VRで住宅イメージをつかむ! 住宅業界と親和性の高い技術の効果
2020年から世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症。いまだに衰えを見せないウイルスの感染拡大防止のため、人々は新しい生活様式に切り替えはじめたのは記憶に新しいところです。
日常生活はもちろん、ビジネスシーンでも感染拡大防止に配慮した対策が求められ、さまざまな企業がこうした変化を受け入れるために、試行錯誤していたのではないでしょうか。
このような状況を受け、最近ではVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)の活用が広がりを見せています。
VRは、まるでその場所にいるかのような、リアルな臨場感を体験できることが大きな特徴。そのため、一般的に知られるようになった当初はエンターテインメント目的で活用されていましたが、現在では、幅広い分野で取り入れられています。
なかでも、住宅業界では積極的な導入が進められており、来客減に悩む企業の大きな力となっています。
本記事では、ビジネスシーンで活用されるVRの概要と、住宅業界がVRを活用するメリットについて解説します。
目次[非表示]
- 1.バーチャル技術の利活用が進む住宅業界
- 2.VR活用のメリットとは?
- 2.1.五感を刺激する
- 2.2.イメージを分かりやすく伝えられる
- 2.3.時間・空間の制約をなくす
- 2.4.集客力を強化する
- 2.5.コスト削減につながる
- 2.6.顧客体験を向上させる
- 2.7.成約率を高める
- 3.まとめ
バーチャル技術の利活用が進む住宅業界
新型コロナウイルス感染症は世界経済に大きな影響を与えました。住宅業界も例外ではありません。感染予防対策を徹底し、安心して住宅づくりを進めていただけるよう奔走したという企業も多いでしょう。
しかし、“ステイホーム”がよしとされるコロナ禍では、どれほど感染予防対策を講じても、安心を与えられているとはいえません。
このような状況を受け、VR活用の場がさらに広がりを見せはじめました。
VRはこれまで時間的・空間的に制約があったさまざまな部分をカバーし、よりリアルにイメージを伝えられる技術です。住宅業界と親和性が高いとされており、今後も住宅業界とは切り離せない技術として、さらなる利活用が予想されます。
以下では、VRについて、混同されがちなAR・MR・SR・xRの解説とともに説明します。
VRとは
VRとは、「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の頭文字を取った言葉で、“仮想現実”を意味します。
人工的に作った仮想空間を現実のように体験できる技術で、CGや360°カメラで撮影した映像を、VR専用のヘッドマウントディスプレイなどを用いて体験することができます。
ARとは
ARとは、「Augmented Reality(オーグメンテッドリアリティ)」の略で、“拡張現実”を意味します。
VRのように仮想の体験ができるという点では同じですが、仮想現実とは異なる意味合いを持ちます。ARはあくまで現実世界がベースとなり、実在する風景に、人工的に作られたバーチャルな情報を重ねて表示するという技術です。
MRとは
MRとは、「Mixed Reality(ミクスドリアリティ)」の略で、“複合現実”を意味します。
MRは、一見ではARと似ていますが、現実世界の形状とバーチャル世界の映像をぴったりと重ね合わせることができる技術です。たとえば、ホログラムを利用者の動きとシンクロさせ、あたかもその場所(現実)に存在するかのように感じさせるような製品もあります。
SRとは
SRとは、「Substitutional Reality(サブスティテューショナルリアリティ)」の略で、“代替現実”を意味します。
SRは、過去の映像を現実世界に投影させ、錯覚させることができる技術です。製品化はまだされていませんが、これから成長が期待される分野です。
xRとは
xRとは、VRやARなどの総称です。
数学の方程式で未知数に“x”を活用するのと同じく、未知数のリアリティという意味になります。つまり、すでに確立している技術だけでなく、今後の発展が期待できる技術も含めた“新しい現実”を指しています。
VRをはじめとしたこれらの技術は、バーチャルと現実の融合度でそれぞれが異なる特徴を持っていますが、いずれの技術も人々の現実の体験を変化させていくことが期待されています。
VR活用のメリットとは?
