住宅ストックの断熱性能向上を促進~住宅省エネ2026キャンペーン

2050年のカーボンニュートラル実現を見据え、住宅分野の断熱性能向上や高効率設備の導入を促進するために、2023年から実施されている「住宅省エネキャンペーン」。今年も引き続き「住宅省エネ2026キャンペーン」が実施されることが決まっています。
国土交通省・経済産業省・環境省の3省連携のもと複数の補助事業が実施され、各事業を組み合わせて利用することができます。3月10日から事業者登録が始まり、3月下旬から交付申請や予約の受付が開始される予定です。各事業の概要や昨年からの変更点について確認しておきましょう。
「住宅省エネ2026キャンペーン」各事業の概要
「住宅省エネ2026キャンペーン」に紐づく事業は、「みらいエコ住宅2026事業(新築/リフォーム)」、「先進的窓リノベ2026事業」、「給湯省エネ2026事業」、「賃貸集合給湯省エネ2026事業」の4種類です。それぞれの要件や補助額について解説します。
みらいエコ住宅2026事業〔新築〕(国交省・環境省)
新築への補助は、住宅の性能によって3段階に分かれます。長期優良住宅の補助額は1戸当たり最大95万円(1~4地域は100万円)、ZEH水準住宅は55万円(同60万円)。この2つについては、子育て世帯(18歳未満の子を有する)と若年夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下)だけが対象となります。
これらよりも性能の高い「GX志向型住宅」は全世帯が対象となり、補助額は1戸当たり110万円(1~4地域は125万円)です。要件は前年と同じ①断熱等性能等級6以上、②再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率35%以上、③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率100%以上の3つに、高度エネルギーマネジメント(≒HEMSの設置)という新たな要件が加わります。
「GX志向型住宅」の1戸当たりの補助額は、前年の160万円から110万円に減額されましたが、予算は500億円→750億円に増えたので、より多くの戸数に補助金が行き渡ることとなります。
みらいエコ住宅2026事業〔リフォーム〕(国交省・環境省)
前年からの大きな変更点は、住宅が建築された時期が要件に加わったことです。補助対象となるのは平成10年以前に建築された住宅で、平成11年以降に建てられた比較的新しい住宅については対象外となります。
具体的には、平成4年基準(省エネ基準)に適合しない住宅、つまり平成3年(1991年)以前に建てられた住宅と、平成11年基準(次世代省エネ基準)に適合しない住宅、つまり平成10年(1998年)以前に建てられた住宅が対象となります。
それぞれの住宅に対して省エネ工事を行い、どれだけ性能が向上したかに応じて補助上限額が変動し、平成4年基準(省エネ基準)に適合しない住宅の性能を平成28年基準まで引き上げると、1戸当たり最大100万円が補助されます。
補助対象となるリフォーム工事は、①開口部の断熱改修、②躯体の断熱改修、③エコ住宅設備の設置で、この3つの工事のうち2つ以上を実施することが要件となります。この要件を満たせば、その他の付帯リフォーム工事も補助対象となります。
対象となる付帯工事は、①子育て対応改修、②防災性向上改修、③バリアフリー改修、④空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置、⑤リフォーム瑕疵保険等への加入の5つです。
■みらいエコ住宅2026事業〔リフォーム〕の概要

先進的窓リノベ2026事業(環境省)
昨年の予算消化率が78%と使い切らなかったためか、同事業の予算は昨年の1,350億円から1,125億円に減額されました。また、1戸当たりの補助上限額も最大200万円から100万円に減額されました。
大きな変更点は2つです。1つ目は補助対象となるグレードです。A・S・SSの3グレードが対象となることは昨年と概ね変わりませんが、内窓改修についてはAグレードが補助対象外となりました。2つ目は窓の大きさ区分です。
昨年は小・中・大の3区分でしたが、今年からはガラス(1枚)の面積2.0㎡以上、サッシ(1ヶ所)の面積4.0㎡以上の「特大」という区分が加わりました。大開口窓の住宅や、非住宅の断熱性能向上が促進されることとなります。
給湯省エネ2026事業・賃貸集合給湯省エネ2026事業(経済産業省)
給湯省エネは昨年の予算枠を全て消化し、この人気は2026年も続くと見られます。予算額はほぼ前年並みの570億円。補助額は所定の性能を有する機器に対する加算補助が少なくなり、実質的には減少します。例えばエコキュートは2025事業が1台当たり13万円だったのに対し、2026事業では10万円。これは補助額を引き下げて、支援台数を増やす目的があるものと思われます。
「住宅省エネ2026キャンペーン」は、2025年度の延長線上にありながら、より高性能化・制度厳格化へと進む転換点の制度と言えます。工務店にとっては、単発の補助活用に留まらず、商品戦略・営業戦略・事務体制を再構築する絶好の機会です。「“補助金を売る”のではなく、高性能住宅を標準化する過程で制度を活用する」といった考え方に発想を転換することこそが、2026年以降の競争環境を勝ち抜く鍵になるでしょう。
※制度の詳細や正式な公表情報は各省庁ホームページをご確認ください(制度内容は変更の可能性があります)。
■住宅省エネ2026キャンペーンにおける3省連携(リフォーム)




