マーケティング

ビジュアル訴求は「外観」から「住宅内での暮らしを見せる」見せ方へ

集客策の訴求時に様々な媒体を使っていますが、メインビジュアルは「外観デザイン」が現在も主流を占めています。しかし、徐々に外観デザインを大きく取り上げても集客につながらないという傾向が強く成って来ました。

原因としてはネット情報で様々なデザインが簡単にお客様も各社とも学習できてしまい、お客様としては「もう知っている」「観たことがある」という反応程度に留まっています。商品開発面では簡単に他社の外観デザインを自社商品へ取り込めるようになってきたことで差別化にならないということが原因であろうと推察されています。

また、ローコストメーカーがより上位の外観デザインに似せてモデル住宅を設置し、メインビジュアルに採用することが多くなってきたことなども、住宅会社/工務店の集客策としての訴求に外観デザインを打ち出しても集客が伸びないことに繋がっていると考えられています。

一方でコロナ禍の2年半を経て多くのお客様がお家時間を楽しむようになってきたこと、さらに「災害などのいざという時にはやっぱり大切なのは家族」というような心理的に家庭内への求心力が高まったこともあり、「家族とのささやかな『小さな幸せ』」が無意識の内に求められる傾向がみられます。

また、お客様はコロナ禍の2年半でネット慣れし、画像や動画という視覚情報で理解することが多くなったこともさらに影響し、「住宅内での暮らし」をメインビジュアルに採用する方が明らかにお客様の反応が良い傾向がみられます(「外観メインビジュアル」訴求100:135「住宅内での暮らしを見せる」訴求。集客イベント各12回の来場組数比較)

集客時のメインビジュアルは「外観デザイン」から「住宅内の楽しい暮らし」へのシフトをお勧めします。「外観」から「インテリア」という住宅という「モノ」のどこを見せるかということではなく、「楽しい暮らし」という「コト」をお見せするという視点がポイントです。

目次[非表示]

  1. 1.住宅内の楽しい暮らしが伝わるように見せるための工夫
  2. 2.自社の客層よりワンランク上の暮らしを演出する見せ方
  3. 3.暮らしのシーンで取り上げると来場効果が大きい場所
  4. 4.楽しい暮らしが見えるビジュアル訴求
  5. 5.まとめ

住宅内の楽しい暮らしが伝わるように見せるための工夫

「楽しい暮らし、心豊かな暮らしを見せる」ことが集客策のメインビジュアルのポイントです。暮らしとは「場」「コト」「登場人物」という要素で構成されています。

例えばキッチンという「場」で、家族揃って、学校、保育園での今日の出来事などをおしゃべりしながら料理を作る「コト」を楽しむ、ご夫婦と8才の娘さんと5才の男の子の家族が「登場人物」で、みんなで楽しみながら作って食べるというのが具体的な暮らしのシーンです。

その際のメインビジュアルの画像の作り込みが具体的で詳細であればあるほど「伝わるメインビジュアル」となり、「行ってみたい」というお客様来場行動へのモチベーションアップにつながります。


メインビジュアルの画像の作り込みとは、例えばこの家族4人の服装(ex.エプロンなどのキッチンシーンでの愉しさが湧くものを着用)、料理の内容(ex.ミネストローネとパスタ・ペペロンチーノ、グリーンサラダ等)、調理器具(ex. ミネストローネにはSTAUBのピコ・ココット ラウンド(鋳物ホーロー鍋)、パスタにはCRISTEL(クリステル)のステンレス鍋、など料理を楽しんでいることが伝わる調理器具)、食材も発色の良い新鮮な野菜などを揃えて、細部まで丹念に本気で「家族で料理を楽しむ」内容をセッティングします。

家族4人が集まって料理を楽しみながら作るためには、アイランド型キッチンが最適という事が伝わります。キッチンに続くダイニングテーブルの演出も大切です(セカンドビジュアル)。

ダイニングという「場」で、ワイワイとみんなで作った料理を囲む楽しい「コト」を、家族4人全員「登場人物」で共有する心豊かな時間を具体的に表現してお見せするのがダイニングでの暮らしのシーンです。

ダイニングをセカンドビジュアルとして取り上げることで、キッチンから続く次のシーンとして、暮らしのシーンとしてお客様へ訴求するビジュアル情報に「動き」と「時間の流れ」を与えて、ささやかな小さな幸せという「家族の心豊かな暮らし」が伝わるようにするのも良いでしょう。



その場合のテーブルセッティング(ex.チルウィッチのテーブルランナーとランチョンマット、シンプルで繊細なJars Vuelta の食器、ご夫婦用のローゼンダール・コペンハーゲン・プレミアムのホワイト・ワイングラス、お子様用Sghrのジネットオールドの2色のグラス、クチポールGOAシルバーブラックのカトラリー、ミネストローネの最後の仕上げにチーズを削ってまぶすためのビアンキのグレーター、果物やパンのカッティングボード兼サーブボードのアルテレニョ(オリーブボード)等など本気で「暮らしを楽しむシーン設定」を行います。どこまで本気で「ささやかな小さな幸せ」を生み出す工夫を楽しみながらこのお客様が行ったのかが見えるようにします。

自社の客層よりワンランク上の暮らしを演出する見せ方

現在の建築資材高騰から価格上昇期にある住宅市場では従来の客層よりも中高級な住宅を求める客層が入り混ざって来場される場面が多くなっています。

一般的にこのような状況下では「従来客層」の対応では、より安価で建てられる住宅会社/工務店との比較になることが多く苦戦を強いられる場面が多くみられます。むしろ中高級な住宅を求める客層への対応を強化する方が価格競争力も相対的に高く、狙いたい客層です。

この客層を引き寄せるには特に暮らしのシーンの作り込みが重要です。暮らしのシーンでづくりについて前述のような「コト」を楽しむ際の服装、調理器具、テーブルセッティング、食器、カトラリーなどのグレード設定でより中高級な住宅を求める客層を狙うことが可能になります。

想定家族モデルも35才前後のご夫婦、8才、5才のお子様という家族設定から、40才前後のご夫婦と13才、10才のお子様というように家族設定もやや引き上げます。

このようにちょっとした工夫で来場組数と客質をコントロールすることも可能です。

暮らしのシーンで取り上げると来場効果が大きい場所

顕在化しているお客様の要求の大半は、現在の暮らしへの不満解消です。もちろんこれへの対応は当たり前のことです。だからと言ってこうした暮らしのマイナス要素を解消した部位をメインビジュアルの暮らしのシーンに取り上げても不発に終わることが多く、特に価格が伸びる客層のご来場はあまり期待できません。

集客効果を上げるためには、お客様が気づいていないが触発されると目覚める、「ささやかな小さな幸せ」「心豊かな暮らし」を提示することが効果的です。


〈取り上げると集客効果が大きい部位〉

  • リビング
  • キッチン
  • ダイニング
  • テラス

この中で特にテラスはどの会社もこれを取り上げるシーンは、「バーベキュー」ですから異なる楽しみ方を取り上げます。テラスのテーブルで家族で一緒に作ったサンドイッチやおにぎりを青空の下で食べるという「日常のささやかな幸せ」のシーンです。

これに対してバーベキューはイベント的な性格があり、やや非日常のシーンですからちょっとニュアンスが異なります。他社との差別化のためにも可能な限り「日常のささやかな幸せ」のシーンを設定することをお勧めします。

〈楽しい子育ての演出をするなら〉

子ども部屋
フリースタディーエリア

〈夜勤がある看護師の奥様等〉

主寝室
良質な睡眠の提供で疲れを取るための工夫を見える化して設定します。

楽しい暮らしが見えるビジュアル訴求

住宅という「モノ」を受注するためにお客様が得られるメリットを「日常のささやかな幸せ」のシーンや「心豊かな暮らし」のシーンという暮らしの場面をビジュアル訴求することを前面に押し出します。

従来の温熱環境性能、耐震性能、外観デザインという「モノ」の特長訴求では集客は見込めない時代です。

自動車業界では40年ぐらい前に活発だった他社差別化の性能アップ競争は終焉しましたが住宅業界ではいまだに性能アップ(耐震、温熱環境、空気環境等)を主眼においている会社が多くあります。

本来は「こういう暮らしがしたいからそれを支える構造/工法」という縁の下の力持ちのはずの部分をクローズアップし過ぎています。

それは住宅会社/工務店が「お客様の暮らしを中心に考える」ことよりも「自社のモノとしての住宅を訴求したいから」、あるいは「競合他社対策中心にハードの差別化を考える」というフォーカスする対象を誤っているために起こっている現象とも言えます。

注文住宅ですから「お客様の暮らしを中心に考える」ことに徹し、「楽しい暮らしが見えるビジュアル訴求」の工夫を積み重ねて住宅を耐久消費材の購入から暮らしへの投資へと導き、結果としては他社とは異なる角度の訴求で集客を目指すことの方が効果的です。

まとめ

個々のお客様の「ささやかな小さな幸せ」の集合体が住宅です。お客様がご自身の「ささやかな小さな幸せ」に気づいていただくきっかけとしての、「住宅内の暮らしを見せる」ビジュアル訴求の集客策は効果的です。

従来の外観デザイン中心のビジュアル訴求、住宅のハード訴求中心であった内容を、思い切って「住宅内の楽しい暮らし、心豊かな暮らしをお見せする」暮らし視点のビジュアル訴求中心の集客訴求内容への変更をお勧めします。


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株式会社ハウジングラボ 松尾俊朗
株式会社ハウジングラボ 松尾俊朗
松下電工勤務で木造軸組改良工法(木と鉄の混構造/テクノストラクチャー工法)をはじめ様々な注文住宅事業形成手法を開発。ハウジングラボ設立後、様々な形態の161社の注文住宅事業サポートを実施。幅広い視点で各社の強みを活かした各社独自の注文住宅事業へナビゲート。

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