コロナ禍の住まいはどう変わる? テレワークを快適にする間取りのアイデア
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、自宅での過ごし方や働き方に変化が見られています。たとえば、自宅で仕事を行うテレワークやリモートワークの導入拡大が挙げられます。
住まいの一部をワークスペースにする場合、「十分なスペースを確保できない」「家族の話し声や生活音が気になって集中できない」などの課題が生まれやすく、適切に仕事ができる環境ではないと悩む方も多いのではないでしょうか。
今後、テレワークのさらなる一般化が予想されるため、工務店やビルダーの営業活動においてもテレワークに対応できる快適な住まいの提案が求められます。そこで、この記事ではお客さまの新たな生活スタイルや働き方に対応するテレワークに適した間取りのアイデアを紹介します。
(出典:厚生労働省『新型コロナウイルス感染拡大とテレワーク』)
目次[非表示]
- 1.テレワークで住まいのニーズはどう変わる?
- 2.テレワークを快適にする間取りのアイデア
- 3.テレワークに適した間取りのポイント
- 3.1.オープンスペースには壁向きのデスクを配置する
- 3.2.書類・資料の保管場所を用意する
- 3.3.窓や吹き抜けを取り入れる
- 3.4.ご家族のライフスタイルを考慮する
- 4.まとめ
テレワークで住まいのニーズはどう変わる?
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、多くの企業がテレワークを推進するなか、住まいに対するニーズも変化しています。
しかし、現在の住まいがテレワークを想定せずに建てられた物件である場合、以下のような悩みを持つことがあります。
テレワークで発生しやすい悩み
- パソコンや事務用品を収納できるスペースがない
- 生活音が気になり集中できない
- 小さい子どもに作業を邪魔されてしまう
- Web会議に話し声が入らないか不安
- オン・オフの切り替えが難しい
ワークスペースの確保といった物理的な問題以外に、気持ちの面でも仕事とプライベートの切り替えが難しい点がテレワークでよくある悩みではないでしょうか。
これからの住宅には、“生活する場所”としてだけでなく、“働く場所”としても機能するように間取りを工夫することが求められます。
テレワークを快適にする間取りのアイデア
テレワークを快適にするといっても、“快適”の定義は人によって異なります。ここでは、自宅にワークスペースを確保する際のアイデアやそれによって期待できる効果について解説します。
独立したコンパクトな個室をつくる
リビングや寝室で仕事をしている場合、たとえ周囲が静かでも仕事モードへの切り替えが難しいという方もいるのではないでしょうか。独立したコンパクトな個室をつくることで、テレワークで気になりがちな生活音やテレビの誘惑などから離れ、仕事に集中できます。
コンパクトな個室のワークスペースを設置するメリット
- 周囲の音や視線をシャットアウトできる
- 気が散ることなく仕事に集中できる
- Web上の会議や商談時に家族の声や映り込みを防げる
- 仕事と生活の切り分けができる
- パソコンや書類をまとめて保管できる
住宅内に完全な個室を設けるのが難しい場合には、部屋の一角やウォークインクローゼットの一角にワークスペースをつくるのも一つの方法です。
リビングダイニングの一角にワークスペースをつくる
家事と両立して仕事を進めたい場合は、リビングダイニング(LDK)の一角に壁のないオープンな間取りのワークスペースをつくるという方法もあります。
LDKの一角ワークスペースにするメリット
- リビングにいる子どもを見守りながら仕事ができる
- 家事をする際の動線がスムーズ
- 省スペースでテレワーク環境をつくることができる
生活の拠点となるリビングダイニングにワークスペースを設置することで、家族の様子をつねにチェックできます。また、料理や洗濯などの“ながら家事”もしやすいため、とくに子育て家族に向いているといえます。
廊下・階段下にワークスペースをつくる
個室スペースを設けることができない場合には、2階の廊下や階段下などにワークスペースを設けるという手段もあります。廊下や階段下は単なる通り道として捉えがちですが、工夫次第で仕事ができる環境を整えられます。
たとえば、廊下のスペースを広めに確保してデスクを造作したり、階段下のデッドスペースを有効活用したりといった方法です。
廊下・階段下にワークスペースを設置するメリット
- プライバシーを守りながらも家族の行動を見守れる
- 個室を用意せずにスペースを有効活用できる
生活の拠点となるリビングダイニングから空間を分けることで、オン・オフを切り替えて仕事を進められます。「集中できる仕事場が欲しいけれど、個室を増やす余裕がない」といった場合に活用できるアイデアです。
テレワークに適した間取りのポイント
テレワークに適した間取りを提案する際には、家族のライフスタイルに合わせることも重視したいポイントです。
オープンスペースには壁向きのデスクを配置する
リビングダイニングの一角にワークスペースを配置する場合、家族が生活をするなかで仕事をしなくてはなりません。
家族の動作やテレビなどが目に入るという問題は壁向きにデスクを配置することで解決できます。背後の気配が気になる場合には仕切り用の壁やパーティションを設けるといった手段もあります。
書類・資料の保管場所を用意する
業務を行うためには、書類や資料などを保管しておくスペースも必要です。個室を設ける場合は、ドアに鍵を付けることで大切な書類や資料を安全に保管できます。
リビングダイニングや廊下など、家族が自由に行き来できる場所にワークスペースを設ける場合は、収納棚を造作する、キャビネットを置くスペースを確保するなどの方法を提案しましょう。子どもやペットのいたずらによって書類が汚れたり、紛失したりするのを防げます。
窓や吹き抜けを取り入れる
壁に囲まれた個室や廊下・階段下をワークスペースにする場合、閉塞感を覚える方もいます。テレワークによって自宅で過ごす時間が長くなるからこそ、外の空気を感じられる工夫も必要です。
狭いスペースであっても、窓や吹き抜けを上手に取り入れることで開放感を得られるほか、空気の入れ替えもできます。外の風景を眺められる設計にすると、適度なリフレッシュにもつながります。自宅で快適にテレワークを行うために、明るく開放的な空間を提案しましょう。
ご家族のライフスタイルを考慮する
快適なテレワーク環境は、ご家族のライフスタイルによっても異なります。夫婦どちらもテレワークをしている場合や小さなお子さまがいる場合など、それぞれのご家族が求めるニーズに合わせた環境づくりが必要です。
たとえば、平日の夜間や土日などご家族がいる時間に仕事をすることが多いのであれば、個室またはパーティション、カーテンで仕切った半個室を設ける方法が適しています。
反対に、自分以外誰もいない時間帯にテレワークを行うという方の場合、リビングダイニングの一角をワークスペースにしても、ご家族の話し声や動作を気にすることなく仕事ができます。
ご家族のライフスタイルと、「個室で集中したい」「子どもの面倒を見ながら仕事をしたい」といった希望の両方を考慮した間取りを提案しましょう。
まとめ
ご家族との生活を大切にしながら、自宅で効率よく仕事をするには住まいの中に快適なテレワーク環境を整えることが必要です。
快適なテレワーク環境は、一人ひとり、またはご家族のライフスタイルによっても異なります。テレワーク環境を備えた住宅提案をする際は、お客さま本人とそのご家族の希望やライフスタイルを丁寧にヒアリングし、快適な間取りを提案しましょう。