営業活動におけるスクリーニングとは? 商談をスムーズに成功させる方法
工務店やビルダーでの営業活動において、「アポイントメントを獲得したけれど、成約まで至らなかった」「アポイントメントを獲得したものの、訪問したら3分で帰されてしまった」といった失敗を経験したことはないでしょうか。
顧客リストから無作為にアプローチするだけでは、効果的な営業活動はできません。見込み顧客を見極めてフォローしたり、アプローチのタイミングを計ったりするには、“スクリーニング”の実施が必要です。
成約につながりそうな顧客を見極めて選別することで、アポイントメント獲得や商談成功につながりやすくなります。今回は、スクリーニングとは何か、目的や実施のポイントとともに解説します。
目次[非表示]
- 1.スクリーニングとは
- 2.営業活動でスクリーニングを実施する方法
- 2.1.市場を把握する
- 2.2.過去のデータから指標を立てる
- 2.3.顧客ニーズやロイヤリティを把握する
- 2.3.1.NPS(Net Promoter Score)
- 2.3.2.LTV(Life Time Value)
- 2.4.“BANT”を使った事前のヒアリングがポイント
- 2.4.1.Budget(予算)
- 2.4.2.Authority(決裁権)
- 2.4.3.Need(必要性)
- 2.4.4.Timeframe(導入時期)
- 3.スクリーニングにはツールの活用が効果的
- 4.まとめ
スクリーニングとは
スクリーニングとは、営業活動でアポイントメントを獲得する前に顧客リストの属性を選別して振り分けることです。優良な見込み顧客を見つけ出し、フォローやアプローチのタイミングを計る目的があります。
スクリーニングでの選別例
- 成果につなげることが難しそうな顧客
- 今すぐアプローチしたほうがよい顧客
- 長期的なフォローが必要な顧客
営業活動において、問合せや資料請求があった顧客にテレフォンアポイントメントを行うという流れが一般的です。しかし、どの程度の購買意欲があるかは、顧客によってさまざまです。闇雲に多くのアポイントメントを獲得したとしても、商談で成約につながるとは限りません。
スクリーニングを実施することで、アポイントメント獲得の必要性が高い顧客とそうでない顧客を洗い出し、優先順位を付けて営業活動を行えます。成約につながりそうな顧客に絞って訪問営業の担当者につなげられるため、商談を成功に導きやすくなります。
営業活動でスクリーニングを実施する方法
適切にスクリーニングを行うには、ペルソナの設定や過去の受失注分析により、社内で深く追ったほうがよい顧客とそうでない顧客の判断基準を明確化しておく必要があります。
ここでは、スクリーニングを実施する際の前段階として必要な市場の把握、スクリーニングを行う際の指標の立て方などを見ていきましょう。
市場を把握する
住宅業界には競合他社が多数存在します。市場の状況を把握することで、自社のターゲットを見極めスクリーニングが行いやすくなります。
まずは市場の傾向やニーズ、競合他社の商品・サービスなどを調査して、現状を把握します。その後、数値化されたデータを基に、自社に興味を持ってもらえそうな層、自社を利用する目的などを分析することが重要です。商談につなげる顧客かどうかの判断基準となります。
過去のデータから指標を立てる
過去の営業データを分析することで、根拠に基づいた選別が可能になります。
指標を立てる際に活用できるデータ例
- 顧客にどのようなニーズがあるのか
- どのような顧客が成約につながっているのか
- 商談数に対して何件の成約を獲得しているのか
営業データを分析するには、顧客管理システムや営業管理システムの活用が有効です。
システムの活用により、「どのくらいの期間で提案開始から成約に至ったか」という具体的な数値の可視化、「成約時に決裁者が参加しているか」という情報の確認ができます。これらのデータを基に、見込み度の高さや成約へのつながりやすさなどを判断する指標を立てましょう。
顧客ニーズやロイヤリティを把握する
スクリーニングでは、顧客ニーズを把握することも欠かせません。顧客の購買傾向や競合他社との違い、売り上げ状況などから分析を実施します。
また、企業やブランドに対するロイヤリティ(愛着や信頼度合い)を図ることも重要です。ロイヤリティが高い顧客は、上位サービスへの乗り換えや追加の購入などを見込みやすくなります。ロイヤリティを図るにはNPS、LTVの計測が有効です。
