住宅トレンド

着工減少は止まらない? 2025年の住宅着工考察

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2025年は21世紀を迎えてちょうど四半世紀という節目の年でしたが、住宅着工戸数ベースでは21世紀が始まって最も少ない1年となりました。実数では、前年実績からマイナス6.5%となる74万667戸で着地しました。

これまでを振り返ると、2番目に住宅着工が少なかったのは2009年です。住宅着工が前年から30万戸以上減少し、78万8,410戸まで落ち込んだことで大きな話題となりました。

その原因でもあるのが前年に発生したリーマンショックです。日本経済に与えた影響が非常に大きく、国内の企業がダメージを受けました。当然、日本人の懐事情にも波及して住宅購入の買い控えが進み、結果として着工戸数の大幅減につながりました。しかしながら、2025年については、その2009年の着工戸数をさらに下回る結果となりました。

今回は2025年と2009年の外部環境も比較しつつ、着工の状況を確認していきます。

「持ち家」の減少が目立つ2025年、住宅購入ボリューム層の人口減が影響

2025年、2009年のいずれも住宅着工戸数は年間70万戸台です。この2年の着工を利用関係別で見ると、持ち家の数が大きく異なることが分かります。2009年当時の持ち家着工は、約28.4万戸。それに対して2025年は約20.1万戸にとどまりました。持ち家のボリューム層である20代、30代の人口がこの16年で大きく減少したことが、その要因として挙げられます。

総務省の統計によれば、20~39歳の推計人口は2009年当時約3,245万人に対し、最新データである2024年においては約2,670万人です。この15年間で約18%減少しており、これが持ち家着工の減少に影響しているとみられます。。

「一戸建て分譲」は分譲系ビルダーの台頭が進み、2009年から増加

一戸建て分譲は2009年約9.1万戸に対して、2025年は約11.5万戸。この要因は、16年の時間が流れ、飯田グループホールディングスやオープンハウスグループ、ケイアイスター不動産といった分譲系のビルダーが拡大してきたことや、かつて注文住宅メインで事業展開していた大手ハウスメーカーが数年前から建て売り事業にも注力していることなどが挙げられます。その背景にあるのが土地なし客の増加で、直近は過半数を占めているともみられます。そのため、建物だけでなく、土地情報量が重要な武器となります。大手のプレイヤーが増えたことにより、土地仕入れ競争は激化しています。

エンドユーザーの属性ということでは、今のユーザーはタイパやコスパなどを重視する傾向にあります。この流れにおいて、間取りや仕様の選択肢を限定した規格住宅というような住宅商品や、すぐに住むことができる分譲住宅がフィットしやすいという側面があります。家づくりに対する価値観が変化し、住宅のプロに設計してもらった住宅のほうが安心と言うユーザーもいます。

投資マインドに影響される「貸し家」

貸し家については、2025年が約32.4万戸、2009年が約32.1万戸とさほど変わりません。経年で見てみると、2020年以降、30~34万戸台で推移しており、着工数は比較的安定しています。一方、2009年の前年である2008年の貸家着工は46.4万戸。2010年以降が2010年29.8万戸、2011年28.5万戸と大きく減少しています。これもやはりリーマンショック後で投資マインドが落ち込んだことが影響しているとみられます。

これからの住宅着工はどうなる? ストックシフトで、新築検討層減少か?

今後について検討してみると、インフレ、金利上昇が続く限りは住宅着工、特に実需系の着工が伸びない可能性が高いです。住宅価格ということでは、大手ハウスメーカーの注文住宅は坪単価が100万円を超えることが珍しくありません。住宅購入検討者の一部は新築ではなく、中古住宅に流れていくことが予想されます。

中古住宅でもリフォームをすれば、新築と変わらない内装を実現でき、性能面においても大幅改善するという認知が広まっています。中古買取再販の最大手であるカチタスは、今期の業績が好調で推移しています。その背景には中古住宅需要の拡大があることは間違いありません。3省連携補助金など手厚い制補助度などが用意されていることも、中古住宅の購入の決断の後押し材料となっています。

首都圏のマンションにおいては既に新築よりも中古のほうが検討されやすいという状況になりました。東京都内は、新築は1億円超が当たり前で、もはや一般庶民の手の届く価格ではありません。この価格上昇は神奈川の横浜、埼玉の浦和といったエリアや都内へのアクセスが良好なエリアにも波及しています。これからは中古一戸建ての需要も加速度的に増えていくかもしれません。

株式会社住宅産業研究所(JSK)
株式会社住宅産業研究所(JSK)
1976年設立、住宅業界専門の調査会社。「月刊TACT」などの情報誌・調査資料・セミナー・研修・コンサルティングなどを通じて全国の住宅会社に情報を提供する。

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