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建売ビルダーのための「予告広告」入門| 買い手も嬉しい新築分譲住宅の売れ残り回避術

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物件の売れ残りを回避するためにさまざまな手段で情報発信していきたいところですが、不動産の広告については多くの規制がかけられていることに注意が要ります。

「不動産の表示に関する公正競争規約」では広告中に表示しなければならない必要事項が定められていますが、新築分譲住宅(建売住宅)ほか一部の種類の不動産については、販売価格等が未定でも情報発信できる「予告広告」も認められています。

この記事では、早い段階から情報発信するための重要な手段である「予告広告」の基本知識を解説します。

予告広告とは

新築分譲住宅(建売住宅)を含む不動産の売買に関する広告表示は、主に「宅地建物取引業法」と「不動産の表示に関する公正競争規約」による規制を受けます。

そのうち「不動産の表示に関する公正競争規約」の第8条には必要な表示事項の定めがあり、必要事項のなかには物件の価格や販売戸数も含まれています。

しかし新築分譲住宅(建売住宅)を含む一部の種類の不動産については、要件を満たせば価格や販売戸数等が未定でも「予告広告」を行えるということが規約第9条で定められています。

「予告広告」は規約第4条第6項で定義されている用語で、価格や賃料が決まっていない物件の本広告に先立って、契約申込を受け付ける時期を予告する広告表示と位置付けられています。

(出典:不動産公正取引協議会連合会『公正競争規約の紹介 | 不動産公正取引協議会連合会』

住宅業界で予告広告が活用される理由

住宅は高額商品であることから、検討期間は長くなりやすいものです。

株式会社AlbaLinkが2021年に行った調査によると、検討期間が3ヶ月以内だったと答えた住宅購入者は全回答者の16.8%に留まり、半年~1年と答えた人が33.2%で最も多く、検討に1年を超える時間をかけたと答えた人も2割以上見られました。

検討期間は長くなりがちな住宅ですが、物件情報が公開されてからその物件が買われるまでの時間も長くなるわけではありません。

好条件の物件には多くの購入検討者が関心を寄せるため、買い手はより良い物件があるかもしれないという迷いを抱きながらも、公開された情報を見て急いで契約を申し込むことになります。

そこで、契約申込を受け付け始める前に情報を公開する予告広告が役に立つのです。

買い手にとっては、立地や周辺環境など一部の物件情報だけでも契約の受付が始まる前から知ることができれば、時間的な余裕をもって十分な数の選択肢から比較検討できるようになります。

早いうちから検討していれば、物件引き渡しまでの期間にも余裕のある時点で契約できるようになり、引越しの準備にも慌てずに取り組めます。

売り手にとっては、契約の受付を始める前から買い手に検討してもらうことで、完工から契約までにかかる期間を短くできます。

予告広告への反響を見ながら販売価格を調整することも一般的に行われており、売れ残りによる維持費の増大や資金繰り悪化のリスクを低減できるメリットはとても大きいといえます。

買い手と売り手の双方にとってメリットがあるため、予告広告は住宅業界で広く活用されているのです。

予告広告で注意しておきたいルール

予告広告もその他の広告表示と同じように、ルールに沿って行う必要があります。

まず予告広告を行うことができる不動産の種類は、以下の4つに限られます。

  1. 販売区画が2区画以上ある分譲宅地
  2. 販売戸数が2戸以上ある新築分譲住宅(建売住宅)
  3. 販売戸数が2戸以上ある新築分譲マンション若しくは一棟リノベーションマンション
  4. 賃貸戸数が2戸以上ある新築賃貸マンション若しくは新築賃貸アパート

1戸だけで販売する建売住宅や中古の一戸建て住宅については、そもそも予告広告を行えないので気を付けてください。

「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」の第5条では、予告広告である旨を14ポイント以上の大きさの文字で表示しなければならないことのほか、必ず表示しなければならない内容やその位置について細かく定められています。

違反になる項目が無いか、発信前によく確認しましょう。

予告広告を行ったら、同じ媒体かインターネット上で本広告も行わなければなりません。

本広告をインターネット上で行う場合は、予告広告の中で本広告を行う予定のWebサイト名とアドレス、掲載予定時期を明記しなければならないという規定もあるので注意してください。

(出典:不動産公正取引協議会連合会『公正競争規約の紹介 | 不動産公正取引協議会連合会』

予告広告を始める時期は、本広告と同じく宅地建物取引業法第33条の定めに従い、宅地造成の開発許可や建物の建築確認の後でなければなりません。

うっかり順番を前後させないようにスケジュールを組みましょう。

(出典:e-Gov 法令検索『宅地建物取引業法』

本広告を行うまでに、販売戸数など予告広告で示していた情報に変更が生じた場合は、予告広告を行った媒体と同じ媒体で訂正広告も行わなければなりません。

変更することを前提とした内容を予告広告に盛り込むのは、控えたほうがよいでしょう。

(出典:公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会『予告広告・シリーズ広告 | 公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会』

ルール違反にならない範囲でできること

予告広告で契約の予約や優先順位の確保を受け付けることはルール違反となりますが、資料請求や見学、メール会員登録等を受け付けることはできます。

購入検討者の連絡先を把握したうえで、工事の進捗状況を知らせたり完成前の内覧会を案内したりすることにより、購入意向を高める手立てとして活用する例もあるようです。

ただし購入検討者の連絡先を把握できたからといって、本広告を行う前に契約申込の受付を案内してしまうとルール違反になります。

必ず本広告を行った後に案内するようご注意ください。

細かい注意点は多々ありますが、メリットの大きい予告広告は積極的に活用したいところです。

不動産情報メディアに出稿する場合はメディア側でもルール違反のチェックが行われるので、不安な点は出稿先メディアの担当者に相談してみてもよいでしょう。

記事のおさらい

最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:予告広告とは?

A:「不動産の表示に関する公正競争規約」のなかで規定されている広告の種類で、価格や賃料が決まっていない物件の本広告に先立って、契約申込を受け付ける時期を予告する広告表示と位置付けられています。

Q:予告広告が活用されるのはどうして?

A:予告広告は、買い手と売り手の双方にメリットがあります。早い段階からの情報公開により、買い手は比較検討や契約後の引越しの準備に時間的な余裕をもてるようになり、売り手は売れ残りによる維持費の増大や資金繰り悪化のリスクを低減できます。

Q:予告広告は具体的にどう活用できる?

A:予告広告で契約の予約や優先順位の確保を受け付けるとルール違反になりますが、資料請求や見学、メール会員登録等を受け付けることはできます。購入検討者の連絡先を把握し、購入意向を高める手立てとして活用する例もあるようです。

執筆者

杉山 啓(IMASSA認定マーケティング実務士、行政書士、統計調査士)

インターネット行動履歴データに基づくマーケティング支援を行うベンチャー企業に勤めていた際に、住宅、情報通信、出版、化粧品など多岐にわたる業界の大手企業を対象とするコンサルティングや法人営業に従事した。

2018年にマーケティング・ビジネス実務検定A級(IMASSA認定マーケティング実務士)、統計調査士、統計検定2級に合格。Uターン後は愛媛県内の道の駅でEC運営を担当し、月間のサイト訪問者数を前年比約2倍、売上を前年比約1.3倍に増やした経験ももつほか、非営利で哲学対話・哲学カフェのワークショップも継続的に主宰している。2024年に行政書士に登録し、企業間の契約書類作成等の法律業務も担う。

編集部
編集部
工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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