制作・広告掲載写真

第1回「資料請求のカタログ・パンフレット」=「会社案内」ではない!?「施工事例集」のススメ

「資料請求で送る『会社案内』をつくりたいけどどんなのがいいかな?」。そんなお問い合わせをよくいただきます。会社案内というと皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。

社長メッセージや業務内容、対応可能工法や住宅性能、施工事例、スタッフ紹介、会社沿革、概要、地図、その他の取り組み、などなど。いろいろな要素をどうやって入れたらいいか、悩んでしまいますよね。

ですがちょっと待ってください。

その項目、全部載せる必要があるでしょうか?資料請求で送るということは、お施主さまは媒体に掲載している情報を見ているということ。さらに恐らく、一度はHPをのぞいているでしょう。

そんなタイミングで送る資料請求のカタログ・パンフレット。情報を隅々まで網羅するのではなく、要素を絞って提供してはいかがでしょうか。

目次[非表示]

  1. 1.まずは施工事例を見ていただきましょう
  2. 2.ほんとのことが一番たいせつ
  3. 3.実際の商品・作品を知っていただく
  4. 4.バリエショーンを載せれば対応の幅をアピールできる
  5. 5.テイストを統一すれば得意なデザインをアピールできる
  6. 6.施工事例の写真をおろそかにすると、比較検討のテーブルに載らない
  7. 7.まとめ

まずは施工事例を見ていただきましょう

要素を絞るということで考えまして、まずおすすめしたいのは施工事例集です。

理由の一つは、取材先で様々なお施主さまからお話を聞いていて「お施主さまはやっぱり施工事例を見たいんだな」と実感しているから。施工事例は別に気にしない、というお施主さまは会ったことがありません。そのため施工事例の紹介は、不要とされることがありません。間違いなく比較検討の資料としてテーブルに載るところまではいきます。

また、施工事例集をつくる際は、お施主さまが一つの冊子でいくつか見比べられるように、できるだけたくさんの施工事例を掲載しましょう。そのほうがもらった側は満足感も高まります。

ほんとのことが一番たいせつ

施工事例集を推すもう一つの理由は、「その工務店がほんとにつくった家を紹介している」から。この「ほんとの施工事例」にこそ、価値があります。その施工事例が、かっこいいか、とか、ウケるか、とかはその次です。まず見せることが重要。ほんとのことをちゃんと出す努力をしましょう。

その際、最も大切なのは写真です。撮影に関しては、プロカメラマンに依頼して、水平・垂直がきちんととれたきれいな写真を撮影しましょう。

それと最低限の現場コーディネート。コーディネーターに頼むまでするのはなかなか現実的ではないので、せめて余計なものが写らないように自分たちで片付けるのが最低条件。空気清浄機やファンヒーターなどの家電製品やテレビのリモコン、ティッシュ、ゴミ箱、植栽のビニール、キッチン周りの調味料やペーパー、洗剤やスポンジ、お菓子、食材の袋、冷蔵庫に貼ってある書類やマグネット、などなど。全部が全部はずす必要はないですが、「きれいに整える」ことが重要です。

可能であれば、ソファやテーブルなど、インテリアの印象を左右する大物家具くらいは撮影用を用意しておくのもいいですね。つまり、ほんとにつくった家を見ていただくのですが(それが前提なのですが)、できるかぎりきれいに、きちんと、ちゃんと見せる努力をしましょう。

実際の商品・作品を知っていただく

フランチャイズ商品などを取り扱っている工務店さまなら、本部素材として商品写真や他社施工事例の写真を使用できることがあると思います。その場合はおしゃれで美しい写真がたくさんあるので、それを使いたいですよね。また本部がつくったかっこいい施工事例集がある場合もあるでしょう。もちろん使いたいですよね。

そういったツールはぜひ活用すべきですが、ここでもう一度、お伝えしたいのは、「まずは自社でほんとにつくった施工事例を見せる」こと。それが正直いって本部事例と見比べて劣っていると思っていても、です。

きれいな写真を見せれば問い合わせは増えるかもしれません。でも相談に行ってみたら、実際の家を見てみたら、あれ??となったら? そういう「実際とのギャップ」がお施主さまが一番きらうポイントであり、一番離脱されるポイントです。悪く言えば、騙された、って思われるかもしれません。

したがってこの場合は、見せる順番を変えましょう。まずは自社の現在の施工事例をきれいにきちんと見せて、こんなかっこいい商品もありますよ、当工務店でつくることができますよ、と。そうすればすべてがほんとのことになりますし、印象がぐっとよくなります。

バリエショーンを載せれば対応の幅をアピールできる

施工事例写真をたくさんお持ちの工務店さまなら、様々なバリエーションがあると思います。それをデザインテイスト別で分けて、複数のデザインテイストを紹介する施工事例集にする、というのもおすすめです。

例えば、シンプル・ナチュラル・クール・インダストリアルなど、4テイストくらいに分けられれば格好がつきそうです(あまり多すぎてもお施主さまは迷ってしまいます)。

あとは、モダンという大きなくくりを設けて、シンプルモダン・ナチュラルモダン・クールモダン・インダストリアルモダンとしたり、ライフスタイルを切り口に、子育て・共働き・二世帯・趣味などとすれば、プラン力をアピールすることにもつながりそうです(この場合は間取り図必須ですね)。

このようにすることで、様々なデザインに対応しているのだな、とわざわざ言葉でアピールしなくても伝わります。実際に建てた家を見せているのですから。

テイストを統一すれば得意なデザインをアピールできる

バリエーションを見せるのとは逆に、掲載する施工事例に統一感を持たせることで、そのデザインが得意なのだな、と強調することができます。そのときに大切なのは写真の色味の統一。

例えば、床・壁の色合い・トーンが似ている事例を並べたり、間接照明が美しいリビングなら他の写真もすべて夜景にして照明の陰影がきれいな写真を選ぶなど。紙媒体は一覧性のあるものですから、例えば見開きで見渡したときの印象がたいせつです。

したがって、バリエーションを見せるバージョンだと、「なんかいっぱいある!」って印象。統一感を持たせたバージョンだと、「お、かっこいいかも」って印象。そんな感じです。

統一感を持たせたほうが、そのデザインテイストにスッと意識が集中する、といった効果があります。

施工事例の写真をおろそかにすると、比較検討のテーブルに載らない

少し前述しましたが、施工事例を掲載するにあたって最も大切なのは写真です。お施主さまはまず写真を見てイメージを把握します。そこで自分の好き嫌いに照らし合わせて次の情報取得に進むかどうかを決めるのです。写真でつまずくことは、比較検討のテーブルに載らないことを意味します。そのため写真は必ずプロカメラマンに撮ってもらいましょう。

「うちはいい家つくっている自信はあるのになんで問い合わせがないんだろう??」と思ったことはありませんか?もしかしたら、写真を改善するだけで変わるかもしれません。いい家をもっと知っていただく機会を失っているのだとしたら、もったいないことです。

また、写真をちゃんと撮るという行為そのものが、作り手としての愛情を感じます。こういうことは直接聞くことはあまりないと思いますがお施主さまは感じ取っています。取材先で「この写真が素敵で~」というような話はよく聞きます。

例えば、お施主さまにとって性能やデザインのスペックでは甲乙つけがたい工務店を比較検討していたとします。その際、ちゃんときれいな写真で施工事例を紹介している工務店か、スタッフが撮ったと思われるちょっと曲がったり暗かったりする写真で施工事例を紹介している工務店か、どちらが選ばれると思いますか?「愛情を持って自分のところで建てた施工事例をちゃんときれいにわかりやすく紹介しているか」どうか。そこには会社柄もにじみ出てくる、と思います。それはお施主さまにきっと伝わります。

まとめ

さて、というわけで、今回のタイトルは、
資料請求のカタログ・パンフレット=「会社案内」ではない!?「施工事例集」のススメでした。

現場で感じていることをベースに考えて書きましたが、少しでも工務店のみなさまのお役に立てば幸いです。それではまた次回、お会いしましょう。

<次回のテーマ>
第2回【施工事例の取材・撮影・インタビュー】お施主様が知りたいことには労力とコストをかける

【工務店向け】カタログ・パンフレットのデザイン・編集

  【工務店向け】カタログ・パンフレットのデザイン・編集の詳細 | LIFULL HOME’S Business 注文・分譲一戸建て 「施工事例集」「会社案内」など、資料請求で送るカタログ・パンフレットを制作!施工事例の取材・撮影・インタビュー経験豊富なディレクターが対応します。 LIFULL HOME'S Business 注文・分譲一戸建て
  制作の“GENBA-NIN”による「資料請求のカタログ・パンフレットって結局どうすれば?」 | LIFULL HOME’S Business 注文・分譲一戸建て 【全12回コラム】制作の“GENBA-NIN”による「資料請求のカタログ・パンフレットって結局どうすれば?」 LIFULL HOME'S Business 注文・分譲一戸建て




株式会社アドクロ 鶴田 二郎
株式会社アドクロ 鶴田 二郎
工務店とリフォーム会社に特化して活動するクリエイティブディレクター。カタログ・パンフレットをはじめ、雑誌の記事や純広など、広報・広告ツール制作の全工程に携わる。“GENBA-NIN”(※)を自称し、現場目線をたいせつにしたものづくりにこだわる。※GENBA-NIN は株式会社アドクロによる造語です

関連する最新コラム