住宅トレンド

2023年の住宅市場トレンド&動向予測!金利やストック対策・ZEHに注目?

エネルギー価格や物価の高騰、戦争など、2022年は世の中全体でも住宅業界でも、明るいニュースに乏しい一年でした。

特に住宅業界については、2022年度の持家着工戸数は12ヶ月連続で前年割れ、過去最低水準に落ち込むと予想されます。大手ハウスメーカーの戸建受注動向を見ても、今後も着工が前年を下回って推移する可能性が高く、22年度の持家着工戸数は60年ぶりの低水準に沈んだ2020年度を下回ることはほぼ確実と見られます。

様々な変化があった2022年でしたが、2023年は更なる激動の一年となる可能性があります。今回の記事では「インフレ対策と金利動向」「脱炭素対策」「ストック対策」この3つのトピックに注目して2023年の住宅業界の展望を見ていきます。

目次[非表示]

  1. 1.インフレ対策と金利動向
  2. 2.脱炭素対策
  3. 3.ストック対策

インフレ対策と金利動向

ウッドショックから2年が経ち、木材価格は高止まりながら上昇はひと段落を見せています。しかし住宅業界では設備、屋根・外壁、サッシといった部材の価格上昇がまだ続く見通しです。資材高騰と価格転嫁の連鎖はまだ終わる気配がありません。既に消費者は住宅価格の上昇を厳しい目で見ており、このような中でいかに売り、いかに利益を確保するかはこれまで以上に大きな課題となってきます。

目下の懸念材料は日銀の金融緩和策の修正です。実質的に長期金利は上がっており、住宅ローン金利にも影響があると予測されています。変動金利にはまだ影響は出ていないものの、23年1月から大手銀行では、固定金利の0.2~0.3%程度の利上げを実施しました。金利上昇は住宅購入意欲の低下につながり、住宅価格の上昇と合わさり、消費動向を下押しする可能性が高いです。

不景気や物価高により既に消費マインドは低下の傾向にあり、内閣府の消費動向調査結果によると、消費者態度指数を構成する各消費者意識指標のすべての項目において、2022年9月から減少が続いています。

これらの課題解決の鍵となる1つがインフレ率を超える賃上げです。日本では賃金が長年上がっていないことが問題となっていますが、ユニクロは8,400人を対象に最大で40%の賃金引き上げを行うとともに初任給は30万円とすると発表し、話題になりました。

コロナ禍初期にNTTなどの日本のトップ企業がテレワークを導入し、それに多くの会社が追随したように、世界的な企業であるユニクロの後を追う会社が出てくることに期待を持ちたいところです。

脱炭素対策

住宅会社各社の脱炭素対策は本格化しつつあります。2022年には断熱性能のより高い性能基準として、新たに5~7等級が設けられ、ZEHの標準化へ向かいつつあります。こどもエコすまい支援事業の対象はZEHのみとなっており、新築住宅の高断熱化は着実に進んでいくでしょう。積水ハウスは戸建の9割以上がZEHを満たし、一条工務店など、その他のメーカーも22年度中に急速にZEHの普及が進みました。2023年はこの流れが地域ビルダーにも広がっていくことが予想できます。

また、アパートのZEH化もハウスメーカーでは一般化してきています。大和ハウスやパナソニックホームズはZEH基準を標準とした賃貸商品を持つ他、大東建託はZEH賃貸商品を強化しLCCM基準を満たす商品を国内で初めて発売。半期で2万戸ペースを目標にZEH化へと舵を切っています。

ハウスメーカーは既に棟数を追うところから、性能や利益の追求へシフトしており、住宅業界全体が量から質への転換を進めていく時代になったといえるでしょう。

ストック対策

最後のトピックはストック対策についてです。2022年、新築戸建市場は資材価格高騰の影響を大きく受け、厳しい市場環境となっていましたが、大手ハウスメーカーのリフォーム受注動向はコロナ禍当初からの回復以降、堅調を維持しています。

堅調要因の1つはやはり、コロナ禍により在宅時間が増え、住まいに対する改善ニーズが顕在化したことです。また、新築住宅は一次取得者層が購入者の多くを占めますが、リフォームはすべてのストックが対象となります。

今後はますますストックの活用が進み、重要性が増していくと考えられます。この理由はインフレにより価格への意識が強まり、新築にこだわらない層がこれまで以上に増えていくと予測できるためです。それに加えSDGsが一般化し、今あるものを活かし、サステナブルに暮らそうという思想が消費者の中にも根付き始めたこともあります。2023年度の省エネリフォーム補助金制度は手厚くなっており、高断熱窓の補助金は最大200万円となっています。国としてもストックへのシフトを推奨していることがわかります。

ハウスメーカー各社のストック活用への取り組みを紹介すると、積水ハウスは2000年以前建築のオーナーに対して「いどころ暖熱」を訴求し、2021年度には目標を上回る1,300件超を受注しています。まるごと改装の住友不動産新築そっくりさんでも高断熱リフォームを80~90万円程度の価格アップで提案。全体の1割以上と採用が増えています。ストックの活用には高断熱化は欠かせません。この流れを汲み、断熱リフォームに本格的に取り組んでいくべき時ともいえるでしょう。


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株式会社住宅産業研究所(JSK)
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1976年設立、住宅業界専門の調査会社。「月刊TACT」などの情報誌・調査資料・セミナー・研修・コンサルティングなどを通じて全国の住宅会社に情報を提供する。

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