地球環境に優しい住宅を目指す“ZEH”とは?
ZEH(ゼッチ)とはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、住宅の断熱性能や省エネ性能を向上させ、太陽光発電でエネルギーをつくることにより、高い省エネルギー基準を満たす住宅を指します。
ZEH仕様の導入に向けて国が補助金を出す制度を設けるなど、政府も普及促進に努めています。住宅メーカーに関わる人であれば、知っておくべき制度でしょう。
今回の記事では、ZEHの概要から補助金制度(2020年4月10日時点)について知識を深めていきましょう。
目次[非表示]
- 1.ZEH(ゼッチ)とは
- 2.ZEH(ゼッチ)住宅の特徴
- 2.1.特徴1.断熱性能
- 2.2.特徴2.省エネルギー
- 2.3.特徴3.創エネルギー
- 3.ZEHの種類
- 3.1.ZEH
- 3.2.Nearly ZEH
- 3.3.ZEH+
- 3.4.Nearly ZEH +
- 3.5.ZEH Oriented
- 4.ZEHの補助金について
- 4.1.ZEH補助金の申請条件
- 4.2.ZEH補助金申請について
- 5.新しい暮らし方のZEHは将来当たり前になる住宅
ZEH(ゼッチ)とは
エネルギーとは、電気やガス、ガソリンなど、日々の生活に欠かせない資源を指します。
これらの資源には量に限りがあるだけでなく、地球環境に大きな影響を与える力も持ち合わせています。そのため、地球温暖化を防止するためのひとつの対策として、日々の生活における省エネルギー化は世界共通の課題となっています。
ZEH仕様の住宅は、“消費するエネルギー”よりも“つくり出すエネルギー”が大きくなる住宅を指し、エネルギーの収支をゼロ以下にできるという住宅です。地球環境に優しい住宅が実現できると注目を集めているZEH住宅は、今後の日本では一般的な住宅になると予想もされています。
それは、政府のエネルギー基本計画のなかで、2020年までに“標準的な新築住宅でZEH仕様の実現”を目指しており、さらに2030年には“新築住宅の平均でZEH仕様の実現”という目標を掲げている背景があります。
ZEHは暮らしが快適になる要素を持ち合わせているため、住宅づくりを検討しているお客さまにとっては、メリットが大きい点も人気のポイントです。
また、ZEHの補助金制度によってZEH仕様にするハードルが下がっていることもお客さまの背中を押すポイントといえます。
ZEH(ゼッチ)住宅の特徴
ZEH(ゼッチ)は主に、以下の特徴を満たすことでZEH住宅と認められるようになります。
特徴1.断熱性能
高い断熱性能を持つ住宅は、夏は涼しく、冬は暖かいというエネルギーの消費が少ない住宅です。
精度の高い建築部材や、断熱材、防湿シートなどを用いて住宅の隙間をなくし、高気密な造りにすることで冷房器具や暖房器具の使用を抑えることができ、省エネにつながります。
特徴2.省エネルギー
空調、照明、換気、給湯システムの4つを省エネ設備にすることで、ZEHの省エネルギーに関する特徴を満たせます。
特徴3.創エネルギー
太陽光発電システムを取り入れて、住宅でエネルギーをつくり出すシステムを設置していることがZEHの特徴です。つくり出したエネルギーは使用するだけではなく、売ることもできるため光熱費を抑えることができます。
さらに、蓄電池などとの組み合わせによって、災害などの非常時にも役立つエネルギーとなります。停電時にも電気が使えることで安心感を得られる設備であることもZEHの特徴です。
ZEHの種類
ZEHには種類があり、種類によって補助金額も変わります。ZEHの種類について見ていきましょう。
ZEH
省エネ基準から、断熱と省エネによる省エネルギー率が20%以上で、創エネの省エネ率が100%以上ある。
Nearly ZEH
省エネ基準から、断熱と省エネによる省エネルギー率が20%以上で、創エネの省エネ率が75%以上ある。
※多雪地帯などの寒冷地、低日射地域が対象
ZEH+
省エネ基準から、断熱と省エネによる省エネルギー率が25%以上で、創エネの省エネ率が100%以上ある。
①断熱性能の強化 ②HEMSで発電量を把握し冷暖房などの制御可能 ③創エネシステムによる電気自動車への充電のうち、2つ以上をクリアしている。
Nearly ZEH +
省エネ基準から、断熱と省エネによる省エネルギー率が25%以上で、創エネの省エネ率が75%以上ある。
①断熱性能の強化 ②HEMSで発電量を把握し冷暖房などの制御可能 ③創エネシステムによる電気自動車への充電のうち、2つ以上をクリア。
※多雪地帯などの寒冷地、低日射地域が対象
ZEH Oriented
再生エネルギーの導入は必須ではないが、断熱と省エネによる省エネルギー率が20%以上である。
※都市部狭小地の2階建て以上
ZEHの補助金について
ZEH住宅の普及を促進するための補助金について見ていきましょう。ZEHの補助金については年単位で変わっていくので随時、最新情報を確認することが大切です。
ZEH補助金の申請条件
申請条件は、その年によって変更がある場合があります。また、ZEHの種類によって条件や金額が異なるため、申請をする年の条件をよく確認することが必要です。
下記はZEH補助金を申請するうえでの2019年度の基本的な要件となります。
・申請者が住むための住宅であること
・新築の一戸建て住宅を建てる人、建売住宅を購入する人、すでに所有している一戸建てをZEH仕様にリフォームする人が対象
・登録されているZEHビルダー、もしくはZEHプランナーを利用してZEH仕様にする
ZEH補助金申請について
2019年度の補助金は一般公募として募集し、応募があったなかから抽選にて申請受付者を決定していきました。
公募期間には限りがあるうえ、ZEHの種類によって受付期間が異なります。書類を送付する申請時期について、しっかりと確認することが大切です。2020年のZEHの補助金については、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)の公式ホームページで最新情報が確認できます。
ZEH仕様の住宅を検討しているお客さまに最新情報を案内できるように確認しておきましょう。
新しい暮らし方のZEHは将来当たり前になる住宅
住宅メーカーの営業担当者は、年々進化するZEHの特徴や種類、補助金情報についての最新情報を得て、お客さまに案内をしていくことが求められます。
地球環境に優しい省エネの住まいにすることで、温暖化対策ができるだけでなく、住み心地が向上する点も最大の魅力です。
エネルギーを売ることで売電収入を得られ、ゆとりある暮らしになる人もいるなどZEH仕様の体験談も交えてZEHの魅力を伝えていきましょう。