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【役所調査】調査の重要性と実施時の注意点

工務店・ビルダーが住宅建築やリフォームなどを行う際には、不動産に関わる情報収集のために役所調査を実施します。

役所調査を行い、法令による規制や敷地の境界線などを明らかにしておくことで、「希望する住宅を建てられるか」「設計上の制限はないか」などを把握できます。

施主とのトラブルを防止するためにも、役所調査の内容や注意点について知っておくことが重要です。

この記事では、工務店・ビルダーが実施する役所調査の内容や重要性、調査する際の注意点について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.役所調査とは
  2. 2.役所調査の重要性
  3. 3.役所調査を実施する際の注意点
    1. 3.1.①目的を明確にする
    2. 3.2.②事前準備をする
    3. 3.3.③チェックリストに記録する
  4. 4.まとめ

役所調査とは

役所調査とは、法務局や役所で書面・図面を取得して、土地・道路に対する法令上の制限、所有権などについて調べることです。

土地には、建築基準法や都市計画法などの法律によって、建築できる住宅の制限が設けられています。そのため、住宅設計を行う際は、法令上の制限をはじめ、現地調査では確認できない道路の種別やインフラ環境などについて確認しておくことが必要です。

また、土地の購入時には、登記簿上の所有権や境界線、抵当権の有無などを確認する必要があります。現所有者の申告による情報だけで売買契約を締結すると、後にトラブルが発生してしまう可能性があります。

役所調査によって、事前に不動産の権利関係や設計上の制限などを把握することで、施主・取引関係者とのトラブルを防げるようになります。

なお、住宅建築の際は接道義務を満たすかどうかも一緒に確認します。

接道義務については、こちらの記事をご覧ください。

 ≫ 【建築基準法の接道義務】接道長さや測り方について解説

役所調査の重要性

役所調査は、施主とのトラブルを防止するために重要です。役所調査を実施することで、顧客が知らなかった情報が明らかになるケースも少なくありません。

土地購入後に「建築に制限があり、希望する住宅を建てられなかった」「追加工事が必要になり、建築費用が高額になった」といったトラブル防止につながります。

また、土地・道路に関する権利・法令上の制限を把握することで、用途地域や接道義務に対する問題点を早期の段階で発見できるといった役割もあります。

その結果、法令の遵守はもちろん、周辺環境や災害時の安全性など多面的に考慮した、具体的な住宅設計を進めることが可能になります。

このように、施主との認識を合わせつつ、スムーズに住宅建築の提案を進めるためにも、役所調査で土地の情報をきちんと把握しておくことが重要です。

役所調査を実施する際の注意点

役所調査を実施する際は、目的の明確化や事前準備などが必要です。ここでは、役所調査を実施する際の注意点を3つ紹介します。


①目的を明確にする

役所調査を実施する際は、目的を明確にしておくことが重要です。

住宅建築やリフォームなどの依頼内容によって必要な情報が異なるため、施主にとってどのような情報が重要となるか、ケース別に調査する必要があります。

▼ケース別の調査例

更地に新たに住宅を建築する場合

  • 用途地域の規制(建ぺい率、容積率)
  • 隣地との境界
  • 接道状況
  • 埋設物の有無

同敷地内で建て替えする場合

  • 土地の名義
  • 敷地分割、敷地分筆の状況
  • インフラの引き込み状況


②事前準備をする

役所調査を実施する前に、できる限りの情報収集を行うようにしましょう。

たとえば、土地の所有者にヒアリングを行い、現地調査に行くなど、土地・道路に関する必要な情報を収集しておくことが重要です。

特に現地調査では、書面や図面では分からない情報を確認する目的があります。現地に出向いて敷地・道路・周辺状況などを確認することで、新たな問題点が明らかになるケースも少なくありません。

現地調査で情報収集する項目として、以下が挙げられます。

▼現地調査での情報収集項目

  • 近隣地の利用状況・高低差
  • 敷地境界の有無・場所
  • 接道状況(道路の幅・接道の長さ)
  • 交通機関
  • 隣接する道路の舗装状況
  • 事故や災害のリスク


③チェックリストに記録する

役所調査において、調査項目を漏れなく確認・記録するために、チェックリストを活用することも一つの方法です。

役所調査で確認する項目は多岐にわたるほか、顧客によって必要な調査項目は異なります。情報の混在や調査項目漏れ防止のために、調査内容をまとめたチェックリストを作成して記録することが有効です。

また、役所の担当者との間で認識の相違が生まれないように、日付や担当者の名前もチェックリストに記録しておく必要があります。

チェックリストの主な項目には、以下が挙げられます。調査目的に応じて、必要な項目を追加するようにしましょう。

役所調査で調べる内容には、以下が挙げられます。

▼役所調査で調べる内容

法務局

  • 登記簿謄本
  • 地積測量図
  • 公図

役所

  • 用途地域(制限・建ぺい率・容積率)
  • 建築基準法や都市計画法による制限
  • 道路の種類、接道義務
  • 自治体が定める条例(建築や道路に関する制限)
  • 区画整理事業の有無
  • 上下水道、電気、ガスの引き込み状況
  • 土壌汚染の有無

まとめ

この記事では、工務店・ビルダーが実施する役所調査について、以下の項目を解説しました。

  • 役所調査の内容
  • 役所調査の重要性
  • 役所調査を実施する際の注意点

施主とのトラブルを防ぎ、スムーズに住宅建築を進めるためには、建築前の役所調査が必要です。

役所調査により、土地の所有権や法令上の制限などを確認することで、接道状況や隣地境界などの問題点を早期発見して、適切な提案ができるようになります。

実際に役所調査を実施する際は、目的を明確にするとともに、現地調査やヒアリングなどの事前準備が重要です。また、漏れなく情報収集を行うために、チェックリストを活用することもおすすめです。

なお、役所調査で確認する項目には、接道に関する情報も含まれます。接道義務については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 ≫ 【建築基準法の接道義務】接道長さや測り方について解説

  【建築基準法の接道義務】接道長さや測り方について解説 | LIFULL HOME’S Business 注文・分譲一戸建て 建築基準法で定められた接道義務や接道長さの測り方について解説します。 LIFULL HOME'S Business 注文・分譲一戸建て



編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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