この章では、VR活用のメリットを紹介します。
五感を刺激する
VRやARでは、現実ではない空間を体験したり、現実にはないモノを見たりという仮想体験ができます。
VRやARの技術には人間の脳を錯覚させる効果があり、五感に対しても刺激を与えるともいわれています。
住宅業界には関わりのない技術のように感じますが、視覚や聴覚を刺激して現実に近い体験ができることは、住宅の建設やリフォームを検討しているお客さまへの訴求に有効な方法です。
特に注文住宅やリフォームなどは、完成するまで実物が見られないという点が不安要素になります。xR技術を用いて完成形をよりリアルに体験できることで、五感を用いた効果的なアプローチが可能になります。
イメージを分かりやすく伝えられる
注文住宅やリフォームは、実際に完成した家を想像しにくいという難点があります。
プロの建築士やデザイナーならば、完成形を具体的にイメージするのは簡単でしょう。しかし、お客さまにとっては設計図やスケッチだけではイメージしきれない部分があります。
イメージ不足は、「完成した後に後悔しないか」「本当に思い描いている住宅ができるのか」という不安にもつながります。
VRは、上述したような五感に訴えかけるリアルな体験ができるため、住宅の完成形やデザインのイメージが湧きやすいというメリットがあります。
時間・空間の制約をなくす
住宅づくりをする際、住宅展示場に足を運んで実際のイメージを膨らませることが一般的です。しかし、住宅展示場は開いている時間にしか見学できません。さらに、最近では感染拡大防止の観点から入場制限や予約制の導入が必要となり、顧客の利便性が低下しています。
また、住宅展示場はどこにでも建てられる訳ではありません。モデルハウス自体も住宅トレンドの変化に合わせ、定期的な建替えも求められます。
VRは、こうした制約をなくし、いつでも・どこでも・どのような住宅でも見ることが可能です。物理的な制約から自由になることで、より多くの顧客に住宅の魅力を伝えられるようになります。
集客力を強化する
VRは、家庭用ゲーム機の発売などもあり一般的に知られるようになっていますが、まだ実際に試したことがあるという人は少ないのではないでしょうか。
顧客向けのサービスとしてVRを活用している企業は目新しく、他社との差別化も図れます。率先して挑戦と改善を繰り返している企業として、ブランディングにも役立つでしょう。集客力の強化も期待できます。
また、VRコンテンツはインターネットと親和性が高いため、ホームページのコンテンツとしても適しています。
コスト削減につながる
住宅展示場やモデルハウスを建設するためには、莫大なコストが必要です。土地の取得代に建設費用、スタッフの人件費といったランニングコストなどがかさみ、費用対効果に合わないという企業も少なくないのではないでしょうか。
住宅展示場をVRで再現すれば、大幅なコスト削減が可能です。新しい設備やデザインのモデルハウスを用意したいときも、仮想空間に設置することができるため、わざわざ建替える必要がありません。
顧客にとっても好きなときに自分のペースで見学できるほか、移動のための交通費も不要になります。
顧客体験を向上させる
VR空間の制作内容によってできる体験は異なりますが、代表的な例としては以下が挙げられます。
- 実生活を想定した等身大の空間を体験できる
- 部屋の広さや天井の高さなどをリアルに感じられる
- ドアを閉める動作など、生活動線を体験できる
- 床材や住宅設備のシミュレーションができる
- 時間帯ごとの日当たりを確認できる
- 選んだ建材や設備の共有がスムーズにできる
より現物に近い完成形を見られるだけでなく、壁や天井の空間を原寸大で把握できます。仮想空間を実際に歩くことができれば、生活動線を確認したり、実際の広さや距離感を体験したりすることができるでしょう。まるでその家に暮らしているかのようなリアルな体験を提供できます。
成約率を高める
住宅づくりは一生のうちでも大きな決断のため、多くの人が慎重に検討しています。たとえば、提案した住宅デザインをVRコンテンツとしてホームページなどに公開すれば、顧客は何度も繰り返して検討できます。
VRなら設備や建具のサイズ感、色など、平面の資料では分かりにくい部分も、よりリアルに感じることが可能になり、成約率のアップも期待できます。
まとめ
2020年から世界的流行がはじまった新型コロナウイルス感染症。感染拡大防止のため、人々は新しい生活様式を受け入れ、ビジネスの場も新たな形でサービスを提供するようになりました。
その一つがVRを活用したサービスです。VRは、住宅の完成形や内部をリアルに見られるツールとして住宅業界での導入が積極的に進められています。
VRの活用は住宅業界との親和性が高く、大きな力となっています。たとえば、住宅のデザイン資料をVRコンテンツにすることで、これまで制約のあった時間的・空間的な難しさを解消して、いつでもどこでもデザインを確認できるようになりました。
また、住宅展示場をバーチャル空間に再現すれば、感染のリスクを気にせずにモデルハウスを見学できるほか、間取りや床材などの原寸をリアルに体験できるようになります。
お客さまとイメージを具体的に共有できれば、認識のズレがあっても早めに修正できるでしょう。リアルなイメージを表現ができるからこそ、お客さまの要望を忠実に再現可能です。
また、AR技術を用いたサービスなら、これまで想像するのが難しかった家具のサイズ感やデザインと住宅のバランスなどを手軽にシミュレーションできます。バーチャル空間で気軽に試せることで、消費者の購買意欲の促進や、満足度向上にもつながると考えられます。
さまざまな用途に活用できるとともに、消費者にとっても大きなメリットが得られるVR。コロナ時代における新しいアプローチの方法となるでしょう。
VR技術を活用したサービスについてはこちらの記事もご参照ください。