セールスイネーブルメントで営業組織を強化! メリット・デメリットと事前準備
新型コロナウイルス感染症対策やテレワークの推進によって、オンラインの営業活動が浸透しつつあります。
工務店・ビルダーの営業活動においてもインサイドセールスやオンライン商談などを導入しているケースもあるのではないでしょうか。
営業活動の多様化が進むなか、組織の改善や効率化を目指した“セールスイネーブルメント”が注目されています。
今回は、セールスイネーブルメントの基本的な考え方をはじめ、注目される理由やメリット・デメリット、実現に必要な事前準備について解説します。
目次[非表示]
- 1.セールスイネーブルメントとは
- 2.セールスイネーブルメントが求められる背景
- 2.1.消費者の購買行動の複雑化
- 2.2.見込み客(リード)の質と量の向上
- 3.セールスイネーブルメントのメリット・デメリット
- 4.セールスイネーブルメントの実現に必要な事前準備
- 4.1.SFA(Sales Force Automation:セールス フォース オートメーション)の導入
- 4.2.CRM(Customer Relationship Management:カスタマー リレーションシップ マネジメント)やMAとの連携
- 4.3.成果に対する貢献度を把握する
- 4.4.営業の属人化を解消する
- 4.5.専門の部署や担当者を設ける
- 4.6.教育体制を整える
- 5.まとめ
セールスイネーブルメントとは
セールスイネーブルメントとは、営業組織の強化や改善のために実施する総括的な取り組みのことです。
具体的には、営業担当のスキル向上や効果的な営業ツールの導入、アプローチ手法の見直しなどの改善施策が挙げられます。
営業活動における一部の業務や個人の活動ではなく、組織全体を捉えて効率的かつスピーディに継続して成果を得ていくことが目的です。
セールスイネーブルメントが求められる背景
なぜセールスイネーブルメントが求められているのでしょうか。
その理由として主に2つが挙げられます。
消費者の購買行動の複雑化
1つ目に挙げられるのが、消費者の購買行動が複雑化したことです。
これまでは、消費者が企業の問合せ窓口もしくは営業担当に連絡を取って商品やサービスの情報を得るというプロセスが一般的でした。
しかし、インターネットやSNSの普及により、一般的な商品情報は消費者が自ら情報を収集できるようになりました。
営業担当者による画一的な情報提供では、消費者の意欲を購買に至るまで高めることが難しくなっています。
見込み客(リード)の質と量の向上
2つ目は、見込み客(リード)の質と量の向上です。
MA(Marketing Automation:マーケティング オートメーション)をはじめとするツールの普及により、獲得できる見込み客(リード)の質と量が向上しています。
しかし、営業部門の人材不足、属人化などにより良質なリードを取りこぼしているケースもあります。
これらの背景を踏まえ、営業チームの強化や営業活動の効率化など、セールス全体のプロセスを管理、最適化するセールスイネーブルメントが求められているといえます。
セールスイネーブルメントのメリット・デメリット
営業活動でセールスイネーブルメントが求められる理由を理解したうえで、メリット・デメリットについても把握しておきましょう。
メリット
まずは、セールスイネーブルメントを導入する3つのメリットをご紹介します。
①営業スキルを平準化できる
セールスイネーブルメントを導入すれば、営業スキルやノウハウを共有し、チーム全体のスキルを平準化できます。
一部の営業担当者の経験やノウハウに依存することを回避できるだけでなく、営業担当者の教育に役立てれば、新人営業担当者の早期即戦力化にもつながります。
②営業効果を可視化できる
セールスに関わる施策の効果を具体的な数値で可視化できます。
施策に対してどのような効果が得られたか、目標の達成状況や売り上げ状況などを把握して効果的な改善策が検討できるようになります。
③施策をブラッシュアップできる
数値化したデータを分析することにより、営業チームやマーケティングチームとのシームレスな連携を行い、施策をブラッシュアップできます。
成約につながる効果的な施策を継続することでホットリード(購入意欲の高い見込み客)や絶好のアプローチタイミングを逃すことを回避できます。
デメリット
次に、セールスイネーブルメントを導入する2つのデメリットをご紹介します。
①運用の定着に時間がかかる
セールスイネーブルメントの運用が定着するまでには時間がかかることがあります。
特に懸念されるのが、これまで関わりのなかったチームとのやりとりによって混乱が生じることです。導入前に社内で研修や説明会を実施する、段階的に導入するなどの対応が必要です。
②業務フローや人員が変化する
セールスイネーブルメントを運用する場合、従来の業務フローや人員配置が変化します。
これらの変化による現場の不満やトラブルを回避するには、業務フローの変更を段階的に行う、教育やマニュアルを作成するといった対応が必要です。
セールスイネーブルメントの実現に必要な事前準備
セールスイネーブルメントを実現させるには、“案件情報の可視化”や“各チームとの情報共有”などの事前準備を行うことが重要です。
各部署の役割を明確にしたうえで、それぞれの体制を最適化し、情報を共有できる仕組みづくりを行いましょう。
SFA(Sales Force Automation:セールス フォース オートメーション)の導入
SFAとは、営業活動で得た顧客情報や案件状況を蓄積して一元管理できる営業支援ツールです。顧客情報や商談の進捗状況を可視化することで、効率的なアプローチを可能にします。
SFAを活用することにより、売り上げ目標や実績データを基にした分析もできます。
施策の実施結果を把握し、新たな改善施策を講じることで、営業チームのPDCAサイクルを効率よく回し営業力の向上に役立てられます。
CRM(Customer Relationship Management:カスタマー リレーションシップ マネジメント)やMAとの連携
営業チームがSFAを活用するのに対して、マーケティングチームではCRMやMAを活用するのが一般的です。SFAとCRM、MAを連携することで、組織全体の情報共有が可能になり、効率的な営業活動につながります。
成果に対する貢献度を把握する
セールスイネーブルメントを効果的に実施するためには、導入した営業施策が組織の改善・強化にどの程度貢献しているのかを把握することも欠かせません。
ツールの活用で施策の効果を検証したり、施策に対する効果を数値化し、分析したりして、効果が得られない施策を見直すことが大切です。
営業の属人化を解消する
セールスイネーブルメントを導入する前に、まず社内の属人化を解消する必要があります。
営業の属人化をなくし、情報を社内で共有することで、再現性のある営業体制の構築が可能になります。個人の勘や経験に頼った営業活動を解消し、営業力の強化やスキルの平準化につなげます。
専門の部署や担当者を設ける
セールスイネーブルメントの実施に当たり、専門の部署や担当者を配置するのも一つの方法です。
セールスイネーブルメントの導入では複数の部署との連携が必要になるため、総括的な部署を設けることでスムーズな情報提供を行いやすくなります。
教育体制を整える
セールスイネーブルメントの導入によって業務フローが変更される場合、教育体制を見直し、整えることも検討しましょう。社内で研修やトレーニングができる環境を整備することで営業担当者の育成につなげられます。
定期的に上司や管理者によるフィードバックを実施して、営業スキルやノウハウを定着させることも欠かせません。
まとめ
セールスイネーブルメントは、営業施策をトータルで管理し、営業活動の効率化や最適化を図るための取り組みです。
工務店・ビルダーの営業活動においては、管理が複雑化していた営業情報を数値として可視化し、改善に向けた分析や人材育成が可能です。
また、SFAやCRM、MAツールと連携することで、マーケティングチームと手を組み、より効率的で効果的な営業アプローチを実現できます。
営業活動に課題を抱えている企業さまは、ツールをうまく活用しながら、セールスイネーブルメントの運用に取り組んでみてはいかがでしょうか。