貴重な機会を逃さない!本音を引き出すヒアリング方法
新築でもリフォームでも同じことですが、契約をたくさん上げていてる営業社員は、お客さまの本音を早い段階で聞き出すことに長けています。
「営業は聞き上手になれ」とよく言われますが、聞き上手になるためにはこちら側がうまく仕掛けなくては話になりません。お客さまが気持ちよく喋り出すためには、営業がそのような環境を作り出すのです。
今回のコラムはこの環境の作り出し方などに関して具体的に解説していきます。
目次[非表示]
- 1.お客さまはなぜ本音を話さないのか?
- 2.こんなヒアリングをしよう!
- 3.ここを見逃すな!
- 4.応酬話法のテクニック
- 5.まとめ
お客さまはなぜ本音を話さないのか?
本音を話してくれない理由がわかれば、営業は非常にやりやすくなります。本音を出さない理由を分析して、その阻害要因を取り除く対応を考えていきましょう。
①初対面で知らない人だから
住宅営業だけではなく一般論として当然の話です。これをクリアするには接触する回数を増やすしかありません。直接会う、Web 面談をする、手紙を書く、電話をかける、メールを送る、何でも構いません。こうした回数が多ければ多いほど、本音を聞き出せる確率は高まっていきます。
② お金の話をしなくてはならないから
全く知らない赤の他人に懐具合の話をするのですから、本音を話さないのは当たり前でしょう。最も大事なことは、住宅の資金計画に対して詳しい知識があると思ってもらえるかどうかになります。
少し前の話です。
展示場に来場したある銀行勤務の方が、若い営業マンを試したことがありました。
「今日の日経平均っていくらぐらいだったかな・・・」
この質問に対して見当外れな答えを営業がしたのですが、この銀行員の方は見学をそそくさと切り上げて展示場を後にしました。
これは、ご本人から聞いた話です。
そんなことも知らない人間が、お客さまに対して資金計画を語るなどちゃんちゃらおかしい、ということでしょうね。
③営業社員に食いつかれそうだから
展示場来場時にアンケート記入をお客さまにお願いするでしょう。まるっきりでたらめを書く人はほぼいませんので、正直に住所氏名を申告すると思われます。ただ、住所氏名などは正直に書くものの、営業社員の素性が全くわからないので、家づくり計画に関する本音をペラペラとしゃべってしまうのは抵抗があるでしょう。
「すぐに家を建てたいのです」
こう本音を漏らしたばかりに自宅に押しかけられたら、たまったものではありません。住宅展示場でアンケートに記入すると、営業が接触してきて鬱陶しいという声をよく聞きます。営業ですから接触しないわけにはいかないのですが、お客さまから本音を聞き出すためにもガツガツ突っ込んでいくのはやめましょう。
※某現場見学会会場 お客さまは一定の警戒心をもってやってきます
こんなヒアリングをしよう!
ヒアリングのテクニックは色々とありますが、その中の一つをご紹介しましょう。
①「ご自宅で不便だなって感じるところはありますか?」
②「ご自宅のキッチンで不便だなって感じるところはありますか?」
この2つの質問の違いは分かりますか。
2つとも今住んいでる自宅で困っているところをヒアリングしているのですが①は範囲を絞らず全体的に聞いています。これに対して②はキッチンに絞って話を聞いています。
お客さまが答えやすいのは明らかに②となるでしょう。
①の質問では何から答えていいのか戸惑ってしまうのですが、②のように絞り込んで質問をされると問題点を早く見つけられるのです。
このようにヒアリングをする時には、あえてざっくり聞くという方法もありますが、具体的に的を絞ってヒアリングするとお客さまから話を引き出しやすくなります。
ここを見逃すな!
展示場接客に関するDVD4巻組を私は以前制作したことがあります。その中では子役も含めた役者5人に出演してもらい、展示場接客で注意したい様々なシーンを撮影しました。そのトップシーンでこんな場面を撮りました。
営業「いらっしゃいませ」
奥さま「このリビングは何畳ぐらいあるのですか?」
営業「大体20畳ほどになります」
ご主人「(呟くように独り言)天井が高くていいな・・・」
30秒にも満たないシーンだったのですが、私は役者さんにこのようなセリフを言ってもらいました。そして、このシーンが終わった後に私が画面に登場し、次のような説明を2分ほどしています。
「リビングの広さを奥さまが聞きましたが、私から言わせればこれはある意味どうでもいい質問です。誰もが聞きますし、とりあえず聞いてみた類でしょう。しかしご主人がつぶやくように天井の高さを評価しましたよね。これはお客さまが直感的にこれは良いなと思った大事なポイントなのです。あなたの勤務する展示場の標準天井高が2600だったとしましょう。この場合は“天井の高さはこのぐらいは確保すべきです。これより低くすると後悔しますよ”くらい自信をもってお客さまにアピールするのです。お客さまがボソッとつぶやいた一言を聞き逃してはなりません」
応酬話法のテクニック
お客さまからの質問はもちろんのこと、意地悪なツッコミに対しても涼しい顔で当意即妙な答えをしなくてはなりません。
奥さま「私は地震が心配なのだけども、おたくは耐震等級3を取ってるだけあってちょっとお値段が高いわよね。先週行った〇〇 ホームさんは耐震等級2だけどその分だけ安かったですよ。耐震等級2だって家が崩壊することはないと言われましたよ」
皆さんはどう答えますか。現実問題として、耐震等級2であっても震度7の揺れに対して崩壊する可能性は極めて低いと考えられます。
しかしこの奥さまに同調してしまっては、値段の安い耐震等級2の住宅会社に契約を取られてしまいます。こんな応酬話法が良いでしょう。
「奥さまのおっしゃる通り耐震等級2だからといって震度7で崩壊するようなことはまず考えられませんが、基本的には次のような考え方になるのです」
このように前置きをした上で話を続けましょう。
「660cc の軽自動車と3000cc の大型セダンがあったとします。この2つとも高速道路を100 km で走ることが可能です。しかし乗り心地は圧倒的に違いますし、100 km で走った後エンジンに与えるダメージは大きく違うと思いませんか。家も同じで、仮に震度7の地震があっても2社とも大丈夫なのですが、目に見えない部分でのダメージは、弊社が推奨する耐震等級3の方が低いと推測できます。仮に1年後に震度7の地震が再び襲った時の危険度は耐震等級2の方が高いと考えられます」
※私が勉強したいくらい応酬話法に長けた社長がいる工務店の現場
(東海地方の某県)
まとめ
お客さまの本音を聞き出すのは難儀なことです。正確かつ圧倒的な知識を兼ね備えた上で話をすれば解決する問題ではありませんし、最後に書いた応酬話法のようにお客さまからの質問に対して涼しい顔で即答できる対応力も必要です。
こんなところでおどおどしていては、とてもではないですが本音を聞くことなど無理でしょう。
総合的な営業力が試されることになるのですが、自信がない方はとにかくお客さまの話すことを親身になって聞く姿勢を示すことから始めてください。
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