経営・マネジメント

住宅メーカーの経営改善における重要なポイント7つを解説!

住宅メーカーが会社の経営改善を図る場合に、重要なポイントが7つあります。

今回は、7つそれぞれのポイントについて“なぜ重要なのか”その点に関してどう取り組んでいけばいいのか”を解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.Point1.経営者が危機意識を持つ
  2. 2.Point2.必要粗利益額
  3. 3.Point3.利益率の設定
  4. 4.Point4.経営計画の作成・営業戦略の再検討
    1. 4.1.経営計画の作成
    2. 4.2.営業戦略の再検討
  5. 5.Point5.社員との面談
  6. 6.Point6.組織改革の骨子をまとめる
  7. 7.Point7.定例会議で数値の進捗管理を徹底する
  8. 8.まとめ

Point1.経営者が危機意識を持つ

経営改善を図る際に、まず何より重要になるのは、“経営者が危機意識を持つ”ことです。

今後は少子高齢化が進んで世帯数が減少していくと予測され、住宅業界は決して楽観視できる状況ではありません。

同じ環境下でも、業績が好調な住宅メーカーは多数存在します。
経営者が業績不振の原因を環境や他人に求めるのではなく、経営者自身の責任と捉えることから、経営改善がスタートします。

経営者自身が危機意識を持ち、本気で経営改善に取り組む姿勢は、必ず社員や取引先に伝わります。

さらに、金融機関から経営改善への協力が得られる可能性も高まります。

Point2.必要粗利益額

市場競争でお客様から選ばれる住宅メーカー・工務店になるためには、どのような施策が必要なのでしょうか。

経営改善を図る際、まず目標の設定が必要になります。
売上高を目標としてきた住宅メーカーは多いようですが、経営改善において目標とすべきは利益であり、さらに言えば“必要粗利益額”です。

まず粗利益とは、損益計算書における売上総利益のことであり、「売上高-売上原価=粗利益」の算式で求められます。
この利益から会社に必要な経費がすべてまかなわれることになる、経営上重要な科目です。

建設業会計において売上高は「完成工事高」、売上原価は「完成工事原価」のことを指し、完成工事原価には、材料費、現場の労務費、外注費などが含まれます。

必要粗利益額は、現場の労務費を除いた人件費や事務所費用などの「一般管理費」、借入金の「支払利息」、借入金の「元金返済」、ボーナスなどの「社員待遇改善費」、設備投資や予備費などの「その他の費用」を合わせて算出します。
この値が、会社を運営していくために最低限必要となる粗利益になります。

Point3.利益率の設定

次に、“利益率”を設定します。

利益率は売上高(完成工事高)に対する粗利益の割合ですが、必要粗利益額はすでに決定しているため、売上高をいくらで設定するのかが問題となります。

受注量は、営業や業界の状況に左右されます。また、受注量を増やすことで工事を担当する社員の負担が重くなることが懸念されます。

十分な人員が確保できなければ、人手不足に陥りミスや事故の危険性が高まってしまいます。

そのため、売上高は人員計画に合わせて設定し、現場での原価管理を行うことで目標利益を確保します。

また、工事の規模や種類によって利益率は異なってくるので、受注金額・工事の種類・得意先などで分類し、それぞれの利益率を設定します。

Point4.経営計画の作成・営業戦略の再検討

経営計画の作成

目標となる必要粗利益額・利益率を設定したら、今後3年間の中期的な“経営計画の作成”を行います。
会社全体の明確な目標となるよう、設定した必要粗利益額・利益率を、具体的な決算書の数字に落とし込みます。

また、借入金が多い場合には、どのように返済していくかの見通しを立てるための、長期的な経営計画も必要となります。

営業戦略の再検討

経営改善のためには、必要粗利益額は必ず達成しなければならない目標であり、そのためには“営業戦略の再検討”が必要です。

営業の数字が伸びない原因として、価格勝負中心の営業をしていることが挙げられます。
価格勝負中心ではなく、例えば「地域密着」「技術へのこだわり」といった自社の強みを、顧客に伝えていく営業戦略を組み立てることが重要です。

また、目標利益が出せる原価を、営業部門と工事部門が連携して事前に確認しておき、即座に顧客に見積もりを提示できる態勢を整えることも、受注を勝ち取るためには必要です。

Point5.社員との面談

次に、会社の現状を把握するために“全社員との面談”を行います。会社の問題点をよくわかっているのは社員であり、実際の問題は経営者が思っていることと異なるところにあるケースは多いです。

社員と面談することで、問題点を把握できるだけでなく、その解決のヒントも得ることができます。面談の際は、社員が本音を語れるような雰囲気をつくり、社員の話を素直に聞くようにします。

面談を重ねることで得られた社員の意見をもとに、問題点を項目ごとに整理し、それぞれの問題点への対応策をまとめます。

社員との面談について学ぶ
社内の空気をガラッと変える!社員面談の3つのポイント

Point6.組織改革の骨子をまとめる

社員との面談をすることで、社員からの評価が低い幹部や、社員から信頼されている社員がわかります。それをもとに、“組織改革の骨子”をまとめます。

組織改革を行うことで、業務の円滑化・効率化や、社員の不満が解消されることによる生産性の向上が期待できます。会社全体の状況が良くなれば、会社の目標も達成しやすくなります。

Point7.定例会議で数値の進捗管理を徹底する

会社の目標が決まったら、あとは目標達成に向けて全社を挙げて取り組むのみですが、目標が現時点でどの程度達成できているのか、“定例会議で数値の進捗管理を徹底する”必要があります。

定例会議では、「現時点で獲得済みの粗利益の合計額」を確認します。

具体的には、「売り上げ計上済み物件の粗利益合計額」「現在施工中物件の粗利益合計額」「工事着手前受注済み案件の粗利益合計額」「受注がほぼ確定している未受注案件の粗利益合計額」「少額工事年間見込みの粗利益合計額」を合計します。

一つ一つの現場の実行予算をもとに進捗管理をし、目標利益に達していない場合は仕入れ交渉を行って目標利益を確保します。

目標を掲げたまま放置したのでは、目標達成への士気が下がってしまいます。

定期的な進捗管理を行うことで、常に会社の目標を意識でき、全社を挙げて目標達成に取り組むことができます。

まとめ

ここまで、経営改善を図る際に重要となるポイントを確認してきました。

1.経営者が危機意識を持つ
2.必要粗利益額
3.利益率の設定
4.経営計画の作成・営業戦略の再検討
5.社員との面談
6.組織改革の骨子をまとめる
7.定例会議で数値の進捗管理を徹底する

以上7つのポイントが、経営改善のためには重要となります。これらを参考にして、会社の経営改善に取り組んでいってください。


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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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