建設業界が実践すべき人手不足の対策とは
建設業界では、労働人口が減少しているにもかかわらず、建設需要が増え続けており、慢性的な人手不足が課題として挙げられています。
人手不足を解消するためには、まずその要因を知る必要があります。
原因が分からなければ対策を練ることができません。
本記事では、建設業界の人手不足について、その原因と解消策を考察します。
目次[非表示]
- 1.人手不足の原因を押さえる
- 1.1.①労働人口の減少
- 1.2.②復興事業の増加
- 1.3.③施設整備の需要拡大
- 2.外国人建設就労者受入事業の活用
- 3.業務棚卸しによる一部アウトソーシング
- 4.採用サイトの活用
- 5.まとめ
人手不足の原因を押さえる
建築業界の人手不足の原因は、以下の3つの原因が考えられています。
①労働人口の減少
人手不足の話題になると、はじめに挙げられるのが労働人口の減少です。
日本国内の人口減少に比例して、労働人口も年々減少しており、建築業界にも深刻な影響をもたらしています。
国土交通省が2017年2月に公表した統計によれば、建築業界で働く人は55歳以上が約34%という現状に対し、29歳以下は約11%という高齢化も1つの要因と考えられます。ひと昔前には、3K(きつい、汚い、危険)と言われた建築業界の若者の労働人口の減少は、人手不足という問題だけでなく、技術の伝承や、後継者の育成にも影響を及ぼしてしまいます。
働き方改革が提唱されているなか、待遇の改善や教育、訓練の充実化など対策が必要になるでしょう。
(出典:国土交通省「建設産業の現状」)
②復興事業の増加
地震や集中豪雨による土砂崩れなど、自然災害は建設業界に大きな影響を与えます。
災害時、建設業界に求められる役割は、がれき除去や仮設住宅の建設、倒壊した建物の再建まで多岐にわたります。どの作業も人の生活がかかっているため、限られた人数の中で工期が急がれる業務ばかりです。
昨今は、台風の時期以外にも、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨の災害も相次いだため、長期間にわたり復興事業に従事した企業も多かったのではないでしょうか。
人手が足りない状況下で復興事業が増加してしまうと、長時間労働にもなりかねず、労働人口を減少させる原因にもなってしまいます。
③施設整備の需要拡大
国際競技大会や国際博覧会など、日本国内で大きなイベントが予定されています。
国際競技施設の建設に加えて、イベント開催に伴いインバウンドの増加が予想されるため、ホテルや商業施設の建設を急ピッチで行っています。
これからIR(統合型リゾート)構想が実現していけば、国際会議が可能となる巨大施設の建設も必要となり、ますます建設需要が増加する一方です。
このように日本国内で建設業界の需要が拡大しているため、人手不足の状態が続いています。それでは、人手不足を解消するためには、どのような方策があるのでしょうか。
外国人建設就労者受入事業の活用
国際競技施設の建設と復興事業、これらの建設需要を考慮して、2015年4月より短期間の外国人労働者雇用が許可されています。
あくまで国内人材の確保に最大限努めたうえでの特別措置ではありますが、働く場所を探す外国人労働者と人材が不足している建設業界。需要と供給が一致するこの施策は功を奏しており、多くの企業が外国人労働者の雇用を行っています。
労働者の待遇や教育の改善がすすめば、さらに積極的な雇用が行われると予想されます。
2020年度までの時限立法ではありますが、建設業界の人手不足の対策とすることができます。
(出典:国土交通省「建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置(外国人建設就労者受入事業)」)
業務棚卸しによる一部アウトソーシング
人材を確保するためには、待遇を改善して既存従業員の定着率を上げることも大切です。
過剰労働にならないように一人ひとりの技量を把握して、現場のオペレーション改善に努めましょう。オペレーションを改善させるためには、ICT(情報通信技術)を導入して業務の可視化をする必要があります。
手に余る業務や、膨大になってしまった業務はアウトソーシングすることも手段のひとつです。労働環境のスリム化により、生産性の向上やコスト削減にもつながります。
採用サイトの活用
働き方改革の意識が高まり、採用者、つまり私たち建設業界が当たり前としていた従来の待遇を見直していくことが必要です。現状をあらためて確認することで、採用サイトに掲載する条件が適切であるかの見直しにもつながります。
福利厚生や給与、勤務地、労働時間など適した条件を採用サイトに掲載できているか、そして、自社の魅力を適切に伝えられているのかが重要です。求職者はさまざまな条件を確認して企業を選択します。人手不足にあるということは、求職者は人材募集をしている企業を選べる立場にあります。せっかくの魅力ある制度や福利厚生も、適切に採用サイトに掲載されていなければ意味がありません。
働きやすい環境を訴求するためには、自分たちで募集の案内文を作るだけでなく、採用サイトへ掲載する際には、求人会社に案内文を委託してみてはいかがでしょうか。
まとめ
建設業界において、人手不足は深刻な問題です。今後さらなる建設需要の拡大が期待されているため、一刻も早く戦力を確保したいところです。
人手不足にお悩みの企業は、まずは国内人材の確保に努めるため、働き方改革として時短勤務や兼業を認めるなど、働きやすい環境づくりを目指してはいかがでしょうか。