【トラブル防止】土地の境界石がない場合の対処法
土地の境界石がない場合、利用できる土地の範囲が第三者から見て確認できなくなるため、トラブルの原因になる可能性もあります。
土地の権利侵害や境界トラブル防止のためには、土地購入や住宅設計を行う際、土地の境界を明確化する境界石の有無を確認することが大切です。
しかし、場合によっては、道路工事や建物の建築などによって境界石が抜けていたり、そもそも境界石が設置されていなかったりすることもあります。
実際に境界石がないことが発覚した場合、どのように対処すればよいかお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、境界石の役割や、境界石がない場合の対処法について解説します。
目次[非表示]
- 1.境界石の役割
- 2.境界石がない場合の対処法
- 2.1.①地積測量図の確認
- 2.2.②土地家屋調査士への復元依頼
- 2.3.③境界確定測量の実施
- 3.まとめ
境界石の役割
境界石には、隣接地との境界を明確化して、第三者からも認識しやすくするといった役割があります。
土地の境界を明確にする方法として代表的なのが、塀や垣根の設置です。しかし、塀や垣根の設置によって境界を示していた場合でも、相続で代替わりしたり、大規模な宅地造成が行われたりすることで、境界が失われるケースも少なくありません。
境界石を打ち込むことによって、土地の境界が客観的に明確化されるため、土地の権利侵害や境界トラブルを防止できるようになります。
また、土地のトラブル回避だけでなく、以下のような役割も果たします。
- 土地の形状や面積が明確になり、土地売買を迅速に行える
- 不動産登記所の地図に正しい地図を表示する基礎となる
- 不動産登記制度を充実させ、安全な不動産取引につながる
土地の購入や建築などを行う際には、境界石で利用できる土地の範囲を明確にすることが重要です。
(出典:法務省『土地の境界トラブル防止』)
境界石がない場合の対処法
境界石がない場合は、地積測量図を確認したり、土地家屋調査士に依頼したりすることで復元できます。境界を復元する際は、隣地所有者との境界立ち会いや登記簿との記録が一致しているかの確認などを行います。
①地積測量図の確認
土地家屋調査士が作成した地積測量図で土地の境界を確認する方法があります。
地積測量図とは、土地の測量結果を示す法的な図面のことで、地積をはじめ、土地の正確な形状や隣地との位置関係、境界石の位置、地積の求積方法などが記載されています。
地積測量図は、法務局窓口、またはオンラインで請求が可能です。オンラインで請求する際は、法務局が案内する登記・供託オンライン申請システムを利用できます。
ただし、年代によっては地積測量図がない場合もあります。その際は、新たに境界確定測量を行う必要があります。
(出典:法務省『オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係)について』/熊本地方法務局『地図,地積測量図等の写し交付の郵送請求について』)
②土地家屋調査士への復元依頼
地積測量図がある場合は、土地家屋調査士に境界石の復元を依頼することが可能です。
現地の測量結果やさまざまな資料を基に、総合的に判断できるため、境界の専門家である土地家屋調査士に依頼することが大切です。
境界が示された地積測量図や登記簿など、境界調査に必要な情報を基に、事前測量・復元測量を行います。事前測量・復元測量の流れは以下のとおりです。
▼事前測量・復元測量の流れ
1. 現地に残っている基準点、準拠点、引照点を測量する
2. 地積測量図に載っている座標値を基にして、現地で測った各点の位置関係を距離と角度で検証する
3. 復元ポイントに仮でマーキングや杭などの目印を設置する
4. 土地の所有者と隣地所有者の両者に立ち会ってもらう
5. 境界点に間違いがないか両者で確認する
6. 測量をしながら正確な位置に境界石を設置する
その際、合意したことを書類に残すことで、トラブルを防ぐことが期待できます。
③境界確定測量の実施
地積測量図が存在しない場合、または地積測量図に座標値の記載がない場合は、境界確定測量の実施が必要です。
『不動産登記規則』が2005年に改正された際、地積測量図に明記しなければならない項目として“座標値”が第77条に追加されました。
第七十七条 地積測量図には、次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 地番区域の名称 二 方位 三 縮尺 四 地番(隣接地の地番を含む。) 五 地積及びその求積方法 六 筆界点間の距離 七 国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号 八 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値 九 境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。)があるときは、当該境界標の表示 十 測量の年月日 |
引用元:『不動産登記規則』第77条
そのため、2005年以前に作成された測量図には座標値の記載がない可能性があります。
座標値の記載がない場合は復元が難しいため、土地家屋調査士に依頼して新たに調査を行い、境界を確定します。
境界を確定する際は、公図・登記簿などの必要な資料を収集したうえで、現地調査や事前測量を行うことが重要です。その後、土地の所有者・隣地所有者の両者で境界立ち会いを行って、合意書面や境界確認ができる書類を残します。
(出典:e-Gov法令検索『不動産登記規則』/東京法務局『分筆登記申請における地積測量図の取扱いについて』)
まとめ
この記事では、土地の境界石について、以下の項目を解説しました。
- 境界石の役割
- 境界石がない場合の対処法
境界石は、隣接地や道路との境界を示す標識です。隣接地との境界を明確化して、所有する土地の範囲を客観的に把握することで、第三者とのトラブル防止につなげられます。
また、境界石がない場合は、地積測量図で確認を行ったうえで、土地家屋調査士に復元を依頼します。
土地の仕入れや顧客の所有地で住宅建築を行う際は、所有権の範囲を明確にすることが重要です。
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