなかった担当者に関しては、スキルやノウハウを得られる研修会を実施、個人の成長を促すように改善します。
これら4つのプロセスを繰り返すことで、営業レベルの向上が期待できます。「自社の営業課題がどこにあるか分からない」「改善策が見いだせない」企業は、PDCAサイクルの回し方をもう一度見直してみるのもよいのではないでしょうか。
PDCAサイクルを効率的に回すポイント
より効果的にPDCAサイクルを回すためには、ポイントも押さえる必要があります。たとえば、課題の出し方や目標の設定方法です。
本質的な課題を洗い出す
PDCAサイクルで業務改善を行うには、課題の本質を洗い出すことが重要です。
Check(検証)の段階では、計画と実際のデータを用いて照合します。このとき、課題の原因を深堀りができていないと最適な改善策を打ち出すことはできません。
課題例
- Aさん:アポイント数5件に対して、5件成約(成約率100%)
- Bさん:アポイント数10件に対して、5件成約(成約率50%)
たとえば、成約目標件数を5件に設定します。
AさんとBさんともにこの目標を達成しているため、目標到達観点では問題なさそうです。しかし、アポイント数に対する成約数で比較してみると、AさんとBさんでは成約率に乖離が発生しています。
このように、1つの課題においても単に目標達成の有無だけではなく、一人ひとり細かい分析が必要です。
小さな目標を設定する
PLAN(計画)の段階では、具体的な目標を設定します。このとき、最終的な大きな目標だけでなく、短期間で達成を目指せる小さな目標を設定することが重要です。
目標例
「1ヶ月の売り上げ〇〇円以上」→「1日当たりのアポイント獲得数が〇件以上」
目標が大きかったり、達成までの期間が長かったりといった目標設定は、目標達成のためにどのような行動を取るべきなのか具体的なイメージが湧きません。目の前の業務に追われて、目標達成に向けた行動が取れない場合もあります。
PLANからDOへ実行するためには大きな目標から逆算し、1日当たりの架電回数やアポイント獲得数などを細かく設定するのがポイントです。実現できそうな小さな目標を定めることで、行動計画を明確化しやすくなります。
まとめ
今回はPDCAの定義からPDCAサイクルの回し方、ポイントまでご紹介しました。
営業目標を達成するためには、綿密な計画と分析、改善が欠かせません。PDCAサイクルを回すことで、現状の課題や問題点を洗い出すことができ、業務効率化や営業スキルの向上につなげられます。
PDCAサイクルを適切に回すためには、営業活動に関するデータの蓄積や管理、分析ができるツールの活用も有効です。「現状の営業課題が分からない」「売り上げや成約率が減少している」という方は、PDCAサイクルの実現に役立つツールの導入も検討してみてはいかがでしょうか。