リードナーチャリングとは? 効果的な見込み顧客の育成方法と注意点
働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策の一環としてテレワークが浸透し始めるなか、住宅業界の営業活動においても顧客と直接対面する機会が少なくなりつつあります。
訪問による商談や展示会、イベントなどのリアル集客が難しくなり、「商談数が減っている」「なかなか商談までつながらない」と悩みの声を上げる企業も多いのではないでしょうか。
オフラインの営業活動が制限されるなか、獲得した見込み顧客を育成し、顧客化していくためには、“リードナーチャリング”が必要です。
今回はオンライン環境でどのようにリードナーチャリングを行えばよいか、効果的な手法や注意点などについてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.リードナーチャリングとは
- 2.リードナーチャリングが必要な理由
- 3.効果的なリードナーチャリングの手法
- 3.1.コンテンツマーケティング
- 3.2.メール配信
- 3.3.リターゲティング広告
- 3.4.SNS
- 3.5.セミナー・ウェビナー
- 4.リードナーチャリングの注意点
- 4.1.一定の見込み顧客数を確保する必要がある
- 4.2.見込み顧客に提供するコンテンツが必要
- 4.3.オンライン上の行動データを収集する
- 5.ツールの活用でリードナーチャリングを効率化
- 6.まとめ
リードナーチャリングとは
リードナーチャリングとは、リードジェネレーションで獲得した見込み顧客を優良顧客へと育成するマーケティング手法です。
リードナーチャリングには、主に2つの役割があります。
リードナーチャリングの役割
- 商品やサービスへの理解を深めてもらう
- 見込み顧客との信頼関係を構築する
見込み顧客と継続的なコミュニケーションを取ることで購買意欲を育て、次の商談ステップへとつなげることが目的です。
リードジェネレーション・リードクオリフィケーションとの違い
リードナーチャリング、リードジェネレーション、リードクオリフィケーションは、それぞれ目的が異なります。
リードナーチャリングが見込み顧客の育成を目的とするのに対して、リードジェネレーションは見込み顧客の獲得、リードクオリフィケーションは見込み顧客の選別が目的です。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、自社についてまだ知らない潜在層を含む、興味関心のある見込み顧客を獲得することです。見込み顧客獲得後、リードナーチャリングによって購買意欲を高めていきます。
リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは、育成によって購買意欲が高まった見込み顧客を商談につなげることです。リードナーチャリングで育成した後に、確度の高い顧客を選別します。
リードジェネレーションについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
リードナーチャリングが必要な理由
リードナーチャリングが必要な理由には、“顧客接点の多様化”と“購買行動の複雑化”が挙げられます。
インターネットやSNSの普及により、顧客の購買行動は変化しています。
たとえば、住宅に関する課題を解決したいとき、営業担当者に直接聞くのではなく、自らインターネットで情報を収集することが一般的になりました。WebサイトやSNSなど、複数のチャネルで商材をチェックして比較する人も見られます。
とくに検討段階においては、営業担当者から情報を収集する必要性がないことも考えられます。
営業担当者の出番となったときには、すでに会社選定や候補選びが終わっていることもあります。
このような状況で自社を選んでもらうには、闇雲な訪問や電話営業といった一方的な売り方では効果が期待できません。
中長期的なコミュニケーションを通じて顧客の興味を引く情報を提供し、購買意欲を高めていくリードナーチャリングが必要といえます。
効果的なリードナーチャリングの手法
工務店・ビルダーがリードナーチャリングに取り組む際、5つの手法を取り入れてみましょう。
コンテンツマーケティング
自社のWebサイトやブログなどでコンテンツを配信する手法です。
コンテンツマーケティングで期待できる効果
- 自社や自社商材への理解を深めてもらえる
- 有益な情報提供で信頼度アップにつながる
- Webサイトへの流入を増やし問合せにつながる
ユーザーに価値のあるコンテンツを配信してWebサイトに引き込むことで、購買や問合せに導きます。Webサイト内に設置した問合せフォームの利用や資料のダウンロードを促して顧客情報を得る目的もあります。
工務店やビルダーでの活用事例
- 自社Webサイトで施工事例や読み物コンテンツを発信する
- 有益な情報を継続的に発信し信頼関係を構築する
- SEOで流入を増やし問合せや資料請求につなげる
メール配信
獲得した見込み顧客に対してメールを配信する手法です。問合せのお礼メールや定期的なメルマガ配信、ステップメール、セグメントメールなどを配信します。
メール配信で期待できる効果
メールから問合せにつながる
- 顧客の状況に応じたメール配信で購買意欲を高める
- 定期的な情報提供で信頼関係を構築する
- アクションがない顧客に自社を思い出してもらう
全顧客に共通して送るメールのほかにも、顧客の関心やアクションに合わせて送る方法もあります。顧客分析をしながらメールの内容や配信タイミングを検討するのがポイントです。
工務店やビルダーでの活用事例
- 資料請求や問合せ時に取得したメールアドレスにメルマガを配信
- 2週間ごとに情報を提供(新しい物件情報やキャンペーンなどの情報)
- メルマガの開封率に応じてセグメントメールを送信