NPS(Net Promoter Score)
「顧客推奨度」=顧客が企業や商品・サービスに対してどの程度愛着心や信頼を持っているかを判断する指標。
LTV(Life Time Value)
「顧客生涯価値」=顧客が商品・サービスに対してもたらす利益の総額を算出した数値。
顧客のロイヤリティを含めて属性を振り分けることで、より精度の高いスクリーニングにつながります。
“BANT”を使った事前のヒアリングがポイント
スクリーニングを行った際に、以下のような問題が起こるケースがあります。
- 興味があるはずなのに商談がスムーズに進まない
- 購買意欲があるはずなのに断られてしまった
このような問題を防ぐには、事前にヒアリングする内容を整理しておくことが大切です。どのような提案が効果的か、提案に対してどのようなハードルがあるかを予測・判断できます。
ヒアリングの際は、“BANT”と呼ばれる手法を活用し、顧客の意見を聞き出すことで、スクリーニングに役立てられます。
顧客から聞き出すこと
- Budget(予算)
- Authority(決裁権)
- Need(必要性)
- Timeframe(導入時期)
Budget(予算)
住宅購入のためにどの程度の予算があるのかを聞き出します。希望予算を事前に確認しておくことで、予算不足による商談失敗を防ぐことが目的です。
聞き出し方の例
- 「○○万円台くらいでお考えでしょうか」
- 「○○万円よりも以下、またはそれ以上でお考えでしょうか」
具体的な金額を聞き出しづらい場合は、お客さまに最適な提案をするために必要ということを伝えたうえで聞いてみましょう。
Authority(決裁権)
住宅購入の決裁者を確認します。夫婦のどちらか、もしくは親が判断するのかなどを会話のなかで聞き出します。
聞き出し方の例
- 「ご契約いただける場合には、どのような流れになりそうでしょうか」
- 「今回の件について、どなたへの確認が必要になりますでしょうか」
電話口の方が決裁者ではない場合は、「話した内容を決裁者にどのように伝えるのか」といった点も確認が必要です。
Need(必要性)
顧客に自社と契約する必要性があるか、単に興味があり情報収集を行っているのかを判断します。ヒアリングにより具体的な課題や潜在的なニーズ、現状を深掘りして、顧客の緊急度や自社商材の必要性を引き出すことがポイントです。
聞き出し方の例
- 「他社さまのサービスも検討されていらっしゃいますか」
- 「具体的には、○○にお悩みということでしょうか」
Timeframe(導入時期)
いつまでに購入するのか、購入の予定時期を確認します。
導入時期を確認しないまま商談に移ると、「まだ決めていない」「ほかの会社も検討したい」といわれるケースがあります。
情報収集で終わらせたいのか、本格的に検討しているのかを判断するために、購入スケジュールについてヒアリングすることが大切です。
聞き出し方の例
- 「いつまでに購入したいといったご希望はございますか」
- 「今回、お客さまはどのようなスケジュールをお考えでしょうか」
ヒアリングする際は、なぜそのスケジュールになるのかという理由も聞き出しておくことで、商談時により適切な提案や進行が可能になります。
スクリーニングにはツールの活用が効果的
スクリーニングを実施する際は、営業活動や顧客情報などのデータを一元管理できるツールの活用が有効です。主に、顧客管理システムや営業管理システムなどが挙げられます。
これらツールの活用によって精度の高いスクリーニングを実施できます。また、カタログ請求やイベントで入手した顧客情報の管理から、顧客へ住宅を引き渡し後の定期点検まで、一貫して丁寧な顧客フォロー体制を実現できます。
「スクリーニングがうまくいかない」「顧客分析が十分にできていない」という場合は、ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
商談を成功させるためには事前のスクリーニングを十分に行うことが重要です。
市場やニーズを踏まえて顧客分析を行うことで、スクリーニングの判断基準を明確化できます。
営業活動においては、BANTを用いた事前のヒアリングも取り入れましょう。ヒアリングは、顧客の関心度合いやニーズを見極めるだけでなく、課題解決の緊急度や自社商材の必要性を把握するためにも重要なプロセスです。
精度の高い効果的なスクリーニングを実施するために、顧客分析に役立つツールを活用してみてはいかがでしょうか。