空前のサウナブーム。その人気は「おうち時間」にも影響あり?
サウナが人気になるとともに、持ち家にサウナを導入する人も現れている
現在、一部の界隈では「第三次サウナブーム」とも呼ばれるほどサウナが流行しています。サウナをテーマしたテレビドラマ、「サ道」をきっかけにサウナ人気は爆発し、同ドラマ内で紹介された施設は、入場が整理券方式になる等、その人気は凄まじいものです。
ブームの背景としては、コロナ禍やデジタル社会による情報過多で疲れた人々がサウナでリラックスすること、俗に言う「ととのう」(サウナ、水風呂、休憩を繰り返すことによって起きる、ランナーズハイのようなとても気持ち良い状態)ことを強く求めていることがあります。
しかしやはり、いくら「黙浴」が推奨されていると言っても、会話をする利用者は出てしまいますし、サウナ室は密閉空間であるため、感染症が気になるところです。
そのような意見も多く、予約制のプライベートサウナはどんどん増加し、アウトドアブームと相まってテントサウナにも着実に流行の兆しが見えています。
このような人気が波及し、「サウナ付きマイホーム」を建てる人が、大手メーカーでも地方工務店でも少しずつ現れています。伊藤忠グループのイトーピアホームでは、ドライサウナ付き一戸建て住宅の提案を行っています。
この一戸建て住宅のドライサウナルームの選定、および水回り空間のデザイン監修を行ったのは、サウナの本場北欧生まれのサウナメーカー「ティーロヒーロ」の販売代理店「AVANTO」で、間取りにもサウナ好きに向けた工夫が施されています。洗面室と浴室に隣接してサウナルームがあり、サウナの後、浴室の水風呂に入り、階段を上ってルーフバルコニーで外気浴もできる動線となっています。
全国170以上の住宅会社が加盟する住宅ブランド「Dolive house」は、テキスタイルブランド「SOU・SOU」とコラボした和テイストの新商品「NIHON NOIE」のモデルハウスに、サウナを設けています。
北欧テイストと和テイストの相性がいいのは言わずもがなですが、サウナは北欧が発祥で、和風のものや平屋と親和性が高いです。サウナは付加価値の向上だけでなく、デザイン性のアップや、暮らしの世界観を確立するのにも効果的かもしれません。
「NIHON NOIE」実棟と離れのサウナ
サウナブームが続く影響だけではなく、依然人気のある平屋、サウナ同様にコロナ禍やデジタル社会による情報過多で疲弊している人々に見直され人気が出ている「瞑想」、どちらとも相性が良いとされることも相まって、サウナをプライベート空間に導入したいという要望は今後より増加していく可能性があります。
設備メーカーからのサウナ等の「ととのい」提案
このサウナブームに目をつけて、もともとサウナ機器を扱っている専門メーカーだけでなく、各大手設備メーカーもサウナ機器などの「ととのい提案」に力を入れています。
前章で紹介したのはドライサウナ導入の例でしたが、大手設備メーカーはミストサウナの提案が主です。ミストサウナであればコストも手間も抑えられ、導入は比較的容易です。
例えば、上記でも触れたドライサウナメーカー「ティーロヒーロ」のサウナヒーターは30万円~、サウナルームは228万円~ですが、設備メーカーのミストサウナであれば、製品にもよりますが40万円程度で導入が可能です。
LIXILでもミストサウナは可能で、導入したお客様の声として「ミストサウナができると聞いて即決しました」というレビューを紹介しており、確かな需要が認められます。
他にもLIXILでは22年6月から、「ボディハグシャワー」を発売しました。同商品は10個のノズルから吐水されるので、5分間浴びるだけで従来のシャワー浴よりも身体全体を温めることができるというものです。
LIXIL公式カタログではこの商品に対する「お風呂の専門家」からの意見を紹介しており、日本サウナ学会代表理事で慶應義塾大学医学部特任助教の加藤容崇氏は「ボディハグシャワーがあれば自宅で気軽に温冷交代浴ができ、サウナ同様にととのうことができる」と、同商品を使っての「ととのい推奨」のコメントをしています。
Panasonicも、ミストを用いて浴室をホームサウナにできる商品「ゲンキ浴槽i(アイ)・ミスト」を発売しています。同商品はクリアミストという超微細水滴を使用することで、体が濡れず発汗量を確認できる「サウナモード」と、効果的な洗顔と保湿が可能な「うるおいモード」の2つのモードがあり、美容効果にも焦点を当てて訴求をしています。
お風呂と美容の関係は切っても切れず、最近ではマイクロバブルのシャワーヘッドも非常に人気があります。働き方が多様化しておうち時間が増えた今、サウナをはじめとし、お風呂環境を良くすることでQOLを上げたいという需要は多いのかもしれません。