- 継続的な配信で自社とのつながりを維持する
- 購買意欲が高まった段階で電話や訪問などのアクションにつなげる
リターゲティング広告
一度自社のWebサイトに来訪したユーザーに対してWeb広告を配信する手法です。ユーザー行動に合わせて広告を配信するため、質の高い見込み顧客に効果的にアプローチできます。
リターゲティング広告で期待できる効果
ユーザーの“あと一歩”を後押しできる
- 自社を思い出してもらう
- 再来訪を促す
一度接点を持ったユーザーに対して広告を配信するため、未接触のユーザーよりも再訪問につながりやすい利点があります。
また、検討期間中に再アプローチすることで、自社を思い出してもらう効果も見込めます。ただし、広告コストが発生するため、出稿回数やタイミングについては検討が必要です。
工務店やビルダーでの活用事例
訪問ユーザーのうち、問合せに至ったユーザー以外を対象に配信
- 自社Webサイトへのリンク設定で再訪問を促す
- SNSやコンテンツマーケティングとの組み合わせで集客率をアップ
SNS
SNSを通じて顧客とコミュニケーションを取る手法では、InstagramやTwitterなどの企業アカウントから情報を発信します。
SNS活用で期待できる効果
ブランディング効果
- 親近感を与えられる
- ロイヤリティの向上
SNSはコメント返しやフォローバックなどの機能を活用することにより、ユーザーと直接やりとりしてコミュニケーションを取れるのが利点です。
ユーザー参加型のキャンペーンやプロモーションを実施して、フォロワーの増加やエンゲージメント向上につなげる方法もあります。反応のあったユーザーを分析してWebサイトや問合せに誘導するのがポイントです。
工務店やビルダーでの活用事例
Instagramに自社の施工事例を投稿
- ターゲットが検索しそうなハッシュタグを設定
- 自社と親和性の高いフォロワーを獲得
- 投稿時に位置情報を設定し、エリア内のターゲットにアプローチ
- ただ見るだけのユーザーから、興味関心を持つ優良顧客へと育成
セミナー・ウェビナー
見込み顧客に向けてセミナー・ウェビナーを開催する手法では、商談や成約につながりそうな顧客を優先的にフォローできます。
セミナー・ウェビナーで期待できる効果
有益な情報の提供で購買行動を促す
- 成約につながりやすい質の高い見込み顧客を育成する
- 企業との直接的なコミュニケーションで信頼関係を深める
対面でのやりとりが難しい場合は、ウェビナーという方法を活用できます。企業のSNSやWebサイトで告知すると、集客率のアップにもつながります。
工務店やビルダーでの活用事例
問合せがあったユーザーに対してセミナー・ウェビナーを告知
- 住宅購入の疑問を解決できる有益な情報を提供
- セミナー・ウェビナー参加者に後日電話でのアプローチを実施
- 買いたいタイミングを逃さず成約率を高める
- 共催セミナー・ウェビナーで未開拓の層にアプローチする
リードナーチャリングの注意点
リードナーチャリングを実施するうえでは、データの収集やコンテンツを充実させることなど、知っておきたい注意点もいくつかあります。ここでは、そのうち3つの注意点を解説します。
一定の見込み顧客数を確保する必要がある
リードナーチャリングの対象となる見込み顧客がいなければ、十分な効果が得られません。見込み顧客がいない、あるいは数が少ない場合は、リードジェネレーションによって見込み顧客を獲得する必要があります。
見込み顧客に提供するコンテンツが必要
コンテンツマーケティングを活用する場合は、ユーザーに興味を持ってもらえる有益なコンテンツを用意する必要があります。
「コンテンツの内容に魅力がない」「読みづらく内容が分かりづらい」となると、獲得した見込み顧客の興味を引くことはできません。
顧客との信頼関係を構築するには、ユーザーにとって読みやすく、ためになる良質なコンテンツを提供することが重要です。
自社でコンテンツを制作できるリソースがない場合は、外部に依頼するといった手段も検討しましょう。
オンライン上の行動データを収集する
WebサイトやSNSでユーザーがどのような行動を取っているか、行動データを管理することが重要です。リードナーチャリングでは、顧客の行動や心理状況に合わせた施策を検討します。
そのためには、リードジェネレーションで獲得した見込み顧客情報を分析し、属性や購買意欲などのセグメント化が必要です。オンラインだけでなく、オフラインでのデータも忘れずに収集しましょう。
ツールの活用でリードナーチャリングを効率化
リードナーチャリングを効率的に実施するには、ツールの活用も一つの手段です。
おすすめのツール
営業支援システム
- MA(マーケティングオートメーション)
- オンラインセミナーツール
営業支援システムやMAの活用により、獲得した見込み顧客情報を一元管理できます。
メール配信を自動化できるオートメーション機能が備わったツールを選ぶと、定期的なメルマガ配信やセグメントメールの配信業務の効率化も可能です。
これまで手作業で行っていたリードナーチャリングの業務を削減して、商談や契約といったプロセスに人材を充てられます。
コロナ禍で相談会やイベントを実施できない場合は、オンラインセミナーツールを活用するのもおすすめです。
まとめ
リードナーチャリングは、見込み顧客の購買意欲を高めるために欠かせないプロセスです。ユーザーに有益な情報を提供してコミュニケーションを取ることで信頼関係を構築し、着実に商談化へとつなげることができます。
ただし、リードナーチャリングを実施する際は、一定の見込み顧客数を確保することが前提です。さらに、継続的なコンテンツ配信やユーザーの行動分析も欠かせません。
「コンテンツ作成や配信業務に時間がかかる」「ユーザー分析ができていない」という場合は、各種ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。