【住宅会社向け】来場者の満足度を測るためのアンケート設計方法と今すぐ活用できる設問例
モデルハウスや店舗の来場者がどのくらい満足した時間を過ごしたのかを知る満足度アンケートの実施は、自社のサービスや商品がどのように評価されているかを知る有効な方法です。
しかし、アンケートの目的が曖昧になっていたり、実施しても回答率が低かったり、集計したデータを有効活用できなかったりすると、現状の課題を把握できず、満足度向上のための対応ができません。
本記事では、住宅会社の担当者が今すぐ活用できる設問例を挙げながら、適切な質問項目の作り方や結果分析の方法を解説していきます。来場者満足度アンケートで効果を得るための注意点を知り、自社商品のさらなる品質改善やサービス向上につなげてください。
目次[非表示]
- 1.住宅会社にとって来場者満足度アンケートとは何か?
- 1.1.アンケートは顧客とのコミュニケーションツール
- 1.2.顧客ニーズの変化を知る手段
- 2.満足度アンケートの企画段階で外せない4つのポイント
- 2.1.来場者満足度アンケート調査の目的を決める
- 2.2.仮説を立て、質問項目を考えていく
- 2.3.来場者満足度アンケートを実施する対象を絞り込む
- 2.4.下準備は綿密に行う
- 3.住宅会社が今すぐ活用できる設問例と来場者満足度アンケート作成時の注意点
- 3.1.①質問項目の数を少なくする(回答しやすい数の質問項目にする)
- 3.2.②項目1つにつき問いは1つ。できる限り簡潔にする
- 3.3.③自由記述は基本的に使わない
- 3.4.④“評価項目”と“実態項目”を明確にする
- 4.来場者満足度アンケートのサンプルを紹介
- 5.回答率を高めるために、インセンティブの活用も効果的
- 6.来場者満足度アンケート収集後は、分析によるサービス改善が重要
- 6.1.CSポートフォリオ分析
- 6.2.クロス集計分析
- 7.来場者満足度アンケートの設問設計とデータ分析まとめ
住宅会社にとって来場者満足度アンケートとは何か?
来場者満足度アンケートは、その名のとおり来場者の満足度を把握するための調査ですが、満足度を把握する以外のメリットもあることを知っておきましょう。
アンケートは顧客とのコミュニケーションツール
成約につなげるためには顧客のニーズを把握することが大切です。しかし、顧客の信頼を勝ち取り、真のニーズを引き出すのは簡単ではありません。
来場者満足度アンケートの実施は、顧客とのコミュケーションのきっかけになります。対面での対応に加えて、満足度アンケートを実施して来場者との接点を繰り返し持つことで、中長期的な顧客との信頼関係の構築に役立ちます。対面では話しにくいことも、アンケートで正直に答えられる場合もあるでしょう。
また、個々の来場者のニーズを把握することで、次回の案内時は顧客の関心が高い内容から紹介することもできます。さらに、アンケートの結果をすばやく施策に反映できれば、来場者も「自分の意見を聞いてくれる会社だ」と感じ、自社への評価も高まるでしょう。
顧客ニーズの変化を知る手段
顧客の満足度は環境の変化に伴って変わりやすいため、定期的に来場者満足度アンケートを行うほうが効果的です。来場者を案内している方は、商談を進めるうちにニーズの変化を感じたことがあるのではないでしょうか。同じように、自社への評価も顧客との関係性が深まるにつれて変化します。
来場者満足度アンケートを定期的に実施して心理の変化やニーズを掴むことで、適切な来場者対応やマーケティング活動が可能になります。
満足度アンケートの企画段階で外せない4つのポイント
来場者満足度アンケートには満足度の把握以外にもメリットがあることをお伝えしたところで、ここからは実際にアンケート調査をする際の4つのポイントを紹介します。
来場者満足度アンケート調査の目的を決める
アンケート調査は、まず調査の目的を明確にすることが重要です。アンケートによってどのような情報を得たいのか、それを踏まえてどのように活用したいのかを実施前に決めておきましょう。
具体的な調査項目としては、
- 来場者が自社を選んだ理由
- サービスに対する評価
- ターゲット層の理解
などが挙げられますが、単にこれらを把握するだけでは不足しています。
重要なのは質問の意図です。
たとえば、「来場者が気に入っている他社サービスを把握する」「自社サービスの改善ポイントを知る」「中長期的に良好な関係を築くためのヒントを得る」など、アンケートを行うことで「何を得て、何をやりたいのか」「目指すゴールは何か」を明確にしましょう。
