選ばれる工務店・ビルダーに! アフターサービスを充実させるポイント
住宅づくりにおいて、“住宅を建てるまで”が重要であることは言うまでもありませんが、同様に重要なのは“建てた後”のことです。お客さまが安心して暮らせるように、建築後の保証やアフターサービスも充実させなければなりません。
顧客が求めていることを把握したうえで保証・アフターサービスを充実させることができれば、見込み顧客への訴求力を高めることも可能です。
そこで本記事では、ハウスメーカーと工務店・ビルダーが提供する保証・アフターサービスの種類と内容を充実させるためのポイントを紹介します。
目次[非表示]
ハウスメーカー、工務店・ビルダーにおける保証とアフターサービスの種類
ここでは、ハウスメーカーや工務店・ビルダーで共通している保証制度や一般的なアフターサービスについて紹介します。
瑕疵保証
新築住宅を建てる事業者は、住宅の基礎構造部や雨水侵入の防止部分、敷地内の給排水管などの瑕疵(かし)に対して、10年の保証責任(瑕疵担保責任)があります。
瑕疵保証とは、このような瑕疵によって損失が生じた場合に、住宅事業者が無償での修復や生じた損害を賠償する保証です。これは『住宅瑕疵担保履行法』という法律で定められており、住宅の新築を行うハウスメーカー・工務店には必須の保証項目です。
また、住宅事業者には、瑕疵の補修等が確実に行われるように、以下のいずれかの措置を取ることが義務化されています。
▼瑕疵担保責任履行のための措置
- 住宅瑕疵担保責任保険への加入
- 保証金の供託
これらの措置は、住宅事業者が倒産して修理や保証ができなくなった場合の保険でもあります。
(出典:国土交通省『住宅瑕疵担保履行法の概要』)
耐震補償制度
耐震性能を備えた住宅に対する保証として、耐震補償制度を設けているハウスメーカー・工務店もあります。顧客の意向に応じて住宅性能評価を受けた住宅に付与することが一般的です。
住宅性能評価とは、『住宅の品質確保の促進等に関する法律』を構成する柱の一つ、『住宅性能表示制度』に基づいて行われる評価のことです。住宅の性能・品質を客観的に評価して数値・等級で示すことで比較しやすくすることを目的に導入されました。
住宅に耐震補償が付いている場合は、地震を原因とする建物の改修費を住宅事業者が補償することになります。
(出典:国土交通省『新築住宅の住宅性能表示制度 住宅性能表示制度ガイド』)
メーカー延長保証
メーカー延長保証とは、もともとある設備メーカーの保証期間に加えて、ハウスメーカー・工務店の負担で保証期間を延長することです。住宅のキッチン・風呂・トイレ・給湯器などの住宅設備にはそれぞれのメーカーによる数年間の保証が付与されています。
定期的な有償メンテナンスの実施を条件に、メーカー延長保証を付与することが一般的です。
定期点検
定期点検とは、住宅の引き渡しから5年毎や10年毎など、定期的に点検を実施するアフターサービスの一種です。
無償の定期点検のほか、一定期間を過ぎた後、またはメーカー延長保証の条件として有償点検を実施しているケースもあります。
10年間の瑕疵保証については、ハウスメーカー・工務店に共通する義務です。これに対して、耐震補償やメーカー延長保証、定期点検などについては会社によって内容が異なります。
ハウスメーカー、工務店・ビルダーとのアフターサービスの違い
住宅に関する保証やアフターサービスの特徴はハウスメーカー・工務店で異なります。自社のアフターサービスを再考する判断材料にしてみてください。
ハウスメーカー
ハウスメーカーのアフターサービスでは、瑕疵保証に加えて、20~60年ほどの独自の長期保証制度を設けているケースが一般的です。
24時間受付の専門ダイヤルを設定していたり、定期点検を義務化したり、充実した保証制度が導入されています。長期保証や緊急時の対応、定期的な補修で安全性・耐久性を維持しやすい点がアピールポイントとなっています。
〈メリット〉
- 長期保証・定期点検・24時間対応などで安全性・耐久性の維持をアピールできる
- 体系化したアフターサービスにより、顧客に安心してもらえる
〈デメリット〉
- 定期点検の連絡・頻度が迷惑に感じられる場合がある
- 有償の定期点検を保証延長の条件とすると、顧客側にコストがかかりやすい
工務店・ビルダー
工務店・ビルダーでは、延長保証や定期点検の実施が義務付けられていないケースもあります。保証制度の充実度よりも地域密着型の柔軟なサポート対応や顧客の希望に応じてアフターサービスを受けられるといった点がアピールポイントといえます。
〈メリット〉
- 施工とメンテナンスが同じ担当者・部署となる場合、顧客のニーズに柔軟に対応できることをアピールできる
- 地域密着型で問合せに対してスピーディに対応しやすい
〈デメリット〉
- 延長保証の期間が短い場合や保証を設けていない場合は顧客へアピールできない
- 定期点検やメンテナンスサービスが充実しないと顧客が不安を感じやすい
充実したアフターサービスを設けるポイント
顧客が安心できる保証制度や充実したアフターサービスは、アピールポイントの一つです。
ただし、アフターサービスにも無償と有償があります。定期点検やメンテナンスなどのアフターサービスが有償の場合、コストが負担となることから顧客が必要性を感じない場合もあります。顧客のニーズをくみ取り、アフターサービスのメリットや付加価値を分かりやすくアピールしましょう。
ハウスメーカーの場合 |
工務店・ビルダーの場合 |
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保証期間や内容は企業によって異なるため、競合他社のサービスと比較しながら自社の強みを生かしたアフターサービスを検討しましょう。
まとめ
保証やアフターサービスの内容は、顧客が施工業者を選ぶうえで重要な判断基準の一つです。顧客の希望に沿った保証・アフターサービスはもちろんのこと、誠意を持った対応で信頼関係を築くことが求められます。
充実したアフターサービスを設けることで、顧客満足度の向上や新たな顧客の紹介につながるケースもあります。“選ばれる工務店・ビルダー”になるために、顧客が安心できる保証・アフターサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。