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第2回【施工事例の取材・撮影・インタビュー】お施主様が知りたいことには労力とコストをかける

施工事例集で施工事例を見せるにあたって最もたいせつなのは写真、と前回述べました。

それでは、プロカメラマンに依頼して写真撮影をするとなったとき、どのようなアングルで撮影すればいいのでしょうか。工務店側の好みで撮ればいいというものではありません。ターゲットとしているお施主様に伝わるかどうか、が重要です。

目次[非表示]

  1. 1.【撮影】メイン写真は、内観?外観?
  2. 2.【撮影】水平・垂直がとれていない写真はダメ?
  3. 3.【撮影】アングルの正解は、正面?斜め?
  4. 4.【インタビュー】お施主様の「生の声」は気づきの連続
  5. 5.【インタビュー】記事制作は読む人の印象に残るよう、ポイントを絞って
  6. 6.【インタビュー】担当者コメントで人柄を知ってもらう
  7. 7.ホームページへの展開を同時に考える

【撮影】メイン写真は、内観?外観?

お施主様が好きそうな空間・デザインをまず考えます。吹抜けのある広々LDKなのか、ダイニングから一段下がったピットリビングなのか、鉄骨階段が伸び上がる大理石の玄関なのか、はたまた2階が1階よりせり出したオーバーハングする個性的な外観デザインなのか。

自社のお施主様のことを想像して、好きになってくれそうな写真をメインにするのが基本です。内観でも外観でも「お施主様が好きそうな写真」を選びましょう。

迷った場合は、多くのお施主様が気になるLDKをメインにするのがいいと思います。お施主様ご家族にご登場いただき、家族団らんやくつろぎのシーンを撮影できればなおよしです。人物が入っていたほうが暮らしをイメージしやすく、読む人の共感を得やすくなります。

そういう意味では別にくつろぎシーンでなくても、お子さんがただ階段を降りてきているところや、奥様がキッチンから出てきたところなどもアリです。

その場合は動きを表現するために、人物が少しブレている感じが自然です。後ろ姿でデッキに座っているだけでも絵になる場合もありますので、ロケーションやご家族の雰囲気に合わせて、「お施主様が好きそうな写真」を工夫して撮影しましょう。

【撮影】水平・垂直がとれていない写真はダメ?

住宅写真は水平・垂直をとるのが基本、というのはみなさんご存じのことと思います。いろいろな意味がありますが、ここでは、水平・垂直がとれていない施工事例写真を見たときに「お施主様がどう感じるか」、という視点で考えてみます。

前提>
気になった工務店を見つけて資料請求をしたら施工事例集が送られてきたのでそれを見ているお施主様。でもなにやら写真が曲がっている??

パターン1>
あれ、なんか写真がガタガタしてない?あんまりかっこいい家がないかも。

パターン2>
窓や柱が斜めなんだけど、施工は大丈夫かな?床とか傾いてたりしないよね?

パターン3>
こんな写真を見込み客に見せる工務店ってどうなんだろ?対応が不安だな。

ちょっとイメージダウンですよね。これから家を建てようと思っている見込み顧客に対して送ってくる写真が曲がっている、っていうのは、やっぱり減点要素だと思います。実際はきちんと施工していても、写真一つで印象が悪くなってしまいます。これで検討離脱されてしまったら、とてももったいないことです。

お金をかけてプロカメラマンに依頼して、水平・垂直のとれた写真をきれいにお見せする、ということを惜しんではいけません。それにちゃんとつくった住まいをちゃんと撮影してお見せする、という行為そのものに、工務店の姿勢が感じられます。

【撮影】アングルの正解は、正面?斜め?

最近はSNSの活況のせいか、正面アングルが流行っています。正方形や縦長方形のトリミングで収まりがいいですし、水平・垂直も強調されてラインがきれい。画角を狭くすれば写っているものに集中できて、印象的なカットにしやすいですね。そのため正面アングルの場合はあまり広角にしすぎずに撮ったほうが、かっこいい写真になることが多いです。

一方、奥行きや広がりを出すなら斜めアングルが適しています。部屋の要素を不足なく画角に取り込めるので、全体のバランスがよい写真になります。また、連続している造作を撮るときも斜めが最適。例えば、6枚引きの障子や一面の壁面収納などですね。

したがって、正面か、斜めか、どっちかが正解、ではなく、「お施主様にどういう印象を持っていただきたいか」を考えてアングルを決めるといいと思います。

【インタビュー】お施主様の「生の声」は気づきの連続

施工事例の撮影をするなら、お施主様が住み始めてから行うのがおすすめです。実際に暮らしてみての感想が聞けるからです。今だから言えること、みたいな話が出てくることもあるので、撮影と同時にインタビューを行って施工事例集の記事づくりに活かしましょう。

ぜひとも聞きたいポイントは以下です。ただ無理に全部聞く必要なありません。むしろそうすると薄ーい内容になりがちです。盛り上がった質問があったらそこをさらに掘り下げて、具体的なお話をたくさん聞き出しましょう。

■お施主様に聞きたい質問項目

注文住宅を考えはじめたきっかけは?
会社探しはどのように?
当工務店に決めた理由

~~プラン関連のことはわかっているでしょうから割愛~~

(間取りや性能面で)住み心地はいかがですか?
思い描いていた暮らしは叶いましたか?
最後に、私どもに一言お願いします

ここで忘れてならないのは、施工事例集は新規の見込み客に渡すもの。したがって、そのお施主様の方々が聞きたいと思われることを代わりに聞く、という姿勢でヒアリングしてください。自分や会社がどう思われているか、みたいな自分たちのことばかりを聞いてはいけません。