仮説を立て、質問項目を考えていく
目的を明確にしたら、目的の達成を阻害している要因を想定しましょう。たとえば、サービスの評価を求める場合はサービスが評価されない理由(価格・品質・競合の多さなど)を想定して質問を作成します。
効果的なアンケートにするためには、仮説を立てることが不可欠。商談や会話などで得られた意見を参考に質問を作成しましょう。
来場者満足度アンケートを実施する対象を絞り込む
調査対象を絞り込むことで、より精度の高いアンケート結果を得られます。以下に挙げる4つの項目を意識して、より具体的な質問を設定したアンケート表を作成しましょう。
結果として、正確性の高いデータを収集できるようになります。
1.満足度アンケートの調査対象とする商材やサービス |
対象を絞り込んだ満足度アンケートが作成できれば、「時期が決まっている」「具体的な金額を知りたい」など確度の高い回答をした顧客からアプローチすることが可能になります。
下準備は綿密に行う
企業によって差はありますが、来場者満足度アンケートの調査企画からアウトプットまで2~3ヶ月で行うことが多いです。過去のアンケート表も参考しながら社内ヒアリングを行い、質問内容を明確にしましょう。文章表現や構成に着目して、来場者が回答しやすいアンケート作成を心がけることが大切です。
住宅会社が今すぐ活用できる設問例と来場者満足度アンケート作成時の注意点
来場者のアンケート回答率を高めるには、回答しやすい工夫も大切です。アンケート作成時には、以下の4点に注意しましょう。
①質問項目の数を少なくする(回答しやすい数の質問項目にする)
質問項目数が多いと得られるデータ量は増えますが、「時間がかかりそう」と感じて回答率が減少したり、回答の精度が低くなってしまう可能性があります。「住宅計画はどの程度まで進んでいるか」「購入予定時期はいつ頃か」「住宅計画の情報源は何か」「来場して最もしたいことは何か」など、15~20問以内で作成しましょう。
②項目1つにつき問いは1つ。できる限り簡潔にする
質問項目に複数の情報を混ぜたり、さまざまな解釈ができる文にすると回答者は悩んでしまいます。項目1つにつき問いは1つを意識し、簡潔な質問文を作成しましょう。また、専門用語や難解な単語の羅列、長文なども回答率を下げる要因となります。顧客視点で質問を作成するよう心がけましょう。
③自由記述は基本的に使わない
自由に記述する形式の質問項目は、お客さまからの率直な意見を聞けるメリットがあります。ただし、回答に時間がかかるため、多用すると回答率の低下につながります。また、お客さまによって回答の範囲が部分的だったり全体的だったりするため、集計に労力がかかります。
自由記述は基本的に使わないものとして、選択式の質問項目を多く設定しましょう。選択式は、下記のように回答項目に幅を持たせることで顧客の気持ちに近い回答が得られます。
1.非常によかった |
④“評価項目”と“実態項目”を明確にする
質のよいデータ収集のポイントは、商品やサービスの満足度を調査する評価項目と、評価に至った要因を調査する実態項目を同時に設定することです。
たとえば、自社商品の評価項目で「非常に不満」と回答した来場者がいたとして、どの側面を見て回答したのかを実態項目(説明が不十分/混雑していた/営業の対応が悪い……)で引き出せれば、今後の改善策として生かすことができます。
来場者満足度アンケートのサンプルを紹介
ここでは住宅会社向けに、住宅展示場の来場者に対して実施する満足度アンケートサンプルをご紹介します。
このアンケートの調査目的は、以下の2つです。
- 住宅建設を検討している人のニーズを把握する
- 次の営業につながるアポイントメントを獲得する
選択肢はシンプルに設定し、来場者が直観的に回答できる質問を増やすことで回答率が高まります。
①本日どのような経緯でイベントのことを知りましたか? |
1.インターネット |
②本日来場された目的を教えてください |
1.完成形を実物で確認するため |
③購入を検討されている方へ質問です。 |
1)モデルハウスを実際に見て、住宅計画の参考になりましたか? 2)モデルハウスのどんな点が参考になりましたか? 3)購入時期はいつ頃をお考えでしょうか? 4)ご予算はいくらでしょうか? |
④新築住宅に関する詳しい資料にご興味はありますか? |
1.ある |
