工務店・ビルダーにエンゲージメントマーケティングが必要な理由と有効施策
あらゆるモノ・情報があふれ、消費者の価値観や行動が目まぐるしく変わる現代。広告やキャンペーンによって短期的な集客を図ることは可能でも、ブランド構築によって長期的な集客につなげることが難しくなっています。
そういった課題を抱えながら、工務店・ビルダーが将来にわたって顧客を獲得し続けていくには、顧客エンゲージメントに目を向けることが重要です。
この記事では、工務店・ビルダーにエンゲージメントマーケティングが必要とされる理由や有効な施策について解説します。
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エンゲージメントマーケティングとは
エンゲージメントマーケティングとは、顧客との信頼関係やつながりを強化し、愛着形成を図るマーケティング手法のことです。エンゲージメントという言葉は、企業や商品・サービスに対する顧客の愛着を意味します。
企業が利益を上げて成長し続けるには、消費者から一時的な注目を集めるための施策ではなく、ファン化を進めるための施策が欠かせません。
エンゲージメントマーケティングは、競合他社との差別化に加えて、自社のブランド力を強化しながら長期的な集客を図るために重要とされています。
顧客との深いつながりを築くことによって、数ある住宅会社・住宅商品があるなかで選ばれる存在になることが可能です。
工務店・ビルダーにエンゲージメントマーケティングが必要な理由
工務店・ビルダーにエンゲージメントマーケティングが必要とされる理由には、主に2つが挙げられます。
消費者行動が変化している
1つ目の理由は、消費者行動の変化です。
国土交通省住宅局の『令和2年度住宅市場動向調査報告書』『平成22年度住宅市場動向調査報告書』によると、消費者による情報収集方法は次のように変化しています。
▼施工者に関する情報収集方法
2010年 |
2020年 |
|
インターネット |
5.3% |
23.6% |
新聞等折り込み広告 |
12.6% |
9.1% |
工務店・ビルダーに関する情報収集の方法としてインターネットを用いる人の割合がこの10年間で4倍以上に増加しています。一方、新聞等折り込み広告で情報収集を行う人の割合は減少傾向にあります。
インターネットの普及によって消費者自身が情報収集を行うことが容易になったことで、消費者が多くの工務店・ビルダーを比較検討できるようになりました。
消費者行動が変化するなかで顧客を獲得するには、単なる価格競争ではなく、消費者に自社・自社商品に対する愛着や付加価値を感じてもらうことが重要といえます。
そのためには、消費者の関与度を高め、つながりを強めるためのエンゲージメントマーケティングが必要です。
出典:国土交通省 住宅局『令和2年度住宅市場動向調査報告書』『平成22年度住宅市場動向調査報告書』
契約までのリードタイムが長い
住宅商品は単価が高いため、消費者の検討期間が長くなる傾向にあります。
▼契約までのプロセス
- 顧客による情報収集
- 顧客によるハウスメーカーや工務店・ビルダーの選定
- 商談・打ち合わせ
- 土地探し・購入
- 契約
契約までのリードタイムが長くなると、顧客離れが起きやすくなるという課題があります。顧客離れを防ぐためにはエンゲージメントが必要です。
エンゲージメントを高めるためには、見込み顧客との信頼関係や絆を深める必要があります。エンゲージメントを高める手段であるナーチャリングによって、見込み顧客の育成を行うことも一つの方法です。
工務店・ビルダーに有効なエンゲージメントマーケティング施策
ここからは、工務店・ビルダーのエンゲージメントマーケティングに有効な施策を3つ紹介します。
①コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、自社のターゲットにとって有益かつ価値のあるコンテンツを発信して、潜在顧客の発掘や見込み顧客の育成を行うマーケティング手法です。
インターネットの活用が当たり前となり、顧客自身が気軽に情報収集を行えるようになった現在、コンテンツマーケティングは企業に欠かせないマーケティング手法の一つといえます。
コンテンツの発信を通じて顧客との関係性を構築することにより、自社への信頼や愛着を育てる効果が期待できます。
▼コンテンツの例
- 住宅購入の流れや土地選びなどの基礎知識
- 住宅ローンや税金などの知識
- 間取りやデザインに関するアイデア
- 住まいに関連するトレンド(長期優良住宅、リノベーションなど)
②SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、Instagram・Twitter・Facebook・LINEなどのSNSを利用したマーケティング手法です。
いいね・コメント・シェアなどの機能によって顧客と双方向のコミュニケーションが取れるため、自社に対する親近感や愛着を育てやすくなります。
インターネットの普及に伴い、SNSの利用率が上昇するなか、SNSマーケティングもコンテンツマーケティング同様、現代に欠かせないマーケティング手法といえます。
投稿内容には、自社のターゲットが興味・関心を持つ投稿のほか、ユーザー参加型の投稿を行うのも有効です。
▼投稿内容の例
- 住宅づくりの裏側やこだわりのレポート
- 施工事例、施工者のインタビュー紹介
- 住まいに関するアンケートの実施
- 相談会や展示会などのイベント告知
- 住宅づくりの疑問やイベントの感想を募集
③メールマガジン・DM(ダイレクトメール)
メールマガジン(以下、メルマガ)・DMは、見込み顧客のメールアドレスに有益な情報を継続的に発信するマーケティング手法です。
継続的なメルマガ・DM配信によって見込み顧客との接点を維持することで、信頼関係の構築につながります。資料請求や展示会などで接点を持った見込み顧客のエンゲージメントの向上にも有効です。
メルマガ・DMを配信する際は、ターゲットの住宅購入に対する見込み度合いに応じて配信内容を工夫することがポイントといえます。
▼配信内容の例
- 新たなブランド・プラン・サービスに関するニュースレター
- 問合せや資料請求に対するお礼
- 住宅づくりに関するお役立ち情報やトレンド情報
- 相談会や展示会などのイベント情報
まとめ
消費者行動が変化しつづけるなか、工務店・ビルダーが顧客に選ばれ続ける存在になるには、顧客エンゲージメントの向上がカギとなります。
エンゲージメントマーケティングの主な施策には、コンテンツマーケティングやSNSマーケティング、メルマガ・DMなどがあります。
いずれも継続的なコミュニケーションが不可欠な施策ですが、見込み顧客との深いつながりを構築するために有効です。
長期的な集客を実現する施策について検討中であれば、顧客の愛着を深めるエンゲージメントマーケティングを実施してみてはいかがでしょうか。