営業は“質問スキル” を磨け! 新築提案時に顧客ニーズを引き出す3つの質問集
「優秀な営業担当者はセールストークが上手」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。もちろん、自社商品やサービスの魅力を分かりやすく伝えるためのトーク力は大切です。
一方で、一生に一度あるかないかともいわれる住宅の購入は、お客さまにとって分からないことだらけの世界。多くの方が期待とともに不安を抱いているでしょう。
そのため、成約に結び付けられる人は、トーク力だけでなく、お客さまの不安を払拭するスキルも長けています。
お客さまの本心にある不安を引き出すには、上手な“質問”を投げかけることが大切です。
本記事では、住宅営業における質問スキルの必要性や、活用できる質問例をケースごとに解説します。
目次[非表示]
- 1.なぜ住宅営業に質問スキルが必要?
- 2.住宅営業で活用できる3つの質問集
- 2.1.1.現状の課題を把握したいとき
- 2.2.2.潜在ニーズを引き出したいとき
- 2.3.3.お客さまに意思決定を促すとき
- 3.“共感”で信頼関係を築くことも大切
- 4.まとめ
なぜ住宅営業に質問スキルが必要?
お客さまと接していると、「本当にこの間取りでいいのか悩んでいる」「住宅ローンの返済が心配」など、さまざまな悩み・不安の声を耳にするのではないでしょうか。
しかし、そういった不安の種をお客さまがすべて自覚しているとは限りません。
「何を聞けばよいか分からない」「分からないことが何なのか分からない」といったように、漠然とした不安を抱えつつも、うまく言葉で伝えられないお客さまもいらっしゃるでしょう。
こうしたお客さまの不安や課題、ニーズを引き出し、お客さまが心から望む住宅像を提案するのが営業担当者の役割でもあります。
適切な質問を投げかけることで、お客さま自身が「実は知りたかったこと」や「引っかかっていること」などが明らかになり、お客さまの潜在ニーズを引き出すことにつながります。
話すことに全力投球するのではなく、少し視点を変えて、「お客さまを知ること」を意識するのも大切です。
住宅営業で活用できる3つの質問集
優秀な営業担当者は、お客さまに適切な質問を投げかけています。
ここでは、現場で活用できる具体的な質問例を3つ紹介します。知りたい情報や目的に応じて、質問を工夫しましょう。
1.現状の課題を把握したいとき
お客さまにとっての最適な提案をするには、改善が必要な現状の課題をヒアリングする必要があります。
- 現在のお住まいで不便・気掛かりなことはありますか?
- 生活するうえで「もっとこうだったら」と感じている点はありますか?
- 普段の家事で不便だと感じている点はありますか?
- 周辺環境や立地にご不満はありますか?
「はい」か「いいえ」の回答ではなく、上記のように具体的な内容を聞き出せる質問が有効です。また、お客さまの回答をそのまま受け入れるのはなく、「なぜ」「何」の質問を重ねて、深堀りしていくことを意識しましょう。
- どのような理由でそう思われるのですか?
- 例えば、どのようなことでしょうか?
ただし、直球すぎる質問は失礼に感じられる可能性もあります。
相手が答えやすいように、「○○という方も多いのですが、そのようなことはございますか?」といったように、質問の仕方を工夫することもポイントです。
2.潜在ニーズを引き出したいとき
現状についてヒアリングしたあとは、そのなかに潜んでいるニーズを引き出す必要があります。
- 「毎日の洗濯が不便」とおっしゃられましたが、どうなると便利に感じられるでしょうか?
- ○○(設備や間取りについて)を配置したいのは、どのような目的があるのでしょうか?
- 部屋数を増やしたいと伺いましたが、将来ご家族さまが増えるご予定ですか?
これらの質問は一例ですが、回答の内容によって適した提案は異なります。
例として、「洗濯が不便」という課題を見てみましょう。不便という課題のなかには、「洗濯室が狭い」「洗濯室とベランダの距離が遠い」「洗濯機とお風呂場が一緒でプライバシーが気になる」など、さまざまな本音が隠れています。
こうした細かな潜在ニーズは、その後提案する設計や施工プランにも影響します。お客さまが自身で気付いていない可能性もあるため、最初は自由に回答できる広い範囲の質問を投げかけ、答えの幅を狭くしていくのがポイントです。
3.お客さまに意思決定を促すとき
お客さまがどれくらい購入意思があるのかを確かめたいときには以下のような質問が有効です。
- もし現在の家賃から○○万円ほどの差額であれば、マイホームを購入したいですか?
- 当社の住宅で魅力的と感じるところはありましたか?
- 今後住宅づくりを進めるうえで、気になる点、確認しておきたい点はありますか?
- 提案した住宅にお住まいになったら、どのような暮らしができると思いますか?
このように「もし~」を使った仮定の質問を活用することで、住宅づくりをリアルにイメージすることができます。
一方的に意見を伝えるのではなく、相手の考え方を尊重することが大切です。お客さまが困っていると感じたときには、「すぐに決めるのは難しいですよね」といった配慮の言葉を添えることも忘れないようにしましょう。
なお、「今買うべきです」「早い方がいいですよ」といった言葉は、“押し売り”と感じられる可能性があります。決めるのはお客さまという姿勢を意識しましょう。
“共感”で信頼関係を築くことも大切
質問を重ねて本音を引き出すには、お客さまとの信頼関係が不可欠です。
なぜなら、営業担当から一方的に「なぜですか」「何ですか」などと質問攻めをされると、うんざりされる可能性があるためです。なかでも収入や現在の住まいなどは、「初対面の人には話しにくい」と感じるお客さまもいらっしゃるでしょう。
お客さまが話しやすい環境をつくるには、信頼関係を構築するステップが大切です。
ただ質問を繰り返すのではなく、共感を示すワードを織り交ぜて、信頼を深めるとよいでしょう。
- そうですよね。実は自分も住宅購入で同じ経験をしたことがあります。
- 最近は共働きの方も増えているので、同じような悩みを持たれる方が多くいらっしゃいます。
- みなさん最初はそうおっしゃられることが多いです。
- 初めての住宅づくりは分からないことだらけで不安になりますよね。
このように、自分の話やほかの人の話を織り交ぜる手法が効果的です。お客さまの不安や悩みに共感を示すことで、心を開いてもらえるようになります。初回接客の緊張をほぐすためにも、効果的に取り入れましょう。
まとめ
住宅営業は、巧みなセールストークだけで成約が取れるとは限りません。
最適な提案をするためには、お客さまの不安を払拭し、課題やニーズを引き出す質問スキルが必要です。
「なぜ」「どうして」といった質問をうまく活用することで、言葉の裏に隠れた潜在ニーズを引き出すことができます。購入意思を確認したいときには仮定の質問も有効です。
ただし、質問に本音で答えてもらうためには、お客さまとの信頼関係が大切です。
「失礼な質問をされる」「質問ばかりで事務的に感じる」と思われないよう、ときには自分やほかの人の話・意見を織り交ぜましょう。共感を示してお客さまに寄り添うことで、信頼につながります。
また、お客さまから答えてもらった内容については、次回の提案時に失念することのないようしっかり記録しておくことも大切です。顧客管理に関してはこちらのページもご参照ください。