建築施工管理技士とは? 業務内容や技術検定について解説
建設業法では、建設工事の適正な施工を確保するために、施工に関する技術上の管理を行う主任技術者や監理技術者などの設置が義務づけられています。
この主任技術者または監理技術者の要件を満たす国家資格として、“建築施工管理技士”があります。
工務店・ビルダーで建築工事や施工管理などを担当している方のなかには、建築施工管理技士の資格取得を目指している方もいるのではないでしょうか。
この記事では、これから資格の取得を目指している方に向けて、建築施工管理技士の業務内容や技術検定の概要について解説します。
目次[非表示]
- 1.建築施工管理技士とは
- 2.建築施工管理技士の業務内容
- 3.建築施工管理技士の技術検定
- 3.1.検定日程
- 3.2.受検資格
- 3.2.1.1級 建築施工管理技術検定
- 3.2.2.2級 建築施工管理技術検定
- 3.3.申し込み方法
- 4.まとめ
建築施工管理技士とは
建築施工管理技士とは、『建設業法』第27条に基づいて、施工管理上の技術責任者としての要件を満たす国家資格です。国土交通大臣の管轄のもと、技術検定が実施されています。
第二十七条 国土交通大臣は、施工技術の向上を図るため、建設業者の施工する建設工事に従事し又はしようとする者について、政令の定めるところにより、技術検定を行うことができる。
引用元:e-Gov法令検索『建設業法』第27条
また、同法第26条では、建設業許可を受けて請け負った建設工事を施工する場合に、主任技術者を配置する義務があると定められています。
第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
引用元:e-Gov法令検索『建設業法』第26条
さらに、建設工事の下請け契約の請負代金が合計4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上になる場合は、主任技術者に代わって監理技術者の配置が必要です。
建築施工管理技士には、1級・2級の等級があり、それぞれの資格によって要件を満たす技術者の種類が異なります。
▼建築施工管理技士の資格要件
1級の資格者 |
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2級の資格者 |
|
(出典:e-Gov法令検索『建設業法』)
建築施工管理技士の業務内容
建築施工管理技士の資格を取得して、主任技術者または監理技術者として働く際は、主に施工に関する技術上の管理を行います。
主任技術者・監理技術者には、建設工事を適正に実施するための技術上の管理や、工事全体の統括的な管理を行う役割があります。
そのため、施工計画書の作成をはじめ、工事の管理や品質管理、施工従事者に対する技術上の指導・監督などが主な業務です。
▼主任技術者・監理技術者の業務内容
- 建設工事全体の施工計画書の作成
- 施工要領書の確認
- 施工計画書の修正
- 建設工事の進捗管理、工程調整
- 工程会議の開催・参加・巡回
- 下請けからの施工報告の確認、元請けへの施工報告
- 現場作業の統括的技術指導
建築施工管理技士の技術検定
建築施工管理技士の技術検定は、1級と2級でそれぞれ検定日程や受検資格が異なります。ここでは、技術検定の概要について解説します。
検定日程
1級・2級技術検定ともに、第一次・第二次検定があります。
1級技術検定は、第一次が6月、第二次が10月とそれぞれ年に1回実施されます。また、2級技術検定は、第一次が6月、第二次が11月に実施されますが、同日受検を希望する人は、11月にまとめて第一次・第二次両方の検定を受けることが可能です。
▼建築施工管理技士の検定日程
1級 |
第一次検定が6月、第二次検定が10月 |
2級 |
6月(第一次検定のみ)・11月(第一次・第二次検定を同日受検と第二次検定のみ) |
なお、1級技術検定については第一次・第二次は2つの日程に分けて受検しますが、受付期間は第一次・第二次ともに同じとなっていることに注意が必要です。
受検資格
建築施工管理技士の1級・2級では、一定の受検資格が設けられています。
1級 建築施工管理技術検定
1級技術検定では、第一次・第二次検定の両方に該当する受検資格が必要です。
第一次検定では、大学や専門学校などで指定学科を修了したかによって、実務経験の年数が定められています。
そのほか、二級建築士試験の合格者や、2級建築施工管理技士の合格者についても、一定年数の実務経験を有している場合は受検可能です。
第二次検定については、一級建築士試験合格者、または第一次検定合格者かつ一定の受検資格を持つといった要件があります。
2級 建築施工管理技術検定
2級技術検定では、第一次検定のみを受検する場合であれば、満17歳以上の人は誰でも受検することが可能です。
第一次・第二次検定を同日受検する場合には、大学や専門学校などで指定学科または指定学科以外を修了後、一定の実務経験を積む必要があります。そのほか、躯体や仕上げなど、職業能力開発促進法による技能検定合格者の一部の職種においても、受検資格があります。
また、第二次検定のみを受検する場合は、同日受検の受験資格と、次のいずれかの資格を同時に満たす方が対象です。
- 一級建築士試験合格者
- 2020年度までの学科試験合格者で有効期間内の者
- 2021年度以降の第一次検定合格者
申し込み方法
建築施工管理技士の技術検定は、インターネットと書面で申し込みできます。
ただし、1級・2級ともに初めて受検する人の場合は、受検資格の審査が行われるため、書面での申し込みに限られます。願書を購入して必要事項を記入したら、必要書類を添付したうえで指定の住所に送付します。なお、再受検の申し込みについては、インターネット・書面の両方に対応しています。
必要書類には、受検申請書や住民票、パスポート用証明写真、受検手数料の振替払込受付証明書、各種資格証明書などが挙げられます。
資格証明書については人によって提出するものが異なるため、事前に確認して早めに準備しておくことが大切です。
まとめ
この記事では、建築施工管理技士について以下の内容を解説しました。
- 建築施工管理技士の概要
- 主な業務内容
- 建築施工管理技士技術検定の内容
建築施工管理技士は、建設工事を行う際に配置が義務づけられている、主任技術者・監理技術者の要件を備えた国家資格です。
建設工事の適正な施工を確保することを目的として、施工計画書の作成や技術上の管理および品質管理、施工従事者への指導・監督などを行います。
技術検定には1級・2級の等級があり、どちらも第一次・第二次検定が設けられています。それぞれ検定の日程や受検資格が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
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