⑤ご連絡先のご記入をお願いいたします。(任意) |
1.名前 ※記載いただいた個人情報につきましては、個人情報保護法に従い厳重に管理し、第三者には提供いたしません。 |
①の質問で展示場を知った経緯を把握し、販促活動の改善に生かします。③の1)と2)の質問で、自社の商品やサービスに対する満足度を把握し、その結果をもとにサービスの改善やアポイントメントの獲得に役立てることができます。
また④⑤の質問で、住宅購入に関する見込み度を図ることができます。最後に個人情報の収集にあたって法令遵守と適切な管理を行うことを明記し、情報の取扱いに注意しましょう。
回答率を高めるために、インセンティブの活用も効果的
しっかりとしたアンケート表を作っても、回答率が低いと十分な結果が得られません。回答率を高めるための手法として、インセンティブ(回答者への謝礼・プレゼント)を用意するのも有効です。
代表的なインセンティブとして、クオカードやギフト券、商品プレゼント、自社サービスの割引特典や限定グッズなどが挙げられます。ギフト券や商品など、発送が前提となっている品物をインセンティブとして選ぶと、記入をためらう実名や住所の回答率が高まる効果も期待できます。
ただし、抽選でインセンティブを送る場合は印象の悪い回答を避ける可能性もあるため、素直な意見が聞けないことがあります。
インセンティブを選ぶ際に注意しておきたいのは、労力とコストです。商品プレゼントの場合は梱包作業を行う人手の確保と発送にかかるコストを考慮します。コストを抑えるために、デジタルギフト券や共通ポイントカードへのポイント付与などを採用するのも一案です。
来場者満足度アンケート収集後は、分析によるサービス改善が重要
来場者満足度アンケートを実施したあとは、データを収集し分析を行うことが重要です。分析に用いられる手法には、因子分析、重回帰分析などがありますが、顧客満足度調査において有効な分析方法は“CSポートフォリオ分析”と“クロス集計分析”といわれています。
CSポートフォリオ分析
来場者の総合的な満足度と項目別の満足度の二つの側面を軸に据え、より関連性の強い面を把握して改善項目を分析する方法です。
①重点改善領域:現状満足度が低い/重要度が高い
②重点維持領域:現状満足度が高い/重要度が高い
③維持領域 :現状満足度が高い/重要度が低い
④改善領域 :現状満足度が低い/重要度が低い
このように、分布位置によって評価項目を判断できます。4点の中で最も着目すべきは①重点改善領域です。自社の商品やサービスにおいて大きな効果や影響を与えていて重要度が高いのに現状の満足度が低い項目を抽出することで、改善計画を立てたり、施策の優先順位を決める判断材料にしましょう。
クロス集計分析
アンケート調査の回答データを、設問をかけ合せて同時に集計することをクロス集計と言います。回答者の年齢や性別、居住地などデモグラフィックと呼ばれる基本属性や満足度別に集計・分析する手法で、アンケート分析の基本手法です。
分析軸ごとに他の層との差異を把握できるのが特長で、たとえば性別と年齢を軸に分析すると、40代男性と40代女性の満足度の違いを把握できます。
さらに、同属性間の好みを比較できるため、各層向けのアプローチを練ったり、今後の顧客の動きを予測したりすることも可能です。単純集計では把握しきれない、精度の高い調査ができるため、お客さまがどの点に対して満足(不満足)であるのかが見え、適切な対処方法を打ち出せます。
来場者満足度アンケートの設問設計とデータ分析まとめ
アンケート調査は来場者満足度の把握だけでなく、顧客との信頼関係構築のツールであり、顧客ニーズを施策に生かすためにも不可欠です。アンケート作成にあたっては社内情報を収集し、適切な目的とターゲットを設定した上で設問を作りましょう。
回答率を高めるためにシンプルな設問とアンケート構成にして、可能であればインセンティブ(回答者への謝礼・プレゼント)をつけて積極的にアンケートに参加してもらえる工夫をします。
来場者満足度アンケート実施後は、データ分析が重要です。重点施策を把握しやすい“CSポートフォリオ分析”や、アンケート分析の基本と言われる“クロス集計分析”がおすすめです。来場者の満足度を正確に把握し、自社商品やサービスの改善や今後の課題を発見できるようにしましょう。
なお、LIFULL HOME’Sでは、顧客満足度を高め、受注率を向上するためのサービスを多数ご紹介しています。ぜひ併せてご参照ください。