また、お施主様へのインタビューは、顧客の潜在ニーズを探るのにも最適です。
「実はそんなことを思っていらしたのですか!」とか、「あの会社さんも検討していたのですか!」とか、「当工務店に決めていただいた理由はそこだったのですね!」などなど。
それらはきっと、今後の経営方針のヒントになることでしょう。

可能であれば外部ライターさんに発注して第三者の目線から取材をすると、そういった話が出てきやすいのでおすすめ。ライターさんなら指定の文字数で記事を書いてくれるので、一石二鳥。コストをかけてしっかりした記事を載せれば、きれいな写真との相乗効果で、雑誌さながらのクオリティの施工事例集を無料でお届けしている、ということになって、印象アップ間違いなしです。

【インタビュー】記事制作は読む人の印象に残るよう、ポイントを絞って

施工事例集の記事制作では紙幅が限られていますので、ポイントを絞って書くことがたいせつです。ヒアリングした内容をまんべんなく書こうとすると、全体的に薄い内容になってしまい、「快適なリビング」「安心の構造」などと、どの施工事例でも言える言葉でまとめざるを得ない状況になりがちです。そうなると読む人にとってはどれも同じような文章なので印象に残りません。

言いたいことは2つ、多くても3つに絞って他は割愛する、くらいのほうが印象に残ります。また、各事例の文章がかぶらなくなるので、次はどんな施工事例なんだ?と、読む人にわくわく感を与えることもできます。

例えば、

施工事例1
ポイント1 オープンキッチンで家族がつながる広々LDK
ポイント2 足触りのいい無垢床だから家族みんなが毎日裸足

施工事例2
ポイント1 玄関から水回りとLDKへアクセスできる回遊動線
ポイント2 ランドリールーム一つで、洗う・干す・しまうが完結
(+ポイント3)シュークロークなど収納も充実させた片付く家

施工事例3
ポイント1 狭小敷地?問題なし!庭代わりの屋上でプール遊び
ポイント2 特注インナーガレージで車も仕事道具も全部ひとまとめ
(+ポイント3)いろんなクロスをじっくり選んで好きに貼り分け!

また、かなり特徴的なポイントやエピソードがあれば一点突破もアリです。そこを気にしているお施主様にはインパクト大です。

例えば、

施工事例4
ポイント1 電気代で儲かった!?太陽光&蓄電池タッグの実力とは?

【インタビュー】担当者コメントで人柄を知ってもらう

担当者のコメントを掲載するのもおすすめです。これは一つに、担当者の顔出しによってお施主様に安心感を与える効果がありますし、さらに、作り手の思いや考えを開示することで、親近感や共感を得るメリットがあります。掲載するならもちろん顔写真は必須。もちろん笑顔。これもできればプロカメラマンに撮ってもらいたいところです。

内容は、お施主様の要望やおっしゃったことに対して、担当者はどのように考え、どのような提案や対応をしたのか、といったこと。一つでもいいので丁寧に掲載すると、人柄が感じられますし、さらには会社柄も想像できて、問い合わせのハードルを下げることにつながります。

できれば、施工事例の取材・撮影・インタビュー日程に合わせて担当者も現場へ赴き、「施工事例写真」「(可能なら)お施主様写真」「担当者写真」、を全て一度に撮影してもらいましょう。さらに同じ日程でライターさんにも来てもらえれば、全ての取材が一日で完了するのでおすすめです。写真も記事も、プロによる統一感のあるクオリティが実現します。

ホームページへの展開を同時に考える

せっかく施工事例を取材したなら、ホームページへの掲載を同時に進めましょう。撮影もばっちり。インタビューもばっちり。担当者のコメントもある。お施主様と担当者の写真もある。要素が全部揃っていれば、ホームページへの展開は容易ですね。

ホームページの場合、冊子のように紙幅の制限がないので、写真も文章もたくさん載せられます。施工事例集では割愛した情報も余すことなく網羅して、盛りだくさんで載せてはいかがでしょうか。御社で注文住宅を検討しているお施主様が見たら、きっと喜んで隅から隅まで読み込むことと思います。

こうして、施工事例集~ホームページに掲載となれば、SNS展開も見えてきますね。せっかくならデザインの統一もしたいな、といった思いが湧いてくるかもしれません。ですがそのへんの考察はまた、別の機会でしてみたいと思います。

さて、というわけで、今回のタイトルは、
【施工事例の取材・撮影・インタビュー】お施主様が知りたいことには労力とコストをかける
でした。

少しでも工務店のみなさまのお役に立てば幸いでございます。
それではまた次回、お会いしましょう。

<次回のテーマ>
第3回【工務店の施工事例集の記事制作】施工事例をもっと「好き」になってもらうには、“ストーリー”がたいせつ

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株式会社アドクロ 鶴田 二郎
株式会社アドクロ 鶴田 二郎
工務店とリフォーム会社に特化して活動するクリエイティブディレクター。カタログ・パンフレットをはじめ、雑誌の記事や純広など、広報・広告ツール制作の全工程に携わる。“GENBA-NIN”(※)を自称し、現場目線をたいせつにしたものづくりにこだわる。※GENBA-NIN は株式会社アドクロによる造